中国拠点のITインフラを刷新し、高速化・効率化を実現
SASEソリューションでネットワーク基盤を再構築
Cato Networks社 Cato Cloud
「SCSKの提案は運用を踏まえた構成・段取りがきちんと提示され、
実際の導入作業も淀みなくスムーズに進んだことを高く評価しています」
株式会社ブルボン デジタル推進部 部長代理
磯野 伸幸 氏
ブルボンは、1923年に発生した関東大震災の影響から地方への菓子供給が全面的にストップした窮状を見た創業者・吉田吉造氏が、「地方にも菓子の量産工場を」という決意のもとに新潟県柏崎で立ち上げた企業。ビスケットから始まり、キャンデー、チョコレート、スナック、米菓など多種多様な菓子類を生産する大手総合菓子食品メーカーへと成長した。現在は飲料、健康食品、冷菓など、幅広い分野の商品を開発・製造・販売している。
近年は事業のグローバル化に力を入れており、その足掛かりとして2007年に中国・上海に販売拠点を設立。翌2008年に長興に生産工場を設立。その後、北京をはじめ10都市以上に営業拠点を構え、中国における事業拡大を進めてきた。そうしたなか、中国拠点の基幹業務システムやネットワークなどITインフラ面の課題が浮き彫りになったという。
「2014年に更新した中国生産拠点の基幹業務システムの経年に伴い、リプレースが必要となっていました。調査・ヒアリングを通じて、中国国内、日中間の通信帯域が狭いなど、ネットワークの整備・構築も急務であると認識しました」(磯野氏)
これらの課題を解決するために、情報システムを担当するデジタル推進部は2021年7月に中国のITインフラを刷新する検討を開始。現状の課題を改めて洗い出したうえで要件をRFP(提案依頼書)にまとめた。
「RFPではサーバー老朽化対応や機器調達とは別に、インターネット接続やセキュリティ対策を含む中国国内、および日中間のネットワーク更改に関する提案をお付き合いのあるSIベンダー3社と新たにSCSKへ依頼しました」(鈴木氏)
RFPには中国国内のネットワークは必要な帯域を安定して確保できること、日中間のネットワークは高額・低速な帯域保証型の国際専用線を廃止して新たなネットワークサービスを導入することなどが示された。そのRFPに対して提案を回答したのは3社。そのうちの1社がSCSKだった。
「実は今回の中国ITインフラ刷新とは別に、当社の新しいネットワーク基盤を検討するなかでSASE(Secure Access Service Edge)ソリューションに興味を持ち、情報収集していました。SCSKとのお付き合いは、同時期に別商材のご提案をいただいたのが初めてでした。その後お話させていただく中で、中国ITインフラ刷新の話が持ち上がり、『Cato Cloud』の紹介を受けていたこともあり、SCSKにもお声掛けをし、提案を受けることにしました」(近藤氏)
2021年10月にRFPの回答を受け取ったブルボンは、すぐに提案内容の入念な比較検討を実施。最終的に同社が採用することに決めたのが、SCSKの提案だった。
「RFPの回答があった3社のうちの2社は、インターネットVPNや中国の独自クラウドサービスを組み合わせた提案でした。それに対しSCSKからは、ネットワークとセキュリティをCato Cloudに一元化するという提案でした。中国との接続においては、構成が複雑になることや、設備メンテナンスや障害発生リスクにより運用負荷が高まることを想定していたのですが、SCSKの提案は『本当にそれでできるの?』と思うくらいシンプルかつ簡単に運用できる仕組みでした。SCSKにはCato Cloudの豊富な導入実績とノウハウもあることから、SCSKの提案に沿ったPoC(Proof of Concept)を実施してみることにしました」(磯野氏)
ブルボンでは中国拠点の主導によるプロジェクトを立ち上げ、2021年10月から2022年1月にかけてCato CloudのPoCを実施した。このときに大きな役割を果たしたのが、SCSKの中国現地法人、思诚思凯信息系統(上海)有限公司(以下、SCSK上海)だった。
「SCSK上海は各拠点の現地に赴いてITインフラの現在の状況を調査するアセスメントの実施をはじめ、Cato CloudのPoCや導入において、現地調査の結果を踏まえた最適なSocket設置の提案や、SCSK上海の現地スタッフを介して、当社中国拠点のスタッフとの円滑かつ正確なコミュニケーションの実現などを支援してくれました。このようなSCSK上海の貢献も、SCSKを選定した大きな決め手の一つです」(鈴木氏)
Cato CloudのPoCを実施した結果、中国拠点の現場からは「ネットワークのレスポンスが非常に良くなった」という高い評価を得たという。さらにPoCを通じ、エージェント導入の容易さを含め、運用コストの低減が見込めると判断した。
「RFPでは中国国内、および日中間で円滑な情報共有とコミュニケーションを図る目的でオンラインストレージやビジネスチャットツールを導入することも要件に挙げており、SCSKからもそれに則した提案がありました。ところが、PoCを進めるなかでCato Cloudを経由すれば、当社が国内で導入している『Google Workspace(旧G Suite)』が、中国のグレート・ファイアウォールの影響を一切受けずに、そのまま利用できることが分かりました。結果的にオンラインストレージやビジネスチャットツールを新たに導入する必要がなくなったわけです」(近藤氏)
このようなPoCの結果を受け、正式にCato Cloudの導入を決断したブルボンだったが、ちょうどその時期に中国各地でコロナ禍によるロックダウンが発令されるという想定外の事態に見舞われる。これにより導入スケジュールに若干の遅れが生じたものの、段階的なロックダウン解除の中、中国現地と綿密なコミュニケーションを行い、導入作業日を決定し、SCSK上海が迅速に対応。2022年7月に本番稼働に漕ぎ着けた。
「長興と上海の拠点にはエッジデバイス(Cato Socket)を設置し、その他の営業拠点からは今後リモートアクセスでCato Cloudに接続する方法を想定しています。中国国内にはネットワークの構築・運用を担当する専任担当者がいませんが、Cato Cloudならば難なく運用できます。現地スタッフが一様に外部システムを利用でき、情報共有やコミュニケーションが可能になったことに加え、何よりも通信速度が大幅に高速化し、エンドユーザーがストレスなく業務を行えるようになったことが最大の効果です」(近藤氏)
中国拠点へのCato Cloudの導入に合わせ、ブルボンでは日本にある本社もCato Cloudに接続。日中間における安定、かつセキュアなネットワーク基盤を整備した。現在は日本全国の新設の事業所、あるいはライフサイクルのタイミングで順番にCato Cloudを展開している。直近では現在運用している既存SWG(Secure Web Gateway)をCato Cloudへとリプレースする方針だ。
「これから数年をかけて国内各拠点のネットワークをCato Cloudに統合していく計画です。Cato Cloudの導入により世界中で利用可能なネットワーク基盤を構築できたことで、国際競争力の強化とグローバル化推進を目指す当社の海外進出も容易になるものと考えています。SCSKには引き続き、手厚いサポートと支援を期待しています」(磯野氏)
SCSKでは今後もCato CloudによるSASEソリューションを通じ、ブルボンのグローバルネットワークを支え続けていく。
図:中国拠点との⾼品質で安全なネットワーク接続を⾏えるCato Cloud
所在地:新潟県柏崎市駅前1-3-1
U R L:
https://www.bourbon.co.jp/
1924年に創業した総合菓子食品メーカー。「ルマンド」「アルフォート」など国内シェアトップのビスケットをはじめ、チョコレート、米菓、飲料など、多様なカテゴリーのバラエティ豊かな商品を提供している。「おいしさ、思いやり、いつもいっしょに。」の合言葉のもと、“食”の提供だけでなく、心と体の健康づくりの観点から文化・芸術・スポーツ支援活動にも積極的に取り組んでいる。事業活動を通じ、「健康増進総合支援企業」として継続的な発展と社会貢献を目指す。
2022年9月初版