専用線で構築していたWANをSASEとして再構築
国内110拠点超、海外11カ国30拠点超でCatoクラウドを導入
NOK株式会社
IT本部 IT基盤部
主幹
NOK株式会社
IT本部 IT基盤部
主事
NOK株式会社
IT本部 IT基盤部
情報技術一課 主事
「SCSKはNOKグループが抱えていたWANの課題に対して真摯に向き合い、インターネット回線やローカルブレイクアウトに関する不安を取り除いてくれました」
NOK IT本部 IT基盤部 主幹
本沢 翼 氏
15の国と地域で事業展開するNOKグループは、「Essential Core Manufacturing ― 社会に不可欠な中心領域を担うモノづくり」を掲げ、多種多様な産業領域向け製品を提供する総合部品メーカーだ。2023年5月には「Global One NOK」の実現に向けたパーパス・バリューを発表。2024年4月にはグローバルブランディングの強化を目的に新コーポレートアイデンティティ(CI)を策定するなど、創業90周年にあたる2031年度までにグローバル売上高1兆円を目指す変革を推進している。
そんなNOKグループの事業を支えるITインフラの構築・運用を統括するのが、NOK IT基盤部だ。同部では2021年、NOKグループの海外拠点と国内を結ぶWANのリプレースに取り組み始めた。
「従来の国際WANは、国内大手キャリアの専用線サービスを利用して構築したものでした。通信品質には満足していたものの、国際専用線にかかるコストがどうしても高額になり、通信帯域の増強が難しい状況でした」(NOK IT本部 IT基盤部 主幹 本沢翼氏)
この課題を解決するためにNOKでは、インターネット回線を利用したSD-WANの導入を検討することにした。
「SD-WANへのリプレースを検討するにあたり、同じく大手キャリアの専用線サービスで構築していた国内WANもSD-WANに置き換えられないかと調査をしましたが、大手キャリアが提供するSD-WANサービスでは専用線サービスの品質に劣り、機能面でもSASEには遠く及ばない構成にしかならないことが分かりました」(本沢氏)
しかしながらNOKグループではクラウド利用が急速に増えたこともあり、従来型のWANと境界防御型セキュリティでは限界が見えていた。
「データセンター経由のクラウド接続では帯域が不足するため、ローカルブレイクアウト専用機器を局所的に導入して試してみました。しかし、機器をコントロールするための設定やチューニングに手間がかかり、通信負荷が高くなると機器のプロセスが停止して通信障害が発生するといったトラブルに見舞われました。全拠点に展開するにはコストがかかり過ぎることもあり、ローカルブレイクアウト専用機器の導入は断念しました」(NOK IT本部 IT基盤部 情報技術一課 主事 水野貴信氏) そこでNOKは、ローカルブレイクアウトを無理なく実現できることも含めて、専用線で構築されたWANを置き換えることのできるSD-WANの構成を探ることにした。
最適なSD-WAN構成を求めて製品選定に着手したNOKでは、ネットワークとセキュリティをクラウドサービスとして統合したSASEソリューションに注目。SASEソリューションを標榜する複数のソリューションを候補に挙げて入念に比較検討した結果、NOKが最適なソリューションとして選定したのが「Catoクラウド」だった。
「グループ会社の日本メクトロン(現・メクテック)の韓国拠点で契約していた専用線サービスのプラン変更が必要になったため、これを機に安価で高速なインターネットVPNへの切り替えを計画していました。その導入候補として挙がったのがCatoクラウドで、韓国拠点と国内データセンターを接続するクラウド型SD-WANのプロトタイプとしてCatoクラウドを導入しました。心配していたインターネット回線に起因する接続切断もなく、クラウド型SD-WANのメリットを実感することができました」(NOK IT本部 IT基盤部 主事 和田透氏)
韓国拠点でのプロトタイプを経て、数多くの海外拠点、日本全国に及ぶ導入にあたっては、よりCatoクラウドを熟知しているベンダーを求めて複数社から提案を受けることにした。その結果選ばれたのがSCSKだった。
「SCSKはCatoクラウドに関する技術的な知見や導入実績が豊富なベンダーだと感じました。海外拠点に設置する『Cato Socket』の送付、Socket故障時における交換手配などにも対応してもらえるのもメリットです」(水野氏)
また、「同社が提供するFAQサイトも情報が充実しており、役に立ちます」(水野氏)
2021年10月にSCSKに契約を切り替えたNOKグループは、そこからCatoクラウドの導入を加速させる。2022年2月からメクトロンの海外15拠点に導入開始し、専用線をリプレース。2022年11月から2023年にかけてNOKグループの国内101拠点でCatoクラウドを導入するとともに、バックアップ回線として、SCSKのモバイル閉域網である「S-NICS SIM」も導入している。
「NOKグループでは2022年10月からメールシステムをMicrosoft 365に切り替えましたが、従来の境界防御型ではWebプロキシに通信が集中するためクラウド利用には限界がありました。そのため全拠点のCatoクラウド移行を決定。この際にインターネット回線を持っていないNOKの拠点では、SCSKに回線敷設を依頼しました。また、Catoクラウドが高額な中国拠点では他社製UTMを活用したローカルブレイクアウト構成を提案してもらえるなど、Catoクラウドだけでなくアクセス用インターネット線、中国でのCatoクラウド以外のローカルブレイクアウト、S-NICS SIMの提供、ソケットの海外への配送などワンストップで支援してくれるところに、SCSKとの契約のメリットを感じています」(本沢氏)
Catoクラウドの本格的な運用により、NOKグループはさまざまな効果を得ているという。
「Catoクラウドではインターネット向け通信がデータセンターを経由せず、各拠点から直接出ていくのでデータセンターの帯域増強は最小限で済んでいます。またグループ会社に対する通信制御やセキュリティをCatoクラウドのWANファイアウォールに一元化できたほか、リモートアクセスをCato Mobileに統一できたので、各社ごとに脆弱性対策をする必要がなくなりました。特に、Catoクラウドのログ(Events)機能ですべての証跡が確保できたことが最も大きな導入効果と考えており、すべての通信が可視化できたことも大きな効果です」(本沢氏)
国内110拠点超、海外11カ国30拠点超でCatoクラウドを導入
NOKグループは現在、全世界すべての拠点の通信をCatoクラウド経由にして、通信が可視化された状態にする「フルCatoクラウド化」を目指している。ただし、Catoクラウドへの一本化で終わりではなく、通信品質やセキュリティ、コストなどの観点から他のサービスも視野に入れ、柔軟に進めていきたいとの考えだ。今回のCatoクラウド導入でWAN全体構成をシンプルにできた上に、Catoクラウドの機能によってできなかったことができるようになったなど、プラスの変化点が多い。さらなる改善を検討しているという。
「Catoクラウドへの移行期間中に契約更改が発生しないようにSCSKと長期契約を結びました。2025年には契約更改を迎えますが、専用線レベルの安定性が求められる通信の扱いについてどうするかなど、次の契約をどのような形にするか検討中です」(本沢氏)
とはいえ、Catoクラウド導入チームのCatoクラウドに対する評価は高く、SCSKに対しても高い信頼を寄せていただいている。SCSKは今後も、Catoクラウドの品質向上やコスト最適化に向け、Cato Networks社へ強く働きかけていきたいと考えている。
所在地:東京都港区芝大門1-12-15
U R L:
https://www.nok.co.jp/
日本初のオイルシールメーカーとして1941年に創立。オイルシールをはじめとするシール製品の製造に加え、積極的に事業の多角化を進め、現在はNOK、メクテック、NOKクリューバー、ユニマテック、シンジーテックの5社を中核に93社で構成されるNOKグループへと発展。世界15カ国に事業拠点を構え、モビリティ、電子機器、OA機器、医療・ヘルスケア機器、産業用ロボット、人工衛星などさまざまな産業領域向けの製品を提供している。
2024年10月初版