FAX送信を月7,000枚から400枚へ削減、
チャット活用で転院調整のDXを実現
藤田医科大学病院 様
基本データ(2026年4月現在)
- 病床数:1,376床(一般1,325床、精神51床)
- 医師:775名
- 看護師:1,660名
- 医療技術者:1,024名
- 事務・その他:349名
活用のポイント
- チャット機能の活用で、薬剤名などの専門情報の伝達ミスを防止し正確性が向上
- FAXによる転院情報の送信件数が月約7,000枚から約400枚へ激減
- 連携施設への電話がつながりやすくなり、転院調整のスピードが向上
背景・課題
FAX・電話に頼る地域医療連携の限界
医療連携福祉相談部
医療ソーシャルワーカー
主任
山口 里美 氏
医療連携福祉相談部
医療ソーシャルワーカー
原田 芹菜 氏
藤田医科大学病院は、「スマートホスピタル構想」に基づき、医療DX化を積極的に推進している大学病院です。地域の医療機関や介護保険事業所と連携しながら患者さんの転院・退院調整を担う医療連携福祉相談部では、医師・看護師・医療ソーシャルワーカー・公認心理師など総勢約70名が在籍し、月250〜300件のソーシャルワーカー相談に対応しています。
同部の主任医療ソーシャルワーカー・山口里美氏は、「Dr2GO」導入以前の状況をこう振り返ります。
「送信する内容は、診療情報提供書や薬剤情報提供書、採血データ、看護サマリーなど多岐に亘り、それらを複数の医療機関に送信する必要もありました。施設ごとに宛先状を作成しなければならないなど手間も多く、FAX装置の前にソーシャルワーカーの行列ができてしまうような状況でした。また、ソーシャルワーカー用の電話回線は3回線しかなく、患者さんとの連絡にも使うことが多いため、連携施設への電話を頻繁にかけることも難しい環境でした。」
また、FAXを用いた情報連携に関する課題を同部の医療ソーシャルワーカーの原田芹菜氏は、次のように挙げます。
「入院患者さんの転院調整等を実施する際、診療情報をFAXで送信していたのですが、その送信件数は1ヵ月で7000件に及びました。1件当たり10枚以上の書面を送信しなければならず、また、送信の際にはミスを無くすためにスタッフ間でのダブルチェックを実施していることが、大きな負担となっていました」
選定理由
3省2ガイドライン準拠の安全性と、既存システムとの高い親和性
学校法人藤田学園
デジタル戦略部
部長
山田 英雄 氏
地域医療連携においてFAXや電話が使われ続けてきた背景には、セキュリティ上の懸念があります。診療情報提供書など患者さんの重要な個人情報を扱うため、誤送信による情報漏えいリスクから、電子メールは使用しづらい面がありました。
こうした課題解決のため、同院デジタル戦略部の山田英雄部長を中心に検討を重ねた結果、SCSK株式会社が倉敷中央病院と共創開発したコミュニケーションプラットフォーム「Dr2GO」の導入を決定。2024年4月から運用を開始しました。
山田氏は採用の決め手をこう話します。
「システム化されたチャット機能など、あらかじめ登録されたスタッフや施設に送信する『Dr2GO』はセキュリティ対策も万全であるので、信頼して運用することができます。医療連携福祉相談部の業務の効率化を図ることで、紹介患者数を増やすなどのメリットを得られると同時に、患者さんも迅速に転院先を探すことができます」
「Dr2GO」は厚生労働省の3省2ガイドラインおよびISMS国際規格に準拠しており、セキュリティ面の信頼性も導入の後押しとなりました。また、医療関連企業から提供されるコンテンツを医療機関スタッフが閲覧することで運営される仕組みのため、医療機関側のコスト負担を抑えられる点も評価されました。
導入効果 ①
情報伝達の正確性が向上し、薬剤名・医師名の伝達ミスを防止
「Dr2GO」には連携医療機関のスタッフとリアルタイムにやり取りできるチャット機能が搭載されており、1ボタンで先述した各種の診療情報を送信することができます。
山口氏は、チャット機能の有用性をこう話します。
「変薬の依頼も多いのですが、その名称を聞き取れなかったり、注意していても間違えることもあり、たいへん苦労していました。チャットによって文字で残せることから、そのまま主治医に確認してもらうこともでき、そのような間違いは大幅に減りました。特に薬の名称や特殊な検査など専門的な内容も文字で見ることができるので、確実に情報を知ることができます」
FAX送受信時に発生していたモノクロ・低解像度による「文字の潰れ・判読不能」の問題も、デジタル化によって解消した。
導入効果 ②
FAX送信件数が月約7,000枚から約400枚へ激減、業務負担が劇的に改善
システムが導入されたことで、これまでFAX装置の前で順番待ちをしていた送信業務が容易に実施できるようになりました。山口氏は業務負担の改善を語ります。
「1ヵ月のFAX送信件数は、導入前の約7,000枚から約400枚に激減しました。FAXの通信費や出力する紙も減らすことができ、コスト負担も大いに抑えることができました。残業時間も短縮されており、患者さんの転院調整の効率化が果たせたといえます」
また、転院調整先の病院でも紹介件数が増えており、業務改善につながっているという声も聞かれています。
導入効果 ③
電話相談の減少と応答率の改善、「電話がつながりやすくなった」の声
チャットによる非同期コミュニケーションが浸透したことで、電話件数そのものが減少し、外部からは「電話がつながりやすくなった」という声が寄せられています。
原田氏は、チャットならではのメリットをこう話します。
「チャットは文字で記録されますから、相手も自分の手の空いている時間に連絡を取ることができます。『言った』『言わない』といった問題も起こりません。わざわざ電話で聞くのもどうかと思われるような質問内容でも、チャットなら気軽に聞きやすいので心理的なハードルが下がる点も良いと感じています」
今後の展望
「顔の見える連携」をデジタルで実現し、地域全体へ広げたい
現在「Dr2GO」は藤田医科大学病院を起点に、2025年6月時点で11施設に導入されており、これらの施設への転院調整件数は全体の6割以上を占めています。山口氏は、さらなる普及への思いを語ります。
「コロナ禍以前は頻繁に集まってカンファレンスをしたり打ち合わせをしていたのですが、コロナ禍以後は対面での連携が少なくなってしまいました。今後は、デジタル技術によって顔の見える連携をもっと増やすことができないか検討しているところです。『Dr2GO』が他の急性期病院にも普及することで、地域医療におけるより広域の前方支援・後方支援の実現に繋がることを望んでいます」
山田部長も「医療分野におけるDX化の推進は急務。特に地域連携は紙ベースの運用がまだまだ多い分野なので、DXが今後さらに進んでいくことを期待している」と述べており、藤田医科大学病院を中心とした地域医療連携のDXモデルとしての広がりが期待されます。
お客様情報藤田医科大学病院 様
藤田医科大学病院は、愛知県豊明市に位置する大学病院です。学校法人藤田学園が運営し、「スマートホスピタル構想」のもと医療DX化を積極的に推進しています。医療連携福祉相談部では、地域の医療機関・介護保険事業所との連携を通じて患者さんの転院・退院調整を担うとともに、医療ソーシャルワーカーによる心理的・社会的・経済的な相談支援にも力を入れています。2024年4月より「Dr2GO」を導入し、施設間の情報連携のデジタル化を推進しています。
ご不明な点がありましたら、お気軽にお問い合わせください。
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