住友商事株式会社 様

現場主導で生まれた、業務のデジタライゼーションへの動き
国内からグローバルへと展開し、事業のバリューアップを促進する

働き方改革・生産性向上

さらなる加速を企図し、RPA活用推進のCoEを組成
その推進基盤を活かして他のデジタル技術の活用も牽引する

※Center of Excellence:ベストプラクティスとツールが配備された、専門家で構成された組織

事例のポイント

お客様の課題

  • ガイドラインや検討プロセスの未整備がデジタライゼーションの障壁に
  • RPA活用のノウハウがない
  • グループ会社や海外現地法人までを含めた支援が必要

課題解決の成果

  • ノウハウを集積し、サービス化してグローバルまで展開
  • 全社のDX推進と相まって、業務変革への動きはさらに活性化
  • 推進基盤を活かし、RPA以外のデジタル技術の活用も支援

    ※:デジタルトランスフォーメーション


導入ソリューション

Blue Prism

住友商事株式会社
IT企画推進部
国内事業展開IT支援チームリーダー

安藤 匡夫

住友商事株式会社
IT企画推進部
国内事業展開IT支援チーム

森山 和貴

デジタル化の波を受け、コーポレート部門の従来の立ち位置から一歩踏み出すことが求められていました。
当社における新たな価値の創造に貢献すべく、SCSKと共に取り組みを進めていきたい

IT企画推進部 国内事業展開IT支援チームリーダー

安藤 匡夫

背景・課題

現場主導で生まれた業務のデジタライゼーションへの動き
ガイドラインや検討プロセスの未整備がその障壁に

 2019年12月に100周年を迎える住友商事。次の100年を見据え「Enriching lives and the world」というコーポレートメッセージを策定。これからの社会の発展にも資する企業を目指し、人、事業、ビジネスモデルを自己変革し、新たな価値の創造に取り組んでいる。また同社は、2018年からスタートしている「中期経営計画2020」において、既存事業のバリューアップを成長の基幹戦略とし、次世代新規ビジネスの創出にも注力。この双方の実現に共通して重要な要素と定めているのがDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進である。2018年4月には全社横断組織として「DXセンター」を組成。その推進役を担い、取り組みを加速させている。

 住友商事のDX推進における大きな動きの1つが、既存事業の高度化を目的とした業務のデジタライゼーションだ。具体的にはRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の活用によって、業務の生産性を高めるほか、人に依存したオペレーションを前提としない、デジタルネイティブな業務プロセスへの変革を進めている。同社内でRPAの導入展開を担当する、IT企画推進部 国内事業展開IT支援チームの森山和貴氏は「当社でRPA活用の検討が始まったのは、2016年に遡ります。現中期経営計画が策定される前ですが、その前段として、AI・IoTなどの先端技術の活用を検討するワーキンググループがあり、その活動の中で事業部門が自主的にRPAの活用を検討する動きが出てきたのです。」と語る。

 翌年の2017年にはRPAを導入し、使い始める部署もあった。しかし、同社内にはRPA活用のノウハウはまだなく、すべてを手探りで進める必要があったという。そのため検討部署ごと独自にコンサルティング会社を起用し助言を受けたが、「RPAツールの選定基準」「導入にかかる社内プロセス」「開発・運用のルール」などについてそれぞれゼロベースで考えなければならない状況だった。

 当時、IT企画推進部はRPAを全社標準サービスとしては取り進めていなかったが、RPA導入についてさまざまな相談を受けていた。検討・導入部署が増えていく中、当該部署間の情報共有のためのコミュニティを立ち上げたが、標準ガイドラインやプラットフォームの整備、ノウハウの蓄積・共有などを求める声は高まる一方だった。IT企画推進部 国内事業展開IT支援チームリーダーの安藤匡夫氏は「ゼロから生み出すのが商社であり、現場主義は当社の特徴です。ガバナンス面の懸念もありましたが、それよりも現場主導で生まれた、業務を変革していこうというアクションを潰すわけにはいかないと思ったのです」と当時を振り返る。

解決策と効果

海外現地法人まで包括して支援できる体制を構築
業務効率化が進むとともに、業務変革のマインドも高まる

 現場主導でのRPA活用の流れにおける阻害要因を排除し、さらにその動きを促進する役割を担うことになったIT企画推進部だが、前述の通りそのためのノウハウはなかった。加えて、同社のDX推進の枠組みは自社だけに留まらず、グループ内事業会社や海外現地法人までが含まれている。RPA活用、つまりデジタライゼーションの推進もそれらを対象としていくことを視野に入れる必要があった。そこで推進におけるパートナーとなったのがSCSKだ。SCSKは住友商事本体をはじめ、グループにおけるITシステムを長きにわたり支えている。

 SCSKをパートナーとした理由を安藤氏は、「当部と同じく、SCSKも当初より検討部署から相談を受けており、課題やニーズを把握していました。またガバナンスやノウハウ集約の観点からは、機能や役割ごとに縦割りでパートナーを選ぶということは得策ではないと考えたのです。その点SCSKは、ITシステムにおいて国内グループ会社から海外現地法人までフルラインでのサポート体制をすでに確立していました」と説明する。

 かくしてIT企画推進部とSCSKは、2018年1月、CoE(Center of Excellence:ベストプラクティスとツールが配備された、専門家で構成された組織)の構築と、RPA活用の推進を発表、その取り組みが始動した。とはいえ、サポート体制を整備するまでには相応の時間を要し、当初はかかるコストの一部を負担するキャンペーンをするなどして、少しでも現場のRPA活用が進むような工夫を施したという。現在では、検討の入り口となる業務分析から全社共通の開発・本番環境の提供、運用・保守までの一連のサポートが提供可能になっている。さらにはより短期間で導入するための開発フレームワークの整備や、部署を超えて共通する業務の全社共通ロボット開発なども充実させてきた。

 これらの取り組みが功を奏し、コーポレート部門と6つの事業部門で既に280以上のプロセスが自動化されており、その数はさらに増えつつある。また中期経営計画2020で掲げるDXの推進が活発化するにつれ、トップダウンでRPA活用の取り組みや成果が積極的にメッセージされるようになり、相乗効果で業務を変革しようとする動きが高まっているという。また導入部署からは、RPA活用による効率化を実感する声が上がるのは当然のこと、「本来自分が注力すべき業務は何か」を考え、自立的に業務プロセスを見直す意識が高まった、とマインドの変化を語る社員が想像以上に多いとのことだ。

 RPAの導入とこれまでのITシステムとの違いについて、安藤氏はこう語る。「ITシステムであればアプリケーション要件の取りまとめ役がいますが、RPAは同じツールでもユーザーごとに使い方が異なります。それぞれのユーザーと向き合って開発する必要があり、リードする役割がこれまで以上に求められています」。また、森山氏も「RPAの開発や設計において、当社の業務やIT環境を熟知したSCSKは高い能力を発揮してくれています」と続ける。

今後の展望

グローバルへの展開に注力
さらにはRPA以外のデジタル技術の活用も計画

 IT企画推進部は、住友商事全社におけるRPA活用のノウハウやフレームワークを元に、支援の対象をグループ会社、海外現地法人まで広げ、取り組みのさらなる加速を進めている。
「グローバルにおけるRPA活用の推進は現在もっとも力を入れているテーマです。加えて、その次の展開としては、AI-OCRなど画像認識や文字認識など他のデジタル技術にも活用支援の範囲を広げていくことを考えています。これもSCSKと構築した支援体制の枠組みに載せていく予定です」(森山氏)

 最後に安藤氏は、現場においても新たな動きが目立ってきたと説明する。今ある業務プロセスにRPAを導入するのではなく、抜本的に業務のあり方を変え、そこにRPAも活かそうという試みだ。まさに業務の変革を期した取り組みだといえる。「通常のRPA活用検討であれば当部が業務分析をするケースが増えていますが、業務自体のデザインが必要となるため、必然的に事業部門に主導してもらわねばなりません。そういった動きを支えるにはRPAの勘所をつかむ教育サービスが効果的であることがわかり、SCSK主体でサービスの充実とその展開に力を注いでもらっています」と語る。

 現場主導ではじまった同社の業務のデジタライゼーションへの取り組みは、これからも進化していくようだ。IT企画推進部とSCSKはそれを支える重要な役割を今後も担っていくことだろう。

SCSK担当者からの声

住友商事様のRPA活用の取り組みは、ご支援させて頂いた当社にとっても大きなチャレンジでした。RPAの理解浸透を目的としたガイドライン、効率的かつ安全な導入に必要なルール・基盤づくり、ロボット開発支援はもとより、自走を求めるユーザー様への開発研修など幅広いサービスを共創させて頂きました。エンタープライズ型RPAの導入支援を通じて、ユーザー様ひとりひとりの業務への意識改革、働き方改革が着実に進んでいる状況を目の当たりにし他の多くの企業様にもこの価値を感じて頂きたいと思っております。SCSKは今後もRPAをはじめとしたDXへの取り組みをご支援し、お客様のさらなるビジネス成長に貢献していきます。

商社・グローバルシステム事業部門
SCシステム事業本部
基幹システムマネジメント第三部

中島 優


お客様プロフィール

住友商事株式会社

所在地:東京都千代田区大手町2-3-2
U R L: https://www.sumitomocorp.com/ja/jp

全世界に展開するグローバルネットワークとさまざまな産業分野における顧客・パートナーとの信頼関係をベースに、多様な商品・サービスの販売、輸出入および三国間取引、さらには国内外における事業投資など、総合力を生かした多角的な事業活動を展開している。

2019年11月