第18回 OSSユーザーのための勉強会 開催レポート(後編)

第18回 OSSユーザーのための勉強会 開催レポート(後編)前編はこちら

IBM WatsonとOSSのDeep Learningの活用方法は?

SCSK株式会社 R&Dセンター 技術戦略部は、2017年3月21日、5年目を迎えた記念イベントとして、「OSSユーザーのための勉強会<OSS X Users Meeting> #18 AI/Deep Learning」を開催しました。今回はその後編をご紹介します。(前編はこちら

注目すべきOSSを題材に、開発コミュニティの当事者と、これからOSSを学びたい方々との交流や相互理解を目的としたこの勉強会は今回で18回を数えます。OSSのAI / Deep Learning の可能性や、最新動向、取り組み事例、今後の展望などについて各分野の専門家がレクチャーするとともに、世界的に活用が本格化しているWatsonとOSSのAI/Deep Learning についても特別にセッションを設けました。

TensorFlowを活用するためPOWERアーキテクチャのオープンエコシステムを形成

セッションの4番目に登壇したのは、株式会社クラスキャット 代表取締役 社長(CEO)の 佐々木 規行氏です。「TensorFlow の特長と最新動向」について講演を行いました。

佐々木氏は、「TensorFlowは、Machine IntelligenceのためのOSSとして、今最も普及している機械学習フレームワーク」と紹介します。その特徴は、1)深い柔軟性、2)真のポータビリティ、3)研究と製品の連結、4)自動微分、5)言語オプション、6)パフォーマンスの最大化などです。既に、Google NowやGoogle Photo、Google検索の音声認識などに活用されているといいます。

しかし、オープンソースを使ってTensorFlowを活用するには高いパフォーマンスを備えたハードウェアが必要となるため、OpenPOWER FoundationがPOWERアーキテクチャを通じてオープンエコシステムを形成し、参加企業が市場のニーズに応えるための専門知識や投資、知的財産を共有しながら多くの製品を発表しています。「OpenPOWER Foundationは、POWERアーキテクチャに対応したTensorFlowを含めたOSSをダウンロードして、簡単にインストール可能な環境も整備しています」と解説しました。

講演資料はこちら:「TensorFlow の特長と最新動向」

株式会社クラスキャット 代表取締役 社長(CEO) 佐々木 規行氏

Watson APIとカスタムAIは適材適所で活用することが重要

セッションプログラムの最後は、「WatsonとOSSのAI/Deep Learning」というテーマで、日本アイ・ビー・エム株式会社 ワトソン事業部 ワトソン・テクニカル・セールス エグゼクティブ ITスペシャリストの赤石 雅典氏が講演しました。

WatsonとOSSとの関わりについて、「IBMは2016年にGitHub との戦略的提携を発表し、Watson APIを使ったアプリ開発を支援する環境『Watson Developers Cloud』では、ライブラリ、サンプルアプリ・リポジトリがGitHub上に構築されています」と赤石氏は語ります。Watson API構成要素としてSolr が活用されており、日本語形態素解析にはSolrにバンドルされているkuromoji(Javaの形態素解析ライブラリ)がそのまま実装されていると説明します。

さらに、Watson VR(Visual Recognition)とTensorFlowのサンプルプログラムの実行結果を紹介し、「Watsonで提供されている機能とTensorFlowなどのフレームワークを利用したカスタムAIとの比較は⼀般化することも可能で、それぞれの特徴を理解して適材適所で対応することが重要です」と語りました。

講演資料はこちら:「WatsonとOSSのAI/Deep Learning」

日本アイ・ビー・エム株式会社 ワトソン事業部 ワトソン・テクニカル・セールス エグゼクティブ ITスペシャリスト 赤石 雅典氏

懇親会: 講演者と参加者の交流、参加者によるライトニングトーク

勉強会の終了後、恒例となっている懇親会が行われ、講演者への質問や参加者同士での情報交換、有志による複数のライトニング・トーク(LT)も披露されました。

LT資料はこちら:

「AI分野に置けるPythonの積極活用」 「DeepLearningをみなさまのビジネスに」

SCSKは、2017年度も「OSSユーザーのための勉強会」を継続し、国内におけるOSSの市場活性化と人材交流に一層努めていく考えです。

懇親会で歓談する講演者と参加者。時間内にできなかった質問をぶつける

常連の参加者も多い「OSSユーザーのための勉強会」。普段交流のない技術者同士で情報交換できる懇親会も楽しみのひとつ

乾杯の音頭とともに挨拶に立った株式会社XEENUTS 代表取締役 西田 泰彦氏

食事も豪華なのが「OSSユーザーのための勉強会」の特徴。これも人気の要因?