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情シスがDXに専念するための切り札!
ITSMで実現するITサポートの飛躍的な「業務効率向上」と「標準化」


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皆さん、こんにちは。ITPNAVI編集部の吉田です。多くの人が抱えるITに関するお悩みの解決策を、その道の専門家に教えて貰う「吉田が訊く!」。
第2回目は、情報システム部門がコア業務に専念することを可能にする仕組みづくり”を”ご紹介します!

近頃、情報システム部門が主体となってDX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組む企業が増加しています。その一方で、ITサポートも担う情報システム部門は慢性的な人材不足と業務過多により、DXなど本来注力すべきコア業務に専念できないことが問題視されています。原因は、メールや電話、Excel、紙などで連絡・調整・記録を行うこれまでのやり方です。こうした情報システム部門が抱える問題の解決策としてITSM(ITサービス管理)が注目されています。ITSMとは、ユーザーが必要とする、ITシステムやITサービスの安定的な提供とそれらの継続的な改善を管理するための仕組みです。
ITSMの導入により、ヘルプデスク業務の効率的な運用やITサポート業務の標準化を実現することが可能です。

そこで今回は、本来情報システム部門が注力すべきコア業務に専念できない原因と解決のための仕組みづくりについてITIL(Information Technology Infrastructure Library)のエキスパートとITSMのマーケティング担当者に話を聞きました。

SCSK株式会社 プラットフォーム事業グループ ITプロダクト&サービス事業本部 ネットワーク部 営業第二課長 磯浦 新
SCSK株式会社
プラットフォーム事業グループ
ITプロダクト&サービス事業本部
ネットワーク部
営業第二課長
磯浦 新
SCSK株式会社 プラットフォーム事業グループ ITプロダクト&サービス事業本部 ネットワーク部 営業第二課 石井 忍
SCSK株式会社
プラットフォーム事業グループ
ITプロダクト&サービス事業本部
ネットワーク部
営業第二課
石井 忍
SCSK株式会社 プラットフォーム事業グループ プラットフォーム事業グループ統括本部 営業推進部 第一課 吉田 由佳梨
SCSK株式会社
プラットフォーム事業グループ
プラットフォーム事業グループ統括本部
営業推進部
第一課
吉田 由佳梨

重要なコア業務に時間を割けずルーティンワークに追われる情報システム部門

吉田:最近、DXに取り組む企業が急増しています。しかし、日本の企業全体でみるとDXが進んでいる企業はまだ多いとは言えません。磯浦さんはITILエキスパートとして企業のIT運用管理の現場を数多く見てこられたと思いますが、その原因は何だと考えていますか。

磯浦:情報システム部門が社内のITサポートに追われ、DXなど本来注力すべきコア業務にリソースを割けないことが原因の一つだと考えています。DXを進めるにあたって、新たなテクノロジーが導入されることにより、社内のシステム数が増えることになります。結果、社内ユーザーのシステム利用頻度も増加するため、企業におけるITサポートは今まで以上に重要となります。このことから、DXの推進には情報システム部門の根本的な課題解決が必要と言えるでしょう。

吉田:情報システム部門が抱えている根本的な課題とはなんでしょうか。

磯浦:私の経験から主に2つ指摘したいと思います。1つ目は慢性的な人材不足と業務過多です。2019年8月に日経BPコンサルティングとSCSKが共同で調査したところ、情報システム部門の主要業務の一つである端末管理に関わる人的リソースについて、7割以上の企業が増員できないと回答しました。
人材が不足しているのに増やせない要因として、日本のIT人材がSIerに多く偏在し、エンドユーザー企業には人材供給が思うように進められていないからだと一般的に言われています。そのため、情報システム部門の業務過多は今後も続くと見られています。特にITサポートを行うシステム管理者は、社内ユーザーからさまざまな問い合わせやクレームを受けたり、ルーティンワークを繰り返したりすることで、休日も満足に取れないケースが少なくありません。そうした状態を放置せず、改善していくことがDXを推進するための重要なテーマにもなっています。

IT資産・セキュリティ管理ツール市場動向調査報告書 2019.08.08 日経BPコンサルティング

2つ目は、コア業務に集中できないという問題です。業務の特殊性と、業務の難易度をマトリクスで見ると、特殊性が大きく、難易度が高い「コア業務」は、アウトソースすることが難しく、社内で集中して取り組まなければなりません。会社のことを深く理解し、高いスキルを身につけていないとコア業務は進められないからです。

情報システム部門が担う業務をシフトする必要がある

しかし現実には、手順化されたルーティンワークやPCのキッティングなど、特殊性がなくかつ難易度が低い業務が膨大に存在し、それをスキルのある情報システム部門の担当者が担わざるを得ない状況が非常に多く存在しているのです。コア業務は今後会社を発展させ、未来を作っていくための大切な業務にも関わらず、情報システム部門の担当者は時間を割くことができず、目の前にある大量のルーティンワークの処理に追われているのが実態です。

ITSMは無駄な仕組みを変え業務効率を高めるための重要な処方箋

吉田:ほかにもDXの推進が困難になる要因はあるのでしょうか?

磯浦:DXが進まない理由の調査結果を当社が独自に分析すると、下記の課題が浮き彫りになりました。これらの課題は、企業の競争力や社員のモチベーションの維持を難しくしています。

  • 社員が社内システムを理解していない
  • 社員が知りたいシステム情報に到達できない
  • 情報システム部門への依存度が高くメールや電話対応が負担になっている
  • TeamsやSlackなどコラボレーションツールでサポートしきれない
  • 属人的な運用によってサポートの標準化やサポート状況のモニタリングができない

吉田:そうした状況を作り出している要因は何でしょうか?

磯浦:やはり、メールや電話で連絡を受け、Excelやデータファイル、紙などに記録をしているからだと思います。メールにはプライオリティやプレゼンスなどの情報が含まれておらず、属人的にハンドリングしながら仕訳や管理がなされます。電話はもっと深刻で、相手の時間という限られたリソースを奪ってしまうという大きな弊害を及ぼします。しかも電話の内容は記録に残らないので、“言った・言わない問題”も発生します。また、Excelも内容に変更があればその都度ファイルにアクセスし、手作業で修正する必要があります。さらに、Excelは変更履歴を残せないため信頼性が高くありません。紙は保管スペースを確保する必要があるほか、検索性が劣るので探すのが大変です。

吉田:このような要因を取り除くためにはどうすればよいのでしょうか。

磯浦:ITSMという概念が有効だと考えています。ITSMとはユーザーが必要とする、ITシステムやITサービスの安定的な提供とそれらの継続的な改善を管理するための仕組みのことをいいます。具体的には、情報システム部門がサポート状況の分析を実施できる仕組みや、ITサポートの利用ルールを定め、それを社内ユーザーに守らせる仕組み、社内ユーザーが必要な情報へ迅速にアクセスできる仕組みなどがあります。
ビジネス向けのITが多様化する昨今、情報システム部門にはシステムの開発・構築・運用という従来の役割だけでなく、ITの視点からビジネス全体を俯瞰し、ビジネスの発展に貢献するITサービスを管理することが不可欠になっています。ITSMが注目されている理由を理解するには、BtoCのITサービスをBtoBに応用するコンシューマライゼーションを思い出すと分かりやすいでしょう。今はスマートフォンひとつでほとんどの商品を購入でき、配送状況や到着日時まで可視化できます。しかし、会社で使う業務用端末を注文するには、稟議書や依頼書を発行するなど複雑なオペレーションが必要で、注文した業務用端末がいつ届くのかさえも曖昧です。そのためBtoCで得た良質なカスタマー体験を情報システム部門のヘルプデスクでも取り入れることが、ITSMの重要なミッションです。それがこれまでの無駄で不便な仕組みを変え、業務効率を飛躍的に高めていくための重要な処方箋だと私は考えています。

オペレーション・データ・コミュニケーションの統合を可能にするITSM

吉田:では、ITSMのマーケティングを担当する石井さんにお聞きしますが、DXの推進を目指す企業はITSMをどのように活用すればいいのでしょうか。

石井:まずオペレーションの高度化とデータ集約、コミュニケーション統合をITSMの統合的なプラットフォーム上で行えば前述の課題を解決できるはずです。例えば、情報システム部門と社内ユーザー間のやりとりや、社内ユーザーの上司の承認行為を同じポータルサイトでできるようにし、すべての情報をそこに集め、必要な情報だけをそれぞれに見せるようにすればいいのです。

ワークフローとデータベースを中核とした業務効率化プラットフォーム

具体的には次の4つの方法が有効です。
1つ目は、問合せ先の一元化です。ポータルサイトというシングルポイントにすべての関係者がコンタクトするように仕組みを整えれば、そこに情報が集約されるので、さまざまなコラボレーションツールでサポートしきれないという問題や、どこに問い合わせればよいか分からないといった問題を解決することができます。
2つ目は、サポートを利用するための規律とそれを遵守する仕組みの整備です。電話やメールでの問い合わせを原則認めず、プラットフォームを利用してもらうようにすればサポート対応の標準化が可能になります。また、電話で対応をしていた担当者の負担軽減やメール対応による属人化を防ぐことが可能です。
3つ目は、必要な情報への迅速なアクセスです。関連する情報に対して網羅的にアクセスできる検索機能があれば、社員が社内システムを利用する際に必要な情報を自分で探し出すことができ、情報システム部門への問合せも減少するでしょう。
4つ目は、サポート状況のデータ分析です。プラットフォームを提供するだけではなく、プラットフォームの利用データからサポート状況のモニタリングを行うことが重要です。サポート状況を可視化することにより、サポート内容を常に把握し評価することができ、利活用の阻害要因を見つけて取り除くことができます。

ヘルプデスク業務の効率的運用やITサポート業務の標準化を実現

吉田:最後に、DXの推進に有効なITSMプラットフォームを紹介してください。

石井:SCSKでは長年ITSM製品を取り扱っており、「Ivanti Neurons for ITSM」をお勧めしています。ベテランの方なら「LANDESK」という製品を覚えておられるかもしれません。現在は「Ivanti」ブランドとして機能拡張を進め、世界的にも高く評価されるプラットフォームに進化しています。
「Ivanti Neurons for ITSM」にはワークフローやダッシュボードがあらかじめプリセットされているほか、設定のカスタマイズ性が高く、お客様の運用にフィットした環境を提供できます。また、ITIL適合を証明する認証制度「Pink VERIFY」において、ITIL全16プロセス中13プロセスで認証を取得しており、ITILに準拠した運用を支援します。さらに、SOC2(Service and Organization Controls 2)やISO/IEC 27001(情報セキュリティ)にも対応しています。インスタンスもお客様ごとにご用意するので、ほかのお客様とデータを共有することはありません。テンプレートも豊富に搭載しており、迅速かつ安心して使えます。

ITサービス管理システムによる効果

情報システム部門側と社内ユーザー側が同じプラットフォームを使い、情報を集約するポータルでコミュニケーションを統合することで、そのデータに社内ユーザーが必要なタイミングでアクセスしたり、情報システム部門がモニタリングに活かすことができます。「Ivanti Neurons for ITSM」はヘルプデスク業務の効率的運用、社内ユーザーの利便性向上、ITサポート業務の標準化と改善などが期待できます。

吉田:今回はDXの推進における情報システム部門の課題とITSMの必要性についてご紹介しましたが、SCSKが公開しているIvantiの専用サイトでも、ITSMをテーマにした情報を特集記事で配信しています。ぜひそちらもご覧ください。また、ご質問や具体的な課題をお持ちの企業がいらっしゃいましたらSCSKの営業担当までお気軽にお問い合わせください。

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