クラウディアン株式会社 様

世界中に展開する
ストレージシステムのログデータを
Splunkで管理 
担当者がいつでも
データ活用できる環境が実現

働き方改革・生産性向上

ストレージのスケールアウトによりログデータの無制限な保存・検索が可能に
ログデータの蓄積/検索/可視化を自動化し運用負荷を軽減

事例のポイント

お客様の課題

  • 収集した膨大な量のログデータを十分に活用できていなかった
  • ログデータを扱う担当者の負荷が大きくなっていた
  • 自社開発のログデータ収集・分析アプリケーションではビッグデータ分析に限界があった

課題解決の成果

  • ログデータを無制限に保存できるようになり、蓄積/検索/可視化する仕組みが整った
  • 属人化していた運用が自動化されたことにより、運用負荷が軽減された
  • 世界中の保守サポート担当が膨大な量のログデータをいつでも活用できる環境が実現した

導入ソリューション

  • ログデータプラットフォーム「Splunk」

クラウディアン株式会社
グローバル テクニカル サポート
バイス プレジデント

後藤 哲明

クラウディアン株式会社
グローバル テクニカル サポート
プリンシパル サポート エンジニア

栗原 傑

クラウディアン株式会社
グローバル テクニカル サポート
プリンシパル サポート エンジニア

吉川 浩平

「世界中に展開するストレージシステムからログデータを取得するため、1日あたりのデータ量は数百GBにものぼります。それゆえストレージのスケーラビリティが重要だったのですが、Splunkはこの要件を満たしていました」

グローバル テクニカル サポート バイス プレジデント

後藤 哲明

背景・課題

世界中の顧客に対する保守サポートにおいて
膨大な量のログデータを活用したいが、
負荷の軽減が課題に

 日本で生まれ、シリコンバレーを本社とする新進気鋭のベンチャー企業、クラウディアン。同社の主力製品であるオブジェクトストレージ製品「CLOUDIAN HYPERSTORE」は、国内外の大手クラウドサービスやエンタープライズITのオンプレミスのストレージとして採用されている。同社の売上高は9割以上を海外が占めており、顧客数は大企業から中小企業まで約600社。業種も金融、通信、製造、医療、政府・公共など幅広い。

 世界中に顧客を抱える同社において、トラブルシューティングなどの保守サポートはリモート対応が基本であり、ストレージシステムやハードウェアにまつわるログデータは、一元的に集約しサポートチームが分析している。しかし、収集したログデータは膨大な量であり、十分に活用できているとは言えず、担当者の負荷も大きくなっていた。この点についてグローバル テクニカル サポート バイス プレジデントの後藤哲明氏は「これまでは自社で開発したアプリケーションでログデータの収集・分析を行っていましたが、ビッグデータを有効活用するには限界がありました。また、開発や運用が属人化してしまう恐れもあったのです。担当者が本来注力すべき業務へ集中するためにも、既に評価の確立した管理ツールを導入する必要があるのではと考えました」と語る。

解決策と効果

機能やスケーラビリティなどを評価しSplunkを採用
いつでもログデータを活用できる環境が実現

 クラウディアンは、3社の管理ツールを候補とし比較・検討。結果、グローバル規模でトップクラスの実績を持つ「Splunk」の採用を決めた。
「要件としたのは、標準機能であらゆるログデータを分析できることに加え、ログデータを蓄積するストレージがスケールアウトできることでした。当社の場合、世界中に展開するストレージシステムからログデータを取得するため、1日あたりのデータ量が数百GBにものぼり、今後顧客が増えればさらに増加します。それゆえストレージのスケーラビリティが重要だったのですが、Splunkはこの要件を満たしていました。また、他社製品ではアプリケーションの開発にベンダー費用が発生しますが、Splunkはエンドユーザーコンピューティングに対応しており、ユーザー側にアプリケーションを作成できる自由度があることも評価しました」(後藤氏)

 導入パートナーには、国内で100社以上のサポート実績があり、Splunk社認定の資格を保有したエンジニアが多数いる、コンサルテーション・設計・構築・導入サービス、運用支援などがトータルで支援できるベンダーとしてSCSKを指名。2019年2月から打ち合わせを始め、6月にPoCを実施。その後、PoCで発生した問題点を改善し、11月より本格運用を開始している。作業を担当したグローバル テクニカル サポート プリンシパル サポート エンジニアの栗原傑氏は「当初、ログデータを保存するディレクトリにNFSマウントを使って開発を行っていました。ところがSplunkからのログデータの読み込みに想定より時間がかかるという問題が出てしまったのです。そこで、接続方式を一般的なファイルシステムに変更し、問題を解決しました。」と当時を振り返る。

 また、システムの構築時には、世界中から集まるログデータを1日1回、短時間に読み込ませるための工夫も行っている。
「数百GBのログデータを一気に読み込ませる必要がありますが、そのままだと相当な時間がかかってしまいます。そこでSplunkのパラメーターを調整し、2時間程度で全てのログデータを読み込ませるよう改善しました」(栗原氏)

 運用の開始後は、グローバル環境でユーザーの利用を促進するため、自社内の分析環境整備に取り組んだ。具体的には、操作マニュアルやログデータを検索するためのクエリ、可視化するためのダッシュボードなどを作成した。グローバル テクニカル サポート シニア サポート エンジニアの吉川浩平氏は「ログデータが収集できても、ユーザーがすぐに使いこなせるわけではありませんので、まずは欲しいログデータが検索できるよう操作マニュアルを作成しました。また、SCSKとのPoCの際に作成した、検索クエリやダッシュボードをもとに、現場のユーザーからフィードバックをもらい、改善を重ねました」と語る。

 現在、ログデータは直近のログデータをIndexersとしてSplunkの高速ストレージ上に保存。1週間経ったログデータは検索頻度が低くなるため、自動的にリモートストレージへ保存する機能「Splunk SmartStore」を使い、同社のAmazon S3互換のオブジェクトストレージ上に保存している。これにより、ログデータは無制限に保存・検索することができるようになり、同時にストレージコストも軽減している。

 今回の導入により、同社の抱えていた不十分なログデータ活用や運用の属人化といった問題が解決された。さらに、ログデータの可視化が進んだ結果、担当者はいつでも全ての顧客のストレージシステムの状態を確認できるようになった。
「担当者は、定型的なレポートやダッシュボードを見るだけで、迅速に対応できるようになりました。現在は、機械学習を用いたデータ分析を可能にするSplunkのMLTK(Machine Learning Toolkit)の機能を活用し、ハードウェア故障を事前に予測することに取り組んでいます」(吉川氏)

 また、ログデータを可視化する仕組みがすべて整い、自動化することで属人化していた運用が解消。多大なコストをかけることなく基盤を維持することも可能になった。同社は毎日大量のログデータを保存しているが、利用頻度が低いログデータについてはリモートストレージへ保存しているため、多大なコストをかけることなく基盤費用の大幅削減に寄与している。
「お客様の数が右肩上がりに増え、管理するストレージシステムやハードウェアが増えていっても、担当者の数を大きく増やすことなく、必要最低限のリソースで効果的なサポートができるようになりました」(後藤氏)

今後の展望

機械学習による障害予測ほか、
さらなる活用を目指す
SCSKにはTipsや他社事例、技術情報などを期待

 クラウディアンがSplunkの利用を開始してから2年が経過したが、今後はさらに活用レベルを高めていく考えだ。
「1つは機械学習(MLTK)で、サーバーからアプリケーションまで障害予測の範囲を拡大していきます。もう1つは他のアプリケーションとの連携です。Splunkから取り出したログデータをSalesforceやSlackなどと連携し、担当者や顧客にアラートを送ることを検討しています」(後藤氏)

 SCSKに対しては今回の導入に際し、PoCの実施から、課題解決、要件定義、設計、構築、運用開始後のQ&Aサポートまで一貫して支援してくれたことを評価している。
「SCSKは大手ベンダーでありながら、私たちのようなベンチャー気質もあって、安心して仕事ができるパートナーであると実感しています。今後もこれまでと変わらないサポートをお願いすると同時に、Splunkを効果的に利用するためのセミナーなどを通じたTipsや、MLTKを活用した事例、最新の技術情報などの継続提供を期待しています」(後藤氏)

SCSK担当者からの声

弊社のSplunkのお客様はセキュリティ用途での利用が多い中、クラウディアン様はIT運用用途でご導入いただきました。今回導入したSplunkを用いたことによって世界各国のサポートメンバーの運用負荷が削減されたと伺いました。このような取り組みの一端を担えたことを非常に光栄に思います。クラウディアン様は機械学習を利用した障害予測など、先進的な取り組みを実施されておりますので、Splunkをより活用いただけるよう、提案、ご支援を引き続き実施してまいります。

プラットフォーム事業グループ
ITエンジニアリング事業本部
ミドルウェア第二部 第三課

織田 直樹


お客様プロフィール

クラウディアン株式会社

所在地:東京都渋谷区渋谷2-11-6
U R L:
https://cloudian.com/jp/

2001年に日本で創業したオブジェクトストレージベンダー。グローバルにビジネスを展開しており、現在はシリコンバレーに本社を置く。2011年にAmazon S3 API完全準拠を目指して開発したスケールアウト型オブジェクトストレージ製品「CLOUDIAN HYPERSTORE」を発表し、国内外で多くの企業に採用された。近年はパートナー企業との連携強化に取り組み、クラウドベンダーやアプリケーションベンダーなどと共同でビジネス開発を進めている。

2022年2月