60カ国超1万2000ユーザーが利用する
次期コラボレーション基盤において
最高レベルのゼロトラストセキュリティを実現
住友商事株式会社
IT企画推進部長
住友商事株式会社
IT企画推進部 インフラシステム
第二チームリーダー
住友商事株式会社
IT企画推進部 インフラシステム
第二チーム ラインリーダー
住友商事株式会社
IT企画推進部 インフラシステム
第二チーム
「Microsoft 365活用をさらに進め、SCSKとともにより一層グループ全体のコラボレーションを活性化していきます」
住友商事株式会社 IT企画推進部長
塩谷 渉 氏
創業100年を数え、さまざまな分野でグローバルネットワークを活用した事業を展開する総合商社の住友商事。ITシステムにおいても、変化の先取りと新たな価値創造、グローバル対応といったビジョンのもと取り組みを進めている。
その1つとして2019年3月から2021年10月にわたって推進したのが次期コラボレーション基盤導入プロジェクトだ。コミュニケーションのあり方を見直し、どこからでも利用可能で、最高レベルのセキュリティで保護された新しいアプローチによるシステムを構築した。
次世代のビジネスを根底から支える重要プロジェクトと位置付けられ、支援したSCSKを含めグループの総力を挙げて挑んだ取り組みとなる。住友商事 IT企画推進部長 塩谷渉氏が背景を説明する。
「将来が予測できない時代のなかで、いかにデジタルで事業変革を進めるかが重要になってきました。変革を推進する際には競争領域と非競争領域を峻別しながら、必要に応じて外部リソースを効率良く活用することが求められます。一方、効率性だけでなく、クラウドに代表される最新技術を活用し、社員一人ひとりの働き方を変えていくことも重要です。そうしたなかで注目したのがパブリッククラウドを最大限に活用した新しいコラボレーション基盤でした」(塩谷氏)
システム環境は60カ国超、1万2000人以上のユーザーが利用する超大規模なものだ。コラボレーション基盤にはさまざまな機能において、安全でスピーディーな処理が求められる。IT企画推進部 インフラシステム第二チームリーダー 岩崎奨氏は、要件と課題をこう話す。
「これまでは当時のベストプラクティスを適材適所で使い分けてきました。ただ、異なるベンダーのソリューションを組み合わせ、複数のデータセンターで自社で運営していたため、いつでもどこでも安全で柔軟に働ける環境は提供しにくく、管理の複雑化や、運用の手間の増大、新機能をすぐ使えないという課題もありました。そこで、社員の業務効率や生産性を高めつつ、運用を効率化しながら、新しい時代の最新機能の素早い利用を目指したのです」(岩崎氏)
こうしたニーズと課題にこたえるサービスとして採用したのがMicrosoft 365 E5だった。
世界中で日々業務を支えている超大規模なインフラ基盤を刷新することは簡単な取り組みではない。そこで住友商事ではグループのIT企業SCSKの支援を受けて議論を重ね、最終的にマイクロソフトのクラウドサービス群をフル活用したコラボレーションプラットフォームを構築することを決める。サービス選定とシステム構築のポイントについて、IT企画推進部 インフラシステム第二チーム ラインリーダー 伊庭甫氏はこう話す。
「従来はニューヨーク、ロンドン、日本という3拠点のデータセンターで、Exchange Server、SharePoint Server、Active Directory(AD)など、オンプレミスの仮想サーバーを含めて約150台のサーバーを管理していました。特にADの構成は複雑で、グローバルで10以上のマルチフォレスト構成となっており、それら3拠点をハブとして全世界をつなぐ構成でした。こうしたグローバル規模のシステムをクラウド化し、最高レベルのゼロトラストセキュリティで保護することができるのがMicrosoft 365の大きな魅力です。メールやスケジューラーのExchangeをはじめ、Web会議やチャットツールのTeams、ローコード/ノーコード開発のためのPower Platform、端末認証や端末セキュリティのためのWindows HelloやDefender for Endpoint、データ保護のためのMicrosoft Information Protection など幅広いサービスをフル活用しています。ゼロトラストセキュリティについては、Azure ADの条件付きアクセスやリスクベース認証、多要素認証、特権アクセス制御、またIntuneとの組み合わせによるデバイス認証などを使って実現しました。アプリ、認証基盤、デバイス管理にマイクロソフトのクラウドソリューションを全面採用しています」(伊庭氏)
プロジェクト推進における最大の成功ポイントは、全体のアーキテクチャ策定を綿密に計画し、そのうえで着実にプロジェクトを実施したことにある。役立ったのはSCSKが持つ超大規模プロジェクトの遂行能力だったという。塩谷氏はこう評価する。
「SCSKは、マイクロソフト製品はもちろん、PCからネットワーク、セキュリティまで幅広い領域に知見とノウハウがあり、グローバル規模でのプロジェクト実施の経験も豊富です。コロナ禍において、世界60カ国超を対象とした2年半にわたるシステム導入の推進は並大抵のことではありません。そんななかSCSKは、品質・コスト・納期(QCD)について一切の妥協なく当初の計画に寸分違わず目標を達成してくれました。マイクロソフトのサービスに対して高い専門性を持ち、グローバルでプロジェクトを実施できることにITパートナーとしての大きな信頼感がありました」(塩谷氏)
綿密なプロジェクト計画により、これだけ大規模かつ複数ソリューションの一括導入を計画通りに遂行できた。特に大きかったのは、例えばシステム全体に影響するようなオンプレミスのADとAzure ADの同期方式や、オンプレミスのメールデータの移行方式などの実現にあたり、各機能の関連性や整合性を踏まえたシステム全体のアーキテクチャについて、前工程でしっかり議論・検討できたことである。
最新技術の活用・ゼロトラストの実現を前提に、顧客環境の理解、Microsoft 365への知見もあるSCSKがマイクロソフト社の協力のもとで進めた。
図:全体概要図
Microsoft 365 E5の導入効果は大きく3つある。
まずはTeamsによる新しい働き方の推進だ。IT企画推進部 インフラシステム第二チーム 荻野雄輔氏はこう話す。
「『Web会議やチャットが非常に役立っている』という評価です。社内向けのシステム投資評価アンケートではTeamsに対する回答1500件のうち90%がポジティブでした。導入3カ月で1000万件以上のインスタントメッセージ、30万件以上の電話、17万件以上のWeb会議が実施され、業務にしっかり定着しています」(荻野氏)意志疎通が素早くなり、コミュニケーションロスも減ったという。
2つめは、グローバルでの最高レベルのゼロトラストセキュリティの実現だ。
「利便性とセキュリティの両立は今後のビジネス展開にも大きく貢献できると考えます。Microsoft 365だけに留まらずその他のオンプレシステムやSaaSの認証基盤もAzure ADに統合していくことでゼロトラストを更に推進していきます」(岩崎氏)
3つめはクラウドを活用した最新機能の利用だ。最も期待している機能には、Power PlatformやMicrosoft Vivaがあるという。
そのうえで塩谷氏は、こう今後を展望する。
「Power Platformによる市民開発など新しいカルチャーも生まれています。Microsoft 365活用をさらに進め、SCSKとともにより一層グループ全体のコラボレーションを活性化していきます」(塩谷氏)
我々にとっても非常にチャレンジングなプロジェクトでしたが、住友商事様のプロジェクトへの強力なコミットと、SCSKの技術力やグローバル対応力、プロジェクト推進力といった総合力を発揮し、お客様のご期待に応えることができました。
引き続き今回導入したMicrosoft 365を徹底的に活用し、更なるクラウド化とゼロトラスト化の推進をご提案していきたいと思います。
佐藤 健仁
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全世界に展開するグローバルネットワークとさまざまな産業分野における顧客・パートナーとの信頼関係をベースに、多様な商品・サービスの販売、輸出入および三国間取引、さらには国内外における事業投資など、総合力を生かした多角的な事業活動を展開している。
2023年2月初版