株式会社トモズ 様

CRMサービス「betrend」を核に
会員向けアプリを構築
顧客属性を活かし
顧客目線の販促が可能に

顧客接点の高度化

顧客とメーカーの間に立つ小売業として
会員向けアプリで接点を強化し
新しい価値の提供を目指す

事例のポイント

お客様の課題

  • 激化する競争において顧客ロイヤリティ向上とサービス差別化が必要
  • 憶測マーケティングからの顧客の顔を知るマーケティングが必要
  • マスマーケティングからOne to Oneマーケティングへの転換

課題解決の成果

  • データ活用や他サービスと連動しサービス拡充・利便性向上
  • 施策実施から購買までを顧客属性と掛け合わせた分析・施策実施が可能に
  • 利用履歴などのデータ分析から顧客目線の適切な販促が可能に

導入ソリューション

  • 「betrend」を核とした会員向けアプリ構築

株式会社トモズ
営業推進部副部長兼
DXプロジェクトリーダー

小室 伊都子

株式会社トモズ
営業推進部
シニアマネージャー

渡部 祥治

プロモーションの実証ができるようになったことで、マーケティングの効果測定に活用できると期待しています。 私たち小売業だからこその新しい価値を提供したいですね。

営業推進部副部長兼 DXプロジェクトリーダー

小室 伊都子

背景・課題

激化する競合環境で
顧客のニーズに応え続ける為に
データ活用を可能にする環境構築が必要

 首都圏を中心に、ドラッグストア「トモズ」をはじめ、「アメリカンファーマシー」「INCLOVER」「THIS IS 365」など、約200の店舗を展開するトモズ。設立当初から「かかりつけ薬局を目指す」という経営理念のもと、調剤薬局併設型ドラッグストアを展開しており、売上高の中で調剤比率が高いことが特徴だ。また、薬剤師による専門性を活かしたアドバイス、管理栄養士、美容部員による充実した相談機能も強みであり、特に都市生活者から大きな支持を集めている。
 かつて同社では、顧客との関係の構築・維持、顧客属性の取得などを目的にポイントカードを発行して会員向けポイントサービスを提供していた。配布数は総計700万以上に達しており、年間1回以上利用するアクティブ会員だけでも240万に及んでいた。しかしながら、ポイントカードでは顧客属性などの情報が3割程度しか取得できていなかったという。営業推進部 マネージャー 小室伊都子氏は「こうした理由もあってお客様との接点が断片的だったため、必要なデータがなく適切な販促が行えなかったのです。今後、お客様の価値観はますます多様化していくでしょうから、それに対応した施策が求められようになります。『かかりつけ薬局』を自負する立場からも、データに基づいてニーズを分析し、商品展開や販促活動につなげていくためには、データ活用を可能にする環境の構築が不可欠と考えました」と語る。

 この動きに合わせて同社は、マーケティングの軸足をチラシのポスティングなど従来のマスマーケティングからOne to Oneマーケティングへ移すことを決断。より顧客視点での販促の実現も目指すことにした。
 同社は2017年からデータ活用のプラットフォームの検討を開始。しかし、当時は調剤なども含めた多くの顧客情報を分析することを考えていたため、想定以上にシステムの拡大が見込まれた。それに比例して強固なセキュリティ対策も必要になり、実現が難しくなってしまったという。
「この失敗の反省から、もっとシンプルでお客様のことがわかる会員向けアプリの構築を目指すことにしたのです」(小室氏)

解決策と効果

会員向けアプリにより顧客属性や
施策の反応を的確に把握し
数字に裏付けされた販促の実施が可能に

 トモズは2019年冬に会員向けアプリの構築プロジェクトをスタート。2020年初頭、複数社から提案を募った。パッケージベース、スクラッチなどさまざまな提案があり、操作性やコスト、実績などについて比較を実施。9月のカットオーバーを予定していたため、スケジュールも考慮して絞り込みを行った。そして3月、アプリ構築の核に「betrend」を使用するSCSKの提案を採用したのである。その理由について小室氏は「スクラッチはパッケージに比べてコストと時間が余計にかかります。一方のパッケージも、操作などをもともとの仕様に寄せ過ぎた提案では自由度が低く、使い勝手が悪くなってしまいます。この点、SCSKの提案はbetrendのカスタマイズ性の高さが魅力で、スケジュールも前倒しが可能でした」と説明し、営業推進部、マネージャーの渡部祥治氏も「betrendはドラッグストアと業態が似ているスーパー、飲食業などでの実績が豊富でしたね。お客様も同様のアプリの操作に慣れているでしょうから、違和感なく使っていただけると思いました。また、カスタマイズでクーポンの配布先を自由に絞り込みできる点にメリットを感じました。さらにランニングコストが安価で、お客様への配信に対する課金が他社の提案よりかなり低く抑えられていたのも魅力でした」と語る。

 アプリ構築は2020年春にスタートしたが、当時はコロナ禍による緊急事態宣言が出されていたため、初めの顔合わせ以外はオンラインのやり取りでプロジェクトが進行した。
「それでも細かくケアしていただいたのは助かりました。我々の追加の要望にもレスポンスよく対応してくれたことで、当初のスケジュールを前倒し、7月中の稼働が実現しました」(小室氏)

 アプリのリリースにあたっては、店舗スタッフに向けてオンラインでレクチャーを実施。まず社内でプレリリースしてから2週間をかけ、ユーザー目線からの評価を受けた。現場もこうしたアプリの導入を望んでいたことから、積極的にフィードバックしてくれたという。
「現時点(2021年1月)ですでに55万ダウンロードの実績があります。当初は年内に30万ダウンロードを想定していたので、反響の大きさに驚いています」(渡部氏)

 アプリ導入の最大の効果は、顧客の属性が的確に把握できるようになり、属性と購買との関連がわかるようになったことだ。
「以前は、憶測だけで購買に至る理由を考えていました。これが数字の裏付けにより実証できるようになり、お客様一人一人の顔が見えるようになってきました」(渡部氏)

 すでに新しい知見も得られている。例えば、これまで同社が女性向けと考えていたある商品が、実際は男性も購入することが少なくないことがわかった。
「また、サンプルの配布から購入へとつながっていくプロセスもわかるようになりました。あるサプリの商品ですが、サンプルの配布後にサンプルをご利用いただいたお客様へ向けてクーポンを配布したところ、15%が再度の購入に至りました。マスへのクーポン配布では、これが数%に過ぎないことを考えると、相当な効果が出ていることがわかります。このようにプロモーションの実証が可能になったことで、今後はマーケティングの効果測定などに積極的に活用できると期待しています。メーカーとお客様との間に立つ私たち小売業だからこそ、このアプリで接点を強化し、新しい価値を提供したいと思います」(小室氏)

今後の展望

他システムとの連動により
顧客の利便性向上を図る

 トモズが会員向けアプリを導入後、すでにポイントカードから2割が移行しているが、同社はさらにアプリ会員を増やしていく方針だ。その一環として、アプリ移行で10%の割引キャンペーンを実施したり、アプリ会員に向けて毎週水曜に1品15%割引になるクーポンを配布したりなどの施策を行っている。

 また、同社は会員アプリと大手ポイントサービス「Ponta」との連動も実現している。トモズのポイントカードの顧客の4割がPontaカードの保有者だが、この連動によりアプリ一つで完結できるようになり、レジにおける利便性向上につながっているという。
「電子お薬手帳とも連動しているので、薬の飲み合わせなどについてアドバイスしたり相談に乗ったりすることができるようになると思います。今後とも『かかりつけ薬局』としての強みをさらに発揮していきたいですね」(小室氏)

SCSK担当者からの声

トモズ様には、One to Oneマーケティングを実現するためのシステムとして、betrendをご選定いただきました。betrendはスマホアプリと充実したCRM機能の2つを兼ね備えたパッケージ製品であり、ワンストップかつ短期間で両方の構築が可能です。こうしたサービスの特徴とトモズ様の状況を踏まえ、顧客接点、データ基盤の早期構築が何より重要と考え、第一ステップとしてシンプルな機能での構築を提案させていただきました。この提案にトモズ様が快く協力くださったことで、プロジェクトを無事に成功へと導くことができました。 SCSKは、さらなる顧客の利便性向上に向け、引き続きご支援させていただきます。

ビジネスデザイングループ
CXセンター
WEBサービス部 第二課

栗田 裕也


お客様プロフィール

株式会社トモズ

所在地:東京都文京区西片1-15-15
U R L:
https://www.tomods.jp/

1993年9月設立。企業理念に「医療の一端を担う小売業としてお客様の健康で豊かな生活に役立つ、かかりつけ薬局を目指す」を掲げている。店舗は調剤薬局併設が原則で、医療を提供する専門性の高いドラッグストアを実現。「トモズ」をはじめ、「アメリカンファーマシー」「INCLOVER」「THIS IS 365」など、さまざまなブランドを展開している。住友商事が100%出資する事業会社として、グループ各社との連携を深めつつ、社会貢献のできるシナジーの創出を図っている。

2021年3月