~いま改めて「FortiGateとは何か」を語る~
【第7回】FortiGateのインターフェース概要
FortiGateはユーザーのニーズに応じた幅広いインターフェース規格を積極的に取り入れています。
ここではFortiGateがサポートするインターフェース規格の種類と、それに接続されるケーブルやトランシーバの種類について解説します。
サポートされるインターフェース規格は機種ごとに異なります。
詳しくは各機種のデータシートを参照してください。
内蔵型インターフェース
インターフェースが機器と一体になっているタイプです。RJ-45規格のLANケーブルをそのまま接続して利用できます。

【RJ-45規格】
規格 | イーサネット | 伝送速度 | ケーブル | 最大距離 |
---|---|---|---|---|
RJ-45 | 10Base-T | 10Mbps | カテゴリ3以上のUTP | 100m |
100Base-TX | 100Mbps | カテゴリ5以上のUTP | 100m | |
1000Base-T | 1000Mbps | カテゴリ5e以上のUTP | 100m | |
2.5GBase-T | 2.5Gbps | カテゴリ5e以上のUTP | 100m | |
5GBase-T | 5Gbps | カテゴリ5e以上のUTP | 100m | |
10GBase-T | 10Gbps | カテゴリ6A以上のUTP | 100m |
現行のネットワーク環境は1000Baseが普及しており、FortiGateの対向インターフェースが旧来のもの(10Baseや100Base等)である場合、FortiGate側でインターフェース速度の設定変更が必要になることがあります。
スロット型インターフェース
トランシーバ(またはモジュール)と呼ばれる装置をスロット内に装着して利用するタイプです。ユーザーの用途に応じてインターフェース規格を変えられるという利点がありますが、このままでは何もできないので、別途トランシーバを購入する必要があります。


スロット規格の形状
現行のFortiGateでサポートされるスロット規格には、大きく分けて2種類あります。
SFP | QSFP |
---|---|
SFP/SFP+/SFP28/SFP56![]() |
QSFP+/QSFP28/QSFP56/QSFP-DD![]() |
トランシーバとケーブルの形状
スロット型のインターフェースには、様々な種類のトランシーバを装着できます。主な種類を示します。
種類 | トランシーバ | ケーブル |
---|---|---|
RJ45型 |
※写真はSFP規格![]() |
※写真はCAT5e![]() |
LC型 | ※写真はSFP+規格![]() |
※写真はマルチモード![]() |
MPO型 | ※写真はQSFP+規格![]() |
※写真はマルチモード![]() |
LC型/MPO型の光ファイバーケーブルには「シングルモード」と「マルチモード」があります。各モードにケーブルが対応していない場合、正常動作しない可能性があります。また、シングルモード/マルチモードの中にも、いくつかのケーブルタイプがあり、シングルモードにはOS1~OS2、マルチモードにはOM1~OM5があります。数字が大きくなるほど性能が高くなり、伝送距離が長くなります。シングルモードの場合はOS2を、マルチモードの場合はOM3以上を選択することをお奨めします。各伝送速度におけるケーブルの最大距離は次の通りです。
【光ファイバーケーブル規格】
モード | タイプ | 10Gbps | 25Gbps | 40Gbps | 100Gbps | 400Gbps |
---|---|---|---|---|---|---|
シングルモード (SM) |
OS1 | 10km | - | - | - | - |
OS2 | 80km | 10km | 40km | 40km | 10km | |
マルチモード (MM) |
OM1 | 33m | - | - | - | - |
OM2 | 82m | - | - | - | - | |
OM3 | 300m | 70m | 100m | 100m | 70m | |
OM4 | 400m | 100m | 150m | 150m | 100m | |
OM5 | 400m | 100m | 150m | 150m | 100m |
表は「Fortinet Transceivers」と「IEEE Standard for Ethernet(2022年版)」を基に作成しています。あくまでも目安と考えてください。トランシーバの仕様により、伝送距離は変化するため、表の値よりも短くなることがあります。必ずトランシーバの仕様を確認してください。
MPO型の光ファイバーケーブルには、コネクタタイプとして12~32芯あり、これはトランシーバのコネクタタイプと一致するものを選択する必要があります。また、MPOケーブルには「極性」があり、極性タイプが誤っているとリンクアップしません。極性にはタイプA~Cがあります。特殊なケースで利用するタイプCを除いて主に使われるのはタイプAとBです。タイプAを配線に使用している場合は必ず終端をタイプBにする必要があります。単純にMPO型のトランシーバ同士を接続する場合はタイプBを使用してください。
この他、トランシーバとケーブルが一体となっている「ダイレクトアタッチケーブル(DACケーブル)」や、1つの高速なインターフェースのコネクタを4つに分岐(例えば40Gのポートを10G×4ポートに分岐)させる「ブレイクアウトケーブル」「ブレイクアウトダイレクトアタッチケーブル」も用意されています。詳しくは販売店に相談してください。
ベンダーロックと相性問題
ネットワーク機器を製造する一部のメーカーは、自社の純正トランシーバのみを使用できるように機器に「ベンダーロック」を設定しています。これにより、メーカー以外のトランシーバが機器上で動作しないように制限されます。
対向機器にベンダーロックがかけられている場合は、その機器で推奨される純正トランシーバを使用する必要があります。FortiGate自体には、ベンダーロックは設定されていないため、互換性のある他社製トランシーバも使用できます。ただし、完全な機能やパフォーマンスを保証するためには、実績のあるフォーティネットの純正トランシーバを使用することが推奨されています。
製品やサービスの提供が特定のベンダーに限定され、他のベンダーへの移行が困難になっている状態を「ベンダーロックイン」といいます。
また、トランシーバの互換性や対向ネットワーク機器との相性問題を防ぐためにも、稼働前の事前検証が重要です。FortiGateの各機種のデータシートに、動作実績のあるトランシーバのリストが公開されていますので、参考にしてください。
スロット規格と対応イーサネット規格
FortiGateでサポートされる代表的なスロット規格とイーサネット規格です。インターフェースの規格により、通信の伝送速度や最大距離が異なります。さらに詳細な性能については各モデルのデータシートを確認してください。
【SFP規格】
規格 | イーサネット | 伝送速度 | ケーブル | 最大距離 |
---|---|---|---|---|
SFP | 1000Base-T | 1000Mbps | カテゴリ5e以上のUTP | 100m |
1000Base-SX | 1000Mbps | マルチモード光ファイバー | 550m | |
1000Base-LX | 1000Mbps | マルチモード光ファイバー | 550m | |
シングルモード光ファイバー | 5km | |||
1000Base-ZX | 1000Mbps | シングルモード光ファイバー | 90km | |
SFP+ | 10GBase-T | 10Gbps | カテゴリ6A以上のUTP | 100m |
10Gbase-SR | 10Gbps | マルチモード光ファイバー | 550m | |
10Gbase-LR | 10Gbps | シングルモード光ファイバー | 10km | |
10Gbase-ER | 10Gbps | シングルモード光ファイバー | 40km | |
10GBase-ZR | 10Gbps | シングルモード光ファイバー | 80km | |
SFP28 | 25Gbase-SR | 25Gbps | マルチモード光ファイバー | 100m |
25Gbase-LR | 25Gbps | シングルモード光ファイバー | 10km | |
100GBase-SR4 | 100Gbps | マルチモード光ファイバー | 100m | |
100GBase-LR4 | 100Gbps | シングルモード光ファイバー | 10km | |
SFP56 | 50GBase-SR | 50Gbps | マルチモード光ファイバー | 100m |
表は「Fortinet Transceivers」と「IEEE Standard for Ethernet(2022年版)」を基に作成しています。あくまでも目安と考えてください。トランシーバの仕様により、伝送距離は変化するため、表の値よりも短くなることがあります。必ずトランシーバの仕様を確認してください。
SFP規格には下位互換性があり、上位規格のスロットであれば、下位規格のトランシーバを装着して使うことができます。ただし、トランシーバ自身の性能を越える速度は出せませんので、注意してください。トランシーバによっては、FortiGate側でインターフェース速度の設定変更が必要です。
規格 | 装着できるトランシーバの種類 |
---|---|
SFP | SFP |
SFP+ | SFP / SFP+ |
SFP28 | SFP / SFP+ / SFP28 |
SFP56 | SFP / SFP+ / SFP28 / SFP56 |
【QSFP規格】
規格 | イーサネット | 伝送速度 | ケーブル | 最大距離 |
---|---|---|---|---|
QSFP+ | 40GBase-SR4 | 40Gbps | マルチモード光ファイバー | 150m |
40GBase-LR4 | 40Gbps | シングルモード光ファイバー | 10km | |
40GBase-ER4 | 40Gbps | シングルモード光ファイバー | 40km | |
40GBase-SR-BiDi | 40Gbps | マルチモード光ファイバー | 150m | |
QSFP28 | 100GBase-SR4 | 100Gbps | マルチモード光ファイバー | 100m |
100GBase-LR4 | 100Gbps | シングルモード光ファイバー | 10km | |
100GBase-ER4 | 100Gbps | シングルモード光ファイバー | 20km | |
100GBase-DR | 100Gbps | シングルモード光ファイバー | 500m | |
100GBase-CWDM4 | 100Gbps | シングルモード光ファイバー | 2km | |
100GBase-SR-BiDi | 100Gbps | マルチモード光ファイバー | 100m | |
100GBase-SR1.2 | 100Gbps | マルチモード光ファイバー | 100m | |
QSFP56 | 200GBase-SR4 | 200Gbps | マルチモード光ファイバー | 100m |
QSFP-DD | 400GBase-SR8 | 400Gbps | マルチモード光ファイバー | 100m |
400GBase-LR4 | 400Gbps | シングルモード光ファイバー | 10km | |
400GBase-FR4 | 400Gbps | シングルモード光ファイバー | 2km | |
400GBase-DR4 | 400Gbps | シングルモード光ファイバー | 500m | |
400GBase-DR4+ | 400Gbps | シングルモード光ファイバー | 2km |
表は「Fortinet Transceivers」と「IEEE Standard for Ethernet(2022年版)」を基に作成しています。あくまでも目安と考えてください。トランシーバの仕様により、伝送距離は変化するため、表の値よりも短くなることがあります。必ずトランシーバの仕様を確認してください。
QSFP規格にも下位互換性があります。上位規格のスロットであれば、下位規格のトランシーバを装着して使うことができます。SFPと同様に、トランシーバ自身の性能を越える速度は出せませんので、注意してください。トランシーバによっては、FortiGate側でインターフェース速度の設定変更が必要です。
タイプ | 装着できるトランシーバの種類 |
---|---|
QSFP+ | QSFP+ |
QSFP28 | QSFP+ / QSFP28 |
QSFP56 | QSFP+ / QSFP28 / QSFP56 |
QSFP-DD | QSFP+ / QSFP28 / QSFP56 / QSFP-DD |
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