社内ファイルサーバーで運用していた140TB超の膨大なデータ
アウトソースにより自社移行の1/5のスケジュールでDropbox Businessへ移行
東急建設株式会社
経営戦略本部 コーポレートデジタル推進部
次長
東急建設株式会社
経営戦略本部 コーポレートデジタル推進部
インフラ・セキュリティグループ
専門部長
東急建設株式会社
経営戦略本部 コーポレートデジタル推進部
インフラ・セキュリティグループ
東急建設株式会社
経営戦略本部 コーポレートデジタル推進部
インフラ・セキュリティグループ
「SCSKの貢献により、当初35カ月かかる想定だった全社ファイルサーバーから
Dropbox Businessへのデータ移行を大幅に短縮し、
7カ月という短期スケジュールで支障なく完了できました」
経営戦略本部 コーポレートデジタル推進部 次長
志田 広毅 氏
東急グループの総合建設業(ゼネコン)である東急建設。渋谷駅前をはじめ東急沿線の都市開発でも強みを発揮しており、2021年3月には「0へ挑み、0から挑み、環境と感動を未来へ建て続ける」というメッセージを掲げた企業ビジョン「VISION2030」を策定している。これは、世界的に関心が高まっているSDGsを新たな事業機会と捉え、3つの提供価値(脱炭素、廃棄物ゼロ、防災・減災)を経営戦略の軸とするものだ。
東急建設 経営戦略本部 コーポレートデジタル推進部 次長の志田広毅氏は、「人材とデジタル技術による圧倒的なスピードを競争優位の源泉と定め、このビジョンへの共感を醸成し、従業員エンゲージメントを高めることで、新たな企業価値を創造していくことを目指します」と語る。
そんな東急建設が推進している施策の1つが、社内はもとよりジョイントベンチャー(JV)各社や協力会社、施主、設計事務所など社外のステークホルダーとも自由かつ安全に情報連携できる新たな仕組みづくりである。
情報共有の核となる既存のファイルサーバーは、共有ストレージを用いた全社ファイルサーバー、全国約330カ所の建設現場ごとに設置されたNAS(Network Attached Storage)ベースの作業所ファイルサーバー、文書管理システム用ファイルサーバーに分散しており、この要件を満たすことが困難となっていた。
東急建設 経営戦略本部 コーポレートデジタル推進部 インフラ・セキュリティグループ 専門部長の吉村典之氏は、そこで抱えていた課題を次のように語る。
「ファイルサーバーで保有するデータ総量は増加の一途をたどり140TBに達しており、保有コストが急騰していました。また社内と社外で情報共有の仕組みが異なり、二重管理となっていたことも問題でした。特に社外の相手と情報共有する際には大容量ファイル転送システムを利用した煩雑な手順を踏まなければならず、結果としてメールに依存した非効率かつセキュリティ上もリスクの高いファイルのやりとりが蔓延していました」
上記の課題を解決するため東急建設が打ち出したのが、「容量無制限のクラウドストレージを導入し、既存の全社ファイルサーバー、作業所ファイルサーバーおよび文書管理用ファイルサーバーを移行する」という方針だったと志田氏は説明する。
これに基づき東急建設は、数あるクラウドストレージの中からDropbox Businessを選定。「フォルダごとにアクセス権限を設定できるチームフォルダに加え、通常のエクスプローラー上で操作できる使い勝手の良さが決め手となりました」と吉村氏は語る。
しかし、Dropbox Businessへの移行には懸念もあった。東急建設は前述した3種のファイルサーバーのうち、まず全社ファイルサーバーからDropbox Businessへの移行を進めることにしたが、それでもデータ容量は約140TBに及ぶ。「Dropboxによれば、自力の手作業では毎週1TBのデータを移行するのが限界とのこと。計算上ではすべてのデータの移行を終えるまでに約3年の歳月を費やすことになり、めまいがするような思いでした」と吉村氏は振り返る。
当然のことながら、そんな長い期間をかけるわけにはいかない。そこでDropboxに相談を持ち掛けたところ、紹介されたのがSCSKだった。
こうしてデータ移行パートナーとなったSCSKは、まず全社ファイルサーバーのアセスメントを実施。ツリー構造を洗い出すとともに、各フォルダに格納されているファイルおよびそのタイプ(CADデータ、画像、書類など)と容量を調査し、専用の移行ツールを適用することで可能となる最短7カ月のスケジュールを提示した。
これにより移行作業は当初予定どおりの2021年4月から10月までの期間内で、特に支障をきたすことなく無事に完了することができた。「豊富な経験と実績に裏付けられたSCSKの計画力と実行力に感謝します」と志田氏は語る。
具体的には、SCSKは移行調査シートの作成に始まり、移行シミュレーション、初回コピー、差分コピーを経てローンチに至るステップを策定した。吉村氏は、このデータ移行作業フェーズにおけるSCSKのきめ細かな配慮も高く評価しており、次のように語る。
「移行調査シートを作成する段階でSCSKはユーザー部門に対してヒアリングを行い、すでに不要となっている除外フォルダや秘匿フォルダなどをあらかじめ洗い出した上で、移行対象の選択やアクセス権の設定を行ってくれました。また各フォルダへの新規書き込みをストップするタイミング、Dropbox Business側でユーザーを追加するタイミング、各フォルダを編集可能な状態に戻すタイミングなどを工夫し、ユーザーにとっても分かりやすく納得を得やすいプロセスを工夫してくれました。これがその後のDropbox Businessのスムーズな運用にもつながっています」
こうして東急建設では、2021年11月にDropboxをベースとする情報共有を開始した。エンドユーザーへの普及・啓蒙活動を推進している東急建設 経営戦略本部 コーポレートデジタル推進部 インフラ・セキュリティグループの宮井航氏は、「社内向けのマニュアルや動画コンテンツを作成し、各業務部門に展開しています。多くのユーザーから問い合わせを受けた操作方法に関しては基礎編応用編としてリアルな講習会を開催し、デモを交えた説明や質疑応答などフォローアップを行っています」と話す。また、東急建設 経営戦略本部 コーポレートデジタル推進部 インフラ・セキュリティグループの瀬戸健太氏も、「私たちインフラチーム自身が日々技術を取得しながら、社内での利用定着に努めています」と続ける。
引き続いて東急建設では、作業所ファイルサーバーからDropbox Businessへのデータ移行を実施し、2022年6月に完了している。こちらは基本的に東急建設の内製で行われているが、「SCSKには作業所ファイルサーバーとDropbox Businessの間でデータを双方向で移動できるAPIを活用した移行ツールの提供のほか、ツールの実行に関する技術支援もいただいており安心感があります」と吉村氏は話す。
その後も文書管理用サーバーからのデータ移行が控えているが、さしあたり内勤部門におけるDropbox Businessの活用がスタートしたことで、社内外との情報共有のあり方は大きく変わると見込まれている。
「建設現場での利用促進はこれからのタスクですが、社外のステークホルダーとのより柔軟かつ安全なコラボレーションが活性化することを期待しています。またVISION2030にもあるように、デジタル技術の活用は当社にとって競争優位を確立するための源泉であり、長期経営計画の中でもDX戦略の柱として位置付けています。そうした中で構築を予定しているデジタルプラットフォームにおいても、Dropbox Businessを有効に活用していきたいと考えています」と志田氏は今後を見据えている。
図:SCSKが提供する導入支援から導入後のサポートまでの主なメニュー
リモートワークが主流となる中、クラウドストレージのニーズは急速に拡大しています。Dropboxを利用することで、場所に捉われない働き方ができます。本プロジェクトは大規模な移行をリモート環境で実施しました。東急建設様と密に連携し、良い関係性を築けた事がプロジェクト成功の要因だと考えております。
上野 貴之
東急建設様の作業所ファイルサーバーからクラウドストレージ(Dropbox)へのデータ移行に際し、SCSKの移行作業の技術を高く評価いただき、ありがとうございました。今後の文書管理用サーバーからのデータ移行におきましても、東急建設様の一助になれるよう、引き続きご支援させていただきます。
樋口 和久
所在地:東京都渋谷区渋谷1-16-14 渋谷地下鉄ビル
U R L:
https://www.tokyu-cnst.co.jp/
東急グループのゼネコンとして、建設事業、土木事業、ニュータウン開発、都市再開発、技術開発、エンジニアリング事業、建設コンサルタント事業などを手がける。街づくりに関する豊富な実績と知見、生活者の視点で日常生活を止めない技術とノウハウ、土木・建築の枠を超えたチームワークにより、安心で快適な生活環境づくりに貢献するとともに、多彩な建設技術によるアプローチで、気候変動を含めた社会課題の解決に今後も全力で取り組んでいく。
2022年9月初版