新電力事業を展開する日英合弁会社のTGオクトパスエナジー
コミュニケーション基盤に「Google WorkspaceTM」を採用
「迅速な支援により、非常に短期間で導入することができました。
プロジェクト管理や運用開始後のフォローも含め、
お互いが成長できる関係性を築けたことに感謝しています」
TGオクトパスエナジー
本庄 明史 氏
TGオクトパスエナジーは2021年2月、東京ガスと英オクトパスエナジーの合弁により設立された新電力会社だ。東京ガスグループが掲げる経営ビジョン「Compass 2030」のチャレンジである「2030年に顧客アカウント数2,000万件」を達成するために、お客様一人ひとりの幅広いニーズに合わせた、柔軟かつ分かりやすい電気料金を全国でスピーディーに提供していくことで、エネルギービジネスを通じた「新たな顧客体験」を浸透させていくことを目指している。
「TGオクトパスエナジーは、東京ガスの意思決定プロセスやシステムなど既存の制約にとらわれることなく、電力ビジネスを展開する企業として設立されました。オクトパスエナジーが開発したデジタルプラットフォーム『Kraken』を日本の電力事業で利用できるようにローカライズするとともに、将来的にはオクトパスエナジーが英国で展開する『再生エネルギーメニュー』を日本市場にも適用し、東京ガスグループが目指している『CO2ネット・ゼロ』をリードしていきたいと考えています」(本庄氏)
2021年10月に本格的なビジネスをスタートさせた同社だが、合弁企業ということもあって会社設立当初はさまざまなシステム面の課題があった。特に課題を感じていたのがファイル共有だった。
「ファイルを共有する場合、容量が小さいファイルはメールに添付、容量が大きいファイルは外部のファイル共有サービスを利用するしか方法がありませんでした。しかしこの方法では、メンバー間の迅速な情報共有やリアルタイムコミュニケーションが難しく、意思決定に必要なアウトプットを完成させる際の足かせとなっていました」(本庄氏)
こうした課題を解決するために、TGオクトパスエナジーはコミュニケーション基盤の導入を急ぐことにした。まずは日本の東京ガスグループが導入している「Microsoft 365」と、英国のオクトパスエナジーが導入している「Google Workspace」の2つのサービスを候補に挙げて比較検討を実施。その結果、Google Workspaceの採用を決めた。
「当社は、会社設立当初から従来の“日本(東京ガス)のやり方”を踏襲するのではなく、“英国(オクトパスエナジー)のやり方”で事業を運営する方針にしています。英国ではコミュニケーション基盤にGoogle Workspaceを導入していたこともあり、Google Workspaceを選定することにしました」(本庄氏)
Google Workspaceの採用を決めたTGオクトパスエナジーは、すぐにGoogle CloudにGoogle Workspaceについての説明を依頼。トライアル環境の提供を受け、実際に試用・検証することにした。
「検証の結果、Google Workspaceを導入すれば、Google ドライブTMを使って柔軟にファイル共有をしたり、GoogleスプレッドシートTMやGoogleドキュメントTMで複数人が同時に編集したりすることが可能になり、意思決定に必要なアウトプットを迅速に作成できることが確認できました。また、Google Workspaceはビジネスチャットツールやビデオ会議ツールと連携できるなど、社員の利便性向上にもつながることが分かりました」(原田氏)
しかしながら本庄氏も原田氏も、東京ガスiネット(東京ガスグループのシステムインテグレータ)時代も含め、Google Workspaceの導入を経験したことがなかった。そこで手厚いサポートを提供してくれる導入パートナーを探すことにした。
「導入パートナーを探したところ、Google Workspaceのリセラー一覧にSCSKの名前を見つけました。SCSKは東京ガスiネットのコアパートナーであり、長年にわたる豊富な取引実績からも最も信頼できると考え、声を掛けました」(本庄氏)
TGオクトパスエナジーから指名を受けたSCSKは、さっそく要件定義から設計・構築までを提案書にまとめて提出した。
「SCSKでもGoogle Workspaceを取り扱い始めたばかりと聞きましたが、その不安よりもGoogle Workspaceの知見をお互いに深めていけることにメリットを感じ、SCSKに正式に依頼することにしました。お互いに分からないことは早急に話し合って解決していくフラットな関係を構築できるだろうという期待もありました」(本庄氏)
導入プロジェクトをスタートさせたTGオクトパスエナジーとSCSKでは、2週間という短期導入を実現するために、宿題は残さずその場で解決するという姿勢で臨んだ。要件定義と設計は、TGオクトパスエナジー側が運用管理の知見を深めるために、SCSKから提案されたベストプラクティスを極力採用して運用するという方針にした。中でも特に、アカウント管理ポリシーや端末管理など、セキュリティに関して細心の注意を払った。
「予定通りに2週間で導入を終え、運用を開始しました。当初は日英で約30ユーザー程度の利用ですが、10月の事業開始に向けてユーザーを増やす予定にしています。まずはGoogle WorkspaceのコアアプリであるGmailTM、GoogleカレンダーTM、Google ドライブの効率的な利用を全ユーザーに浸透させることを優先しています。SCSKには、導入まで非常に短期間であったのにもかかわらず、会議時間の調整や素早いQA対応を実施してくれたことに感謝しています」(原田氏)
導入に際しては、SCSKが利用者向け、管理者向けのマニュアルを作成。管理者は、実際の運用を通じてGoogle 管理コンソールのノウハウを吸収していると話す。
「ノウハウはドキュメントに残して標準化を進め、今後は他のメンバーでもGoogle 管理コンソール業務が実施できるように『管理者マニュアル』を整備し、後任教育をしていきたいと思います」(原田氏)
図:Google Workspace 導入から定着まで
こうしてGoogle Workspaceを使い始めたTGオクトパスエナジーでは、今後もGoogle Workspaceの利用を段階的に広げていく予定にしているという。
「当社はゼロトラストセキュリティの考え方を取り入れ、日本本社、英国オフィス、在宅テレワークなどあらゆる場所から同じコミュニケーション基盤にアクセスすることを重視しています。その点、Google Workspaceならば、ある程度のセキュリティ要件を担保できると考えています。今後は、SAML※によるサードパーティアプリの認証統合とシングルサインオン、モバイルを含めたデバイス管理の強化に取り組む計画です。事業拡大に伴ってたとえユーザー数が増加したとしても、Google Workspaceを核とするコミュニケーション基盤を拡大させていきます」(原田氏)
SCSKには、今回のGoogle Workspaceをきっかけに、さらなるパートナー関係の強化を望んでいるという。
「TGオクトパスエナジーは、時代の変化に強くお客様第一に考えた施策を次々に提供し、ビジネスを拡大させていく方針です。そのためにも迅速な意思決定を実現できるGoogle Workspaceは、当社にとって欠かすことのできない重要なコミュニケーション基盤であり続けるでしょう。SCSKには今後も、Google Workspaceをはじめとする最適なソリューションの提案を期待しています。これからも今の関係性を継続し、引き続き支援をお願いしたいと考えています」(本庄氏)
※SAML (Security Assertion Markup Language)…OASISによって策定された異なるインターネットドメイン間でユーザー認証を行うための XML をベースにした標準規格
Google Workspace、Google ドライブ、Google スプレッドシート、Google ドキュメント、Gmail および Google カレンダーは Google LLC の商標です。
本プロジェクトにあたり、TGオクトパスエナジー様には多大なるご協力をいただき改めましてお礼申し上げます。昨今の社会状況において、コミュニケーションツールがビジネスへ与える影響はさらに拡大していくものと思われます。当社は単なるシステムインテグレーターではなく、共にビジネスを創り上げる共創パートナーとしてお客様へ新たな価値が与えられるよう取り組んでまいります。
會澤 一樹
短期間でのプロジェクトでしたが、TGオクトパスエナジー様には何度も打ち合わせに参加してすり合わせにご協力いただきました。おかげさまで高品質短納期にて無事リリースできました。また、高評価をいただけて非常にうれしく思っております。今後も引き続きご支援させていただきます。
劉 燁
所在地:東京都中央区日本橋箱崎町41番12号KDX箱崎ビル
東京ガスと英オクトパスエナジーとの合弁により2021年2月に設立された新電力会社。オクトパスエナジーのデジタルプラットフォーム「Kraken(クラーケン)」を日本向けにローカライズすることで対応の迅速化、少人数の顧客対応によるコスト低減を実現するとともに、デジタルチャネルを活用した顧客アプローチと、多彩なキャンペーンを駆使した需要の掘り起こしを進め、顧客獲得を目指している。
2021年10月初版