鈴茂器工株式会社 様
修理の内容、進捗情報をatWill Templateアフターサービスで一元管理。
販売からアフターサービスまで一気通貫の情報管理で
顧客満足度の向上へ
- 拠点ごとに管理していたアフターサービスの情報を全国で一元的にまとめて管理したい
- 紙ベースで行っていた業務をシステム化し、属人化を解消したい
- トラブルの原因を迅速に突き止め、修理現場での作業を効率化したい
- 顧客満足度向上につながるアフターサービスを強化したい
- atWill Templateアフターサービスで、修理内容や進捗情報を一元管理
- 拠点ごとの違い、属人化していた修理内容を共通化
- 蓄積したトラブル情報を有効活用し、原因特定や修理作業を効率化
- アフターサービスのスピードや品質を改善し、顧客満足度の向上へ
鈴茂器工株式会社
おむすびや寿司、海苔巻きなどを製造する米飯加工機械や充填機械などの製造、販売を行うことで、日本食の普及、発展を支えたリーディングカンパニー。1981年、世界で初めてとなる寿司ロボットの開発に成功。その後もさまざまな機器を開発、提供することで、国内外の飲食業界に貢献を続けている。
- 所在地
-
〒176-0012
東京都練馬区豊玉北2-23-2
- 資本金
- 11億54百万円

システム統括部長
五十嵐勝氏
回転寿司、弁当やおむすびなど、 米を用いた料理は外食産業、 中食産業でも人気が高い商品だ。 その生産現場で活躍しているのが、 寿司のシャリを握ったりご飯を容器に 盛り付けたりおむすびを成 形したりする各種ロボットである。それらの米飯加工機械事業を展開し、世界で初めて寿司ロボットの開発に成功したメーカーが鈴茂器工だ。近年はセルフレジ、セルフオーダーシステム、配膳ロボットなどにも事業を広げている。
その鈴茂器工は、15年にわたって活用してきた販売管理システムの刷新に取り組んでいた。その目的のために採用されたのが、6,300社、280の企業グループへの導入実績を持ち、国産初のERPパッケージであるSCSKのProActiveである。
さらに販売した製品の故障やトラブルに対応するアフターサービスも同時に課題解決する必要があり、システム 統括部長の五十嵐氏は「販売管理システムの刷新プロジェクトと並行してアフターサービ ス業務の専用システムを別システムで構築するためのプロジェクトを同時に進めることにしました。 ただし両システム間の連携は非常に重要で、作り方を検討している中でSCSKからProActiveと連 携できるシステムとして、atWill Templateアフターサービスを提案されたのです」と説明する。atWillアフターサービスは、業務テンプレートをもとに必要な機能を追加・開発が可能で、柔軟かつ短期間でユーザー企業のニーズに応じたシステムを構築できる点を特長としていた。
アフターサービスに関する情報を会社全体で一元管理したい
外食産業やコンビニ、ホテルなど24時間営業している業界に向けて機械を提供していることもあり、鈴茂器工は24時間365日対応でアフターサービスを提供している。
トラブルの連絡を受ければスタッフが現地に駆けつけることになるが、連絡を受けた段階で状況を確認して図面を見ながら原因を推測し、「必要となりそうな部品」を倉庫からピックアップするなど、さまざまな事前準備が必要だ。しかしトラブルの原因が推測と違い、部品を取りに倉庫に戻るというケースもあり、いかにして効率化、簡略化できるかが課題となっていた。
まず解決したかったのは紙ベースでの管理だった。鈴茂器工が保有する膨大なパーツリストは100ページにも及び、そこから部品を特定して規格や型番を調べたり、修理部品の在庫を確認するのにも時間がかかっていた。また、修理を終える際には、作業内容を3枚複写用紙の「修理代金計算書」に残し、顧客にサインを書いてもらうのだが、スタッフは会社に戻ってからその内容を販売管理システムに入力する必要があった。
スタッフや拠点ごとに違いがあることも課題だった。ベテランのスタッフは、顧客のビジネスへの影響を最小限に抑えられるよう、短時間で修理するスキルを持っているが、それは属人化にもつながる。また鈴茂器工は日本全国で15のアフターサービスの拠点を持っているが、拠点ごとにやり方が違うケースもある。
五十嵐氏はこれらを踏まえて、「アフターサービスに関する情報管理を、会社全体で一元管理して解決したい」と考えていた。「各種機械の情報を当社で一元管理しやり方を共通化したい。そうすれば、お客様の業務全体が見える状態で、適切なサービスを提供できるようになります」
テンプレートの活用で開発を効率化。
重点ポイントに注力して開発を
そこで2021年秋、鈴茂器工では「KKD(勘、経験、度胸)のサービスからQSD(品質、スピード、データ)のサービスへ」というコンセプトを掲げ、アフターサービスのシステム化を目指すプロジェクトがスタートした。
五十嵐氏の目に映ったatWillの利点は、テンプレート活用による開発期間短縮とコスト削減だった。
「パッケージ製品では、私たちの要件にピッタリとはまるものが見当たらず、かといってフルスクラッチで構築しようとすると、開発期間とコストが多くかかる上、想定期間内に完成できない可能性もありました。しかし、atWill Templateアフターサービスであれば、短期間でコストを抑えて構築できることが期待できました。例えば、修理の進捗管理機能をフルスクラッチで開発するには細かい要件定義から始めなくてはいけませんが、atWill Templateアフターサービスならそのような基本機能はテンプレートして用意されるので、新規に開発する必要がありません」
テンプレートを活用したことで生まれた余力を使い、「情報一元化」のような重点課題の議論に十分な時間を費やすことができたのは大きなメリットだった。
「紙の図面やパーツリストなどを現場で見られたり、ベテランのスタッフの修理結果をナレッジとして一元的に蓄積、可視化できれば、新人や若手であっても正確、スピーディーな修理が可能となるでしょう。また、修理の品質が統一化されることは、サービス品質の底上げ、標準化にもつながります」
さらに将来を見据えて故障内容の分析や顧客満足度の向上も視野に入れていた。
「故障原因は、電気系統のトラブル、消耗品、お客様のオペレーションミスなどさまざまです。機械ごと、お客様ごとに故障原因や処置内容を分析して、より適切な対応、または次の製品改善にも生かせるでしょう。
すでに当社は24時間365日体制で運用保守を行っていますが、今よりもさらに短時間かつ正確に修理対応ができれば、当社サービスの付加価値は向上するでしょうし、結果的にお客様にもご満足いただけると考えています」
定期的な社内ミーティング、SCSKとのフィードバックを繰り返し、
重点ポイントの開発に注力
重点課題に注力するために行ったのが、週3回程度のペースで開催した社内ミーティングだった。サービス部門、全国の拠点のスタッフをプロジェクトメンバーに加えて議論、検討する場を設けたのである。
「機能だけでなく、運用の視点からも意見を出し合って検討を進めました。atWillはプロトタイプを実際に動かしながら検討できるので、使い勝手や画面のイメージを体感した上で意見を出し合い、効率よく議論を進められます。拠点ごとのやり方の違いなどを洗い出して共通化のための議論も深めていきました。
そして週1回のペースでSCSKにフィードバックし、『こういう機能として搭載したらどうか』と提案してもらいながら進めるというサイクルを繰り返していったのです。振り返ってみると、システム開発に慣れていないメンバーを含めて議論をする中で、SCSKはよく要件を引き出してくれました。それぞれの担当者が意見を出しやすくするためのアプローチを一緒に考えてくれたことも印象に残っています」
atWillにはテンプレートだけでなく、機能追加、拡張のための高速開発ツールatWill Platformが搭載されており、プログラムレスでスピーディーに新しい機能を付加できる。また、それでも実現できない複雑な機能については新たに開発して対応することも可能だ。要望や機能の重要度に合わせてテンプレート、高速開発ツール、そしてスクラッチ開発と柔軟に対応できるのもatWillの長所といえる。
鈴茂器工のシステムの場合、標準のテンプレートを利用できた割合が43%、atWill Platformで拡張した機能が32%、新たに開発した機能が25%となっている。
「他のパッケージ製品のカスタマイズに比べて、atWillは制約がゆるく応用が利くので、要望に対して柔軟な対応ができるところが魅力ですね」
将来のIoT時代到来を見越した機能も視野に
(左から)SCSK株式会社 井上
鈴茂器工株式会社 五十嵐 氏
SCSK株式会社 西村
現在、2023年の本場稼働に向けて、atWill Templateアフターサービスを 使って構築している最中であるが、五十嵐氏はその先に対する展望も口にした。「atWillアフターサービスは拡張性の高さも強みで、APIを使って販売管理、品質管理など他のシステムやデータベースとも連携も可能です。将来は、IoT(モノのインターネット)やECサイトとの連携も強化していきたいと考えています」
顧客先で使われている機械がIoT化すれば、機械の詳細な状態をリモートで把握でき、メンテナンスにも活用できようになる。それが実現すればatWill Templateアフターサービスがさらに役立つだろう。
「SCSKの仕事ぶりには実直さが感じられます。今後も堅実に開発を進めてもらって、本番稼働を迎えたいと思います」と五十嵐氏は期待をのぞかせた。
atWillの代表的な導入事例

株式会社キリウ 様
一気生産の強化に向け、atWillをベースに生産管理システムを構築。生産に関する全社のデータを一元的に見える化に成功。
柔軟なカスタマイズで、現場の声もスピーディーに反映

株式会社エノモト 様
金型製作から製品完成までのものづくりをatWillで一元管理。IoTやEDI連携により生産現場と管理部門のリアルタイムなデータ共有が可能に。
生産進捗・設計・在庫・原価の見える化で現場業務の改善へ