CXの実現に向けたシステム基盤の抜本改革にAWSを採用
運用管理の自動化がIT要員の負荷を下げ、コアへ注力可能に
三井不動産レジデンシャルサービス株式会社
情報システム部 部長
三井不動産レジデンシャルサービス株式会社
情報システム部 情報システム課
三井不動産レジデンシャルサービス株式会社
情報システム部 情報システム課
三井不動産レジデンシャルサービス株式会社
情報システム部 情報システム課
「SCSKは、私たちに寄り添った提案・支援の姿勢を持ち、
プロジェクト全体を俯瞰してスムーズに進めてくれました。今後の運用も安心して任せられます」
三井不動産レジデンシャルサービス 情報システム部 部長
藤元 勝 氏
三井不動産レジデンシャルサービスは、三井不動産レジデンシャルが開発・分譲したマンションを中心に数多くのマンションの管理を手がけている。
同社では2016年度から働き方改革に力を注ぎ、その一環としてテレワーク環境の整備やリアルとオンラインを適切に組み合わせた業務手法の確立を推し進めてきた。主眼は、業務の効率化を軸として顧客満足度の向上と従業員満足度を両立させることにある。
「例えば、お客様のマンション生活に係る各種のお手続きや口座引き落としの申請など、これまで紙で対応するしかなく、それに応じて事務作業が発生していた定型業務を極力デジタル化することで、社内の業務プロセスは大幅に効率化できます。その結果として生まれた余力を、きめ細やかな“リアルコミュニケーション”に充て、カスタマーサービスの品質向上を実現するというのが、私たちの考え方です」(藤元氏)
こうした取り組みを推進するにあたり、同社はオンプレミスで運用してきた基幹システムの基盤を全面的にクラウドへと移行させることに決めた。
「働き方改革やCXに資するシステムの企画・開発など、企業成長や競争力強化に役立つシステムの提供というコア業務に注力できる体制を整えるには、IT基盤のクラウド化によって、年々膨らむICTコストの削減や、情報システム部員の運用管理の負荷を引き下げることが不可欠だと判断しました」(藤元氏)
加えて同社では、2017年度からBCP(事業継続計画)の強化も進めており、業務システム基盤のクラウド移行には、BCPに則ったDR(災害時復旧)環境の整備を従来よりも低コストで行えるようにするといった狙いもあったという。
システム基盤のクラウド化に乗り出した同社は、基盤の移行先となるクラウドと、移行支援のパートナー選定を進めた。複数候補の中から同社が選んだのがSCSKと AWS(Amazon Web Services)だ。
「情報システム部員のリソースは限られており、本プロジェクトに潤沢にアサインすることが難しいため、移行支援のパートナーとしてどの企業を選択するかはクラウドの選定以上に重要なことでした」と藤元氏は選定時に重要視したポイントを語る。
クラウド移行に併せ、およそ10個の異なる業務アプリケーションの移行も進める必要があるが、その遂行にはアプリケーションベンダーとの協議・調整を図ることが不可避だ。他社の提案はその役割分担から、担当するメンバーの工数が大きくかかることが想定された。一方でSCSKの提案は、限られたリソースで複数プロジェクトを兼務している同社の状況を汲み、情報システム部の負担を可能な限り小さくしようと、その役割も主体的に担う姿勢が明確に打ち出されていた。藤元氏は「移行時、SCSKには幾度も助けられました。多数のアプリケーションベンダーとの協議・調整もSCSKの支援によって最小限の負荷で乗り越えることができました」と振り返った。
SCSKを選定した同社は2019年11月に移行計画の策定に取りかかり、各種の業務システムを支える百数十台のサーバ、ストレージをクラウド化する計画を立てた(クラウド化後の仮想マシン台数は60台強)。のちの2020年5月からは、AWS上での基盤構築の作業に着手し、その際には監視・バックアップなどの運用機能を共通化し、かつAWSの機能を有効活用することでコスト最適化を図ったという。同様に業務システムの一部のデータベースについてもAWS上での運用に適したプロダクトへの切り替えを進めたほか、DR(災害復旧)についてもBCP(事業継続計画)の要件を満たしつつ、AWSの標準サービスで実装可能な「Availability Zone」の切り替えを活用することで、DR対応の低コスト化を実現している。
そして2020年7月からは業務システムの段階的な移行を推し進め、2022年2月には計画したほぼすべてのシステムのAWS移行を終え、運用のフェーズに入っている。SCSKではAWSに移行したシステムのガバナンスとコストの最適化を図る目的で、AWS活用のガイドラインと運用サービスも定義・提供している。
こうしたSCSKの支援に対し、今回の移行プロジェクトにともにかかわった吉田氏、松野氏、竹内氏は次のように評価する。
「AWSの豊富な知識を背景にしたSCSKの数々の支援には助けられました。また、こちらの疑問・質問に対し、徹底的に調べ上げたり、複数の方法で検証を重ねたりしたうえでの情報を常に提供してくれ、こちらが適切な判断をすることができた点も高く評価できます」(吉田氏)
「移行プロジェクトにつきもののトラブルについても、そのリカバリ方法や対応パターンを即座に提示し、必要に応じたベンダー調整をいただくなど、とても助けていただきました。今後も安心してシステム基盤の運用を一任できます」(松野氏)
「クラウド独特な癖といった利用時の不明点は、本来ならば自分たちで調べ、トライ&エラーをくりかえして覚えていくものでしょうが、SCSKさんにコツを教えていただけ、その豊富な知見を実感しています」(竹内氏)
選定時、同社はSCSKがシステム基盤の設計から構築・移行、監視・運用と包括的にサービス提供をしており、かつ親会社を含めた豊富な導入実績に基づく知見と経験があることにも期待していた。この期待を裏切ることなく、SCSKは業務システム基盤のクラウド移行をスムーズに進行し、情報システム部の負担を可能な限り小さくしたのだ。
同社では、クラウド化した業務システム基盤の監視・運用についてはすべてSCSKに一任しており、結果として情報システム部の業務負担が低減されている。複数業務を兼務している情報システム部員だが、基盤を担当する部員の一部をコアプロジェクトへ配置することが可能になるなど、コア業務により手を尽くすことが可能になったという。その効果を踏まえながら、藤元氏は今後の展望について次のように話す。
「各システム改修やそれらシステムのデータを統合・集約し、社員同士がデータをリアルタイムで共有しながら業務が行えるようにするなど、業務のさらなる効率化に向けた取り組みを一挙に推し進めたいと考えています。こちらでもSCSKの提案・お知恵には、期待しています。また、これからも言いたいことが言い合えるこの良い関係性を継続し、ご支援いただきたいと考えています」
また、同社はCX推進をはじめとする各種施策に向け、新しいクラウドネイティブなシステムの構築や既存システムの刷新を、AWSの土台に推し進めていくつもりだという。
「AWS利用のガイドラインから、ターン化されたシステムや運用プロセスを自動的に設計・構築できる『クラウドリファレンスキット for AWS』など、負荷軽減しながらも最大の効果がでるよう、今後もSCSKのソリューションをより有効に活用していきたいと考えています」(藤元氏)
図:SCSKが提供するS-Cred+(エス クレド プラス)プラットフォーム概要
業務システムのクラウド移行に際しては、お客様のご協力から、アプリベンダー様方と密にコミュニケーションを取ることができ、相互理解を深めることで、手戻りなく着実に移行を進められました。今後もクラウド活用推進を含め、IOT環境の最適化を推し進めるとともに、お客様の業務に貢献できるようご支援をさせていただければと考えております。
林 孝之
本プロジェクトではお客様と各アプリベンダー様、弊社で綿密に情報連携し、知見をあわせることで複数のシステムのクラウド移行が出来たものと考えております。これからもお客様のご要望にお応えできるよう、引き続きご支援をさせていただければ幸いです。
岩城 良治
所在地:東京都江東区豊洲五丁目6番52号 NBF豊洲キャナルフロント
U R L:
https://www.mitsui-kanri.co.jp/
1973年に創設され50年近い歴史を有するマンション管理会社。約3,000人(2021年4月1日時点)の従業員を擁し、三井不動産グループの一員として三井不動産レジデンシャル株式会社が開発・分譲したマンションを中心に、超高層マンションから大規模・都市型マンションに至るまで数多くのマンション管理を手がけている。2016年度以降、顧客のニーズを充足し、満足度を高めるための重要施策の一つとして従業員の働き方改革と満足度の向上にも力を注いでいる。
2022年3月初版