約2万台のPCのOfficeを
「Microsoft 365 Apps for enterprise」へ移行
綿密な検証とテストにより、1週間でスムーズに展開
Microsoft 365 Apps for enterprise
(旧名称:Office 365 ProPlus)
「我々の疑問や課題を高い技術力、提案力にて解決いただきました。
また、先を見据えたプランニングにより、終始安心してプロジェクトを進めることができ感謝しております。」
情報システム部 情報基盤グループ 参事
金丸 泰平 氏
三菱電機ビルテクノサービスは、エレベーター、冷熱機器などの遠隔管理などを行うトータルビル管理サービス、ビル設備などの診断・コンサルティングサービス、ビル設備のリニューアルなど、ビルをトータルでサポートするビジネスを行っている。サービス拠点は全国で約400拠点にのぼり、関連会社も29社を数える。
同社の情報システム部門では2020年10月にサポートが完全終了するOffice 2010の更改検討を2018年に開始した。このサポート終了問題に加えてOffice更改を行う理由がもう一つあった。それは三菱電機グループ全体のグローバルIT基盤サービス『MELGIT(Mitsubishi Electric Global IT platform service)』の導入準備を進める必要があったことだ。
MELGITは三菱電機グループ15万人が利用するIT基盤で、Microsoft 365と三菱電機グループ独自のクラウド環境を統合したものだ。その関係もあり2020年度中にMicrosoft 365 Apps for Enterprise(以下、M365Apps)を導入する必要があったのだ。
「MELGITは、グループ全体および当社ITの仕組みを整え、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進していくためのベースとなります。
6割の社員が技術職という当社の強みを生かし、ビルインフラのスマート化などにより、お客様の課題を解決する体制を整備しています」(情報システム部 部長 塩崎 秀樹 氏)
こうした背景によりM365Appsへの移行は進められたが、事はそう簡単ではない。同社グループには関係会社を含め、約400拠点が存在し、設備メンテナンス用の専用PCを含め、PC台数は2万台にも及ぶ。更に業務毎にPCの種別・運用方法が異なり、拠点のネットワークの回線状況も異なる。そうした複雑な環境に対してM365Appsをいかに確実・迅速にネットワーク経由で配信・展開するかが大きな課題となった。また展開後も新機能の提供やセキュリティを維持するための更新を運用し続けることが求められる。
「情報システム部門のスタッフが全ての拠点にサポートに出向くことはできません。可能な限り自動化し、どうすれば従業員に負担をかけずアップデートができるかを部署内で検討しました」(情報システム部 情報基盤グループ マネージャー 小山 紀和 氏)
どうすればスムーズにM365Appsを展開できるのか――。効率の良い配信の仕組みが必要だという結論に至ったものの、期間が限られていることもあり、マイクロソフトの技術に詳しい信頼できるパートナー企業の力を借りることにした。
早速パートナー探しを始めたものの、なかなか良い相手に巡り合えない。大規模環境におけるM365Appsの展開・更新運用に関するノウハウやナレッジを持つ企業がいなかったためだ。
6カ月の間に数社と面談したが、そうした中で選ばれたのが、SCSKグループのWinテクノロジ株式会社だった。
「前提条件であるマイクロソフトの技術に詳しいということで他のベンダーから紹介を受けました。Winテクノロジさんには、我々が抱えている疑問や課題に真摯に向きあい、一緒に考えてくれる姿勢を強く感じました。もちろんマイクロソフトとの強いパイプがあり、我々が必要としているテクニカルな情報を有していたことも選定した大きな理由です」(情報システム部 情報基盤グループ 金丸 泰平 氏)
こうして2019年6月に契約を結び、8月から約7カ月をかけて全体計画策定と先行検証を平行実施していく。ここでは、M365Appsに関する情報収集、さまざまな課題の抽出とそれをクリアするための方法、プロトタイプ作成による機能立証、全体ロードマップの策定、業務部門との課題抽出など、多岐に渡る準備を進めた。
そして2020年4月から、配信サーバーや制御プログラムの実装、結合テスト、トラブルシューティングナレッジ、運用マニュアルづくりなど、本番展開の準備を進める。
「毎週打ち合わせを行い、課題や不安を一つ一つ潰していきました。その上で実環境に近い検証環境を用意し、多角的な検証を実施しました。その過程でWinテクノロジさんとは強い信頼関係が生まれたと感じます」(情報システム部 情報基盤グループ 藤田 広樹 氏)
実は同社にはすでにソフトウェア配信の仕組みが存在しており、Winテクノロジ はこの仕組みを活用した展開・更新機能を考案した。更にBranchCacheを併用することで、M365Apps展開・更新におけるネットワークトラフィックを大幅に削減できることも判明した。
こうして大規模配信を効率的に行うことができる仕組みを構築したうえで、2020年10月に全国約400拠点、約2万台のPCへM365Appsのインストールデータの配信を実施した。
「当初は本当に上手くいくのか、正直なところ不安でした。ところが実際に配信してみると、BranchCacheが予想以上に効果的であることがわかりました。ネットワーク環境が十分でない拠点やBranchCache発生における他のPCへの影響が不安でしたが、事前の検証結果どおり問題無く配信ができました」(小山氏)
M365Apps のインストールデータの配信は約1週間で完了し、その後のインストール作業もインストールデータに組み込んだWinテクノロジ独自の自動インストール機能により、PC利用者の負担を最小限に抑えることができた。PC個別の問題による問い合わせも何件か発生したが、準備期間中に蓄積していたトラブルシューティングのナレッジやWinテクノロジの支援体制により迅速に解決でき、情報システム側はこの2万台の展開期間を平穏に過ごすことができた。
「事前に徹底的に検証を行い、懸念事項を一つ一つ解消していった成果だと思います。時間をかけて準備したことで、それに見合った成果を得ることができました」(金丸氏)
初期展開の完了後、すでに更新プログラムを2回配信したが、導入時よりも短い時間で配信ができるようになっている。
「初回の配信は余裕を見て1週間ほどかけましたが、それは配信サーバーのピーク時間後の待ち時間を長めにとっていたからです。その後の更新では、ピーク時間からの復帰時間を短く設定することで、1週間もかからず配信ができるようになりました」(藤田氏)
また、M365Appsの導入を実現したことで、次のステップにも期待を寄せる。
「従来利用していたOffice 2010は古いアプリケーションだったので、新しい試みを実現したいと思っても実現できない部分がありました。今後は、DXに向けていろいろと試していきたいと考えています。そうした部分も含め、マイクロソフトのテクノロジーに関する分野では、今後もWinテクノロジさんの総合力が大きな力になってくれると期待しています」(金丸氏)
大規模ユーザーにとって従来のOfficeからM365Appsへの移行は大きなテーマだ。それを綿密な計画のもとで成功させた三菱電機ビルテクノサービスとWinテクノロジの取り組みは、同様の課題対応を検討している企業にとって大きな参考になるだろう。
Office製品の導入・更新運用を隅々まで追及すると、実は相当な規模の計画と運用が必要となります。今回弊社でご支援させていただきました三菱電機ビルテクノサービス様は、既存資産の利点を最大限活かしながら新しい仕組みを積極導入することで、理想的なOffice運用を実現した企業様です。このご支援においてお客様から学ばせていただくことも多く、私共も終始高いモチベーションでご支援させていただきました。今後も多くのお客様に喜ばれるお仕事をモットーに、さまざまな課題解決をご支援させていただきます。
佐々木 一之
※ Winテクノロジ株式会社は、2021年10月1日を効力発生日として、株式会社Minoriソリューションズおよび
株式会社CSIソリューションズと
合併し、SCSK Minoriソリューションズ株式会社に商号変更
所在地:東京都千代田区有楽町1-7-1
U R L:
https://www.meltec.co.jp/
1954年設立。ビル運営を総合的にサポートする「トータルビル管理サービス」、建物・設備の状況からビル設備のエネルギー効果までを科学的に調査・分析する「ビル診断・コンサルティング」、ビルのあらゆる設備のリニューアルを支援する「総合リニューアル」に関する事業を展開。個々のビルのライフステージに応じたソリューションの提供を目指し、充実したサポート体制を整備しています。
2021年1月