貝印株式会社 様

ERPを含むシステム基盤をすべてAWSへリフト
インフラ基盤の構築・運用をSCSKに任せ自社の負荷を軽減

“攻めのIT”を支えるITソーシング

システム基盤のAWSへの移行とセキュリティ強化を予定どおり完了
SCSKの支援の下、さらなるDX化を目指し攻めのITへシフト

事例のポイント

お客様の課題


  • DX戦略の一環としてシステム基盤のクラウド移行(AWSへのリフト)を安全・確実に推進するにあたり、自社の人材・知見が不足していた
  • 技術面だけではなく、社内組織の育成、スキル・ノウハウ移転を行いたかった
  • 現在契約しているデータセンターが閉鎖になる2026年2月までに全システムの基盤をAWSにリフトする必要があった

課題解決の成果


  • SAP ERPのインフラを含む大小20以上のシステム基盤を計画どおりAWSへリフトすることができた
  • 「Amazon Redshift」を使ったデータウェアハウス環境や、SASEソリューション「Catoクラウド」によるセキュアなネットワークも整備
  • インフラ基盤の構築・運用管理をSCSK 1社に集約し、負荷低減や問題発生時の迅速な対応が実現。自社人材を付加価値のある業務へシフト

導入ソリューション

  • SCSK クラウドサービス(AWS)
  • Cato Networks社 Catoクラウド
  • インフラ基盤の構築・運用管理
  • セキュリティ環境の整備支援、他

貝印株式会社
執行役員CDO
デジタル推進本部 本部長

山崎 佑司

貝印株式会社
デジタル推進本部
DX推進部 DX推進チーム 次長

武藤 健

「SCSKの働きにより、大小20以上のシステム基盤をすべてAWSへと計画どおりにリフトできました。
AWSに関するSCSKのスキルとプロジェクト管理能力の高さは特筆に値します」

貝印株式会社 執行役員CDO デジタル推進本部 本部長

山崎 佑司

背景・課題

DXの土台づくりに向けて
システム基盤の全面的なクラウドリフトを推進

 貝印は、製造拠点のカイ インダストリーズ株式会社とともにKAIグループを形成するグローバル刃物メーカーだ。刃物の町として800年以上の歴史を有する岐阜県関市に誕生し、今日では、生活に密着した刃物を中心に1万アイテムにもおよぶ商品をグローバルに展開する。

 そんなKAIグループが力を注ぐのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)だ。貝印とカイ インダストリーズを跨いだ社長直轄部門として「デジタル推進本部」を2024年に設置(これまでのデジタル推進部を本部化)。「データ活用」「次世代ビジネス・アプリケーションツール利活用」「インフラ基盤構築」「人材育成」の4つを柱にDX戦略を推進している。

 この取り組みの背景について、貝印 執行役員CDOでデジタル推進本部 本部長の山崎 佑司氏は「当社におけるDXは、労働人口の減少による慢性的な人材不足や新型コロナウイルス感染症の流行をきっかけにした働き方の変化などに対応するための施策です。人材不足の問題は特に深刻で、いまやデジタル技術やデータの力を借りてビジネス、経営の省力化や高度化を図らなければ、事業のサステナビリティを確保するのが難しい状況になっています。そこに我々がDXに力を注ぐ大きな理由があります」と説明する。

 同社では先に触れた4つのDX戦略のうち「インフラ基盤構築」の取り組みを優先的に進めてきた。これは、システム基盤のクラウド化やSASE( Secure Access Service Edge)の採用などを通じて、インフラのセキュリティを向上させながら、柔軟性と拡張性を両立させる取り組みだ。山崎氏は「取り組みで目指したのは、業務で使うすべてのシステムの基盤をクラウドへと移行(リフト)させてセキュリティを確保し、データの活用やアプリケーション開発のスピードアップなど、DXのための土台を整えることです」との説明を加える。

 このインフラ基盤構築において、同社が全面的に採用したのが、Amazon Web Services(AWS)やCatoクラウドと、システム移行および運用を支援するSCSKのサービスである。

解決策と効果

ERPを含む大小20以上のシステム基盤をAWSへリフト
技術面に加え社内組織のスキル向上支援も伴走

 同社では、システム基盤の移行先としてAWSを選定し、AWSへの移行を支援するパートナーとして、SCSKを採用した。

 その理由について、山崎氏は「当社では以前から対外向けのWebサイトをAWSで構築・運用していて、信頼を置いていました。AWSへの移行を前提に4~5社のITソリューションプロバイダーに提案を要請し、その中からSCSKを選びました。どの候補もAWSの認定パートナーで、相応の技術力を有していましたが、我々がパートナーに求めたのは技術支援に加えて、クラウド活用を推進する社内の組織を育成してくれることです。その要求に対し、最も納得感のある提案をしてくれたのがSCSKでした」と明かす。

 また、AWSへの移行を計画したシステムは大小20以上あり、新たに2つのシステムをAWS上で構築する計画もあった。ゆえに、プロジェクトは長期に及ぶことが想定され「長期間、良好な関係でいられる信頼の置けるパートナーであることも要件でした。SCSKはその要件も満たしていたといえるでしょう」とし、加えて「我々はSAPのERP(ECC 6.0)を使っていますが、SCSKはSAP ERPのインフラをクラウドに移行させるソリューションも提供していました。そのことも同社を選んだ要因の1つです」と続ける。

 こうしてSCSKを採用した同社では2022年からシステム基盤のクラウドリフトに取り掛かり、2025年中にはSAP ERPのインフラのAWSへのリフトを完了。加えて、SCSKによる支援のもと、AWSの「Amazon Redshift」を使ったデータウェアハウス環境の構築や、SASE ソリューションとしてCato Networks社の「Cato SASEクラウド」も導入した。これまで使用してきたデータセンターが閉鎖になる2026年2月までには、全システムのクラウドリフトを終了させる計画のもとでプロジェクトを進めている。

 山崎氏は、これらの取り組みを進める中でのSCSKの支援をこう評価する。

 「SCSKとプロジェクトを進めたことで、社内の担当者のクラウド/AWSに関する知識がかなり蓄積され、クラウド活用のスキル、ノウハウも相応のレベルにまで高められています。また、SCSKは物事のプランニングが非常にしっかりしていて、問題が発生した場合のリカバリーも常にクイックです。システム基盤のAWSへのリフトが計画どおりに進められたのは、SCSKの質の高い支援のおかげであると感謝しています」

 この言葉を受けて、貝印 デジタル推進本部 DX推進部 DX推進チームの武藤 健氏も、SCSKをこう評価する。

 「SCSKはプロジェクトの進め方が非常に巧で、会議の設定の仕方や課題のフォローの仕方に卓越したノウハウを感じました。また、システムの構築チームと運用チームの連携も非常にスムーズです。これは他のシステムインテグレーターにはなかなか見られない同社ならではの特長であると思います」

今後の展望

クラウド活用の効果を一層高めるために
共創パートナーとしてのSCSKに期待

 以上のとおり、同社ではすべてのシステム基盤のクラウドリフトをSCSKによる支援のもとで完了させつつある。

 このように、AWS活用のパートナーをSCSKに一本化した効果について、山崎氏は「オンプレミス環境下でシステムを構築・運用していた頃は、基盤の調達先がシステム毎に異なり、運用管理に相応の手間を要していたといえます。それが、今回の取り組みを通じて、システム基盤の構築、運用管理を担うベンダーを1社に絞り込むことができました。これは手間の低減、あるいは問題発生時の解決スピードを上げるという点で、意義ある変化であると見ています」と指摘する。

 こうした効果を踏まえつつ、山崎氏は今後について次のように展望する。

 「システム基盤のAWSへのリフトによって、大きな効果を得ることができました。今後は、さらなるDX化をめざして、これまでの取り組みを土台にして、データの有効活用をはじめ、クラウドネイティブな技術を使ったアプリケーションのモダナイゼーション、RPA、ローコード/ノーコード開発ツール、AI技術の利活用に取り組み、開発のスピードアップやシステム保守コストの低減、業務プロセスの効率化・自動化などを推し進めていきます。SCSKには何でも相談できる共創パートナーとして、今後もさまざまな支援を期待しています」


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SCSK担当者からの声

AWS移行をはじめ、さまざまなソリューションや運用サービスをお任せいただき、心より感謝申し上げます。皆様のご協力と柔軟なお人柄に支えられ、スムーズに進めることができております。まずは現在のAWSリフト案件を確実に完遂させ、今後も課題共有や丁寧なコミュニケーションを通じて、安定したAWS運用とコストパフォーマンスの最適化を目指し、より大きな価値を提供してまいります。

ITインフラサービス事業グループ 基盤ソリューション事業本部 基盤ソリューション第一部

石川 早貴子

お客様のご協力のもと、システム基盤のAWSへのクラウドリフトを着実に完遂できました。技術的な相互理解に基づいた綿密なコミュニケーションにより、アーキテクチャの手戻りなく移行できたことが成功要因です。残るシステムの確実なクラウドリフト完了に加え、お客様のクラウドネイティブなクラウドシフトを推進し、さらなる業務効率化とビジネス貢献を技術面からご支援します。

ITインフラサービス事業グループ クラウドサービス事業本部 クラウドサービス第二部

正野 達也


お客様プロフィール

貝印株式会社

本社所在地:東京都千代田区岩本町3-9-5
設 立:1954年11月(創業:1908年6月)
U R L:
https://www.kai-group.com

貝印は、製造拠点の本社である岐阜県関市のカイ インダストリーズとともにKAIグループの中心として機能し、生活に密着した刃物を中心に1万アイテムにもおよぶ商品をグローバルに展開している。生産拠点は中国、インド、ベトナム、アメリカに広がり、中国、韓国、香港、インド、ベトナム、ヨーロッパ、アメリカの各所には販売拠点を構えている。近年では、デジタルトランスフォーメーション(DX)に力を注ぎ、2025年5月には経済産業省が定める「DX認定事業者」に選定されている。

2025年12月初版