三菱地所株式会社 様

グループ総合力による事業拡大と収益性の向上を目指し
高いレスポンスを実現する新しいCRMシステムを構築

顧客接点の高度化

CRMに関する豊富な実績と知見をもつSCSKと協力し
部門によって異っていたシステムをDynamics 365に統合

事例のポイント

お客様(三菱地所様)の課題

  • 営業活動の効率化と事業の成長に対応できる営業基盤が必要だった
  • 部門によって異なるCRMシステムにより情報の一元化が難しかった
  • 老朽化と設計上の問題によりシステムのレスポンスが低下していた

課題解決の成果

  • 旧CRMシステムの統合・情報一元化と、レスポンスの改善を達成
  • 営業部門の生産性向上と業務効率化、業務品質向上の効果を得る
  • 関連システムとの連携により営業力強化につながるシステムが完成

導入ソリューション

Dynamics 365

三菱地所株式会社
DX推進部 主事

大原 悠司

メック情報開発株式会社
システム2部 シニアエンジニア

大村 剛

SCSKが大規模Dynamics導入プロジェクトにおける高レスポンス対応に関して、
さまざまなノウハウがあり多くの実績があったことが決め手になりました

DX推進部 主事

大原 悠司

背景・課題

経年劣化に伴うレスポンスの低下などに対応するために
CRMシステムを統合・刷新する必要性が顕在化

 三菱地所は、収益基盤を強化してさらなる成長に向けたビジネスモデル革新を推進するために、グループ中期経営計画を策定してさまざまな施策に取り組んできた。そうした施策の一つとして、収益拡大、業務効率化、顧客満足度の向上、新ビジネス創出といった目標達成を目指して取り組んだのが、営業部門が日常的に使用しているCRMシステムの刷新だった。同社では、従来からオンプレミスのCRMシステムを利用していたが、経年劣化などによるレスポンス低下や全社的なニーズに即した機能になっていなかったため、一部の営業部門が別のクラウドベースのCRMシステムを導入していた。

 「従来システムがパフォーマンスや機能面で不十分になっていたこと、且つ各々のCRM利用部署の間での取引先情報連携にタイムラグが生じており情報鮮度の改善が必要であったこと、モバイル環境への未対応も顕在化してきたことからCRMシステムの全面刷新・統合をすることにしました」(三菱地所株式会社 DX推進部 主事 大原 悠司氏)

 三菱地所では2017年度から新しいCRMシステム基盤の構想を練り始め、2017年11月には新システムの方向性をRFP(提案依頼書)にまとめて複数のSIベンダーに送付。従来のCRMシステムは、同社の業務プロセスに合わせてデータベースにまで手が加えられているなど大幅にカスタマイズされており、統合・一元化することは容易ではない。RFPでは最適なシステム構成の自由提案も含めて各社に依頼することにした。

 そうした中、同社の要望に最も近い提案をしたのがSCSKだった。

 「SCSKは、一部の部門が利用していたクラウドベースのCRMシステムの導入・構築に携わり、運用後も継続的に保守サポートを担当するなど、弊社の業務を熟知していました。また不動産業界全体におけるCRMシステムの導入にも豊富な実績と経験があり、提案のあったプロジェクト体制やコストについても満足できる回答を寄せてくれました。こうして、SCSKに新しいCRMシステム基盤の構築を委託することにしました」(大原氏)

解決策と効果

移行とカスタマイズがしやすいDynamics 365を選定
営業部門の生産性と業務品質向上の効果を獲得

 SCSKと正式に契約を交わした三菱地所は2018年1月にプロジェクトを始動させ、およそ4カ月をかけて新しいCRMシステム基盤の要件を定義することにした。プロジェクトにはシステム刷新を主導する経営企画部(のちにDX推進部)、システム開発・運用を担当する情報子会社のメック情報開発(MJK)のほかに各営業担当部署のメンバーも参画。SCSKからの技術的な提案をベースに、要件を固めながらシステム設計を行った。

 「SCSKの提案は、従来のCRMシステムからの移行リスクが少なくカスタマイズの柔軟性が高い『Dynamics 365』をオンプレミス環境に導入するというものでした。Dynamics 365のオンプレミス版ならば、当社がコミュニケーション&コラボレーション基盤として導入を進めていたOffice 365やグループ各社が独自に採用するCRMシステムとの連携が容易であり、パフォーマンスをチューニングすることでレスポンス改善の効果も見込めます。SCSKが大規模Dynamics導入プロジェクトにおける高レスポンス対応に関して、さまざまなノウハウがあり多くの実績があったことが決め手になりました。また、今回は利用部門のユーザーを巻き込むことが成功の鍵だと感じていたので、その声に真摯に向き合い、DX推進部とMJK、SCSKの役割をわかりやすく説明し、対応することが重要だと考えました」(大原氏)

 要件定義と設計を進める中で難しかったのが、商談や活動の管理画面をいかにして統合するかということだった。

 「各営業担当部署では、商談案件の進捗状況や営業活動の指標など業務プロセスがそれぞれ異なっています。これを解決するために、利用する部署やユーザーごとに商談・活動の画面を自動的に切り替えて表示するなど、パッケージが提供している標準機能の範囲内でカスタマイズを実施しました。各部署のメンバーからも理解が得られたことでスムーズに設計・開発を進めることができました」(メック情報開発 システム2部 シニアエンジニア 大村 剛氏)

 新システムの開発・構築・テストは、6月から約半年間をかけて行われた。パッケージの標準機能だけでは実現できない重要度の高い機能については、MJKとSCSKが協力して個別開発を行った。

 「例えば、顧客や物件を正確に管理するために必要な名寄せ機能、商談や活動を横断的に調べる検索機能などは、SCSKの提案にもとづいて個別に開発しました。このような利便性の高い機能を提案してくれたところも、SCSKを高く評価しています」(大村氏)

 新しいCRMシステムをリリースしたのは、2019年1月。2月からは本番運用が始まり、運用・保守フェーズに移行し、さまざまな導入効果が表れている。

 「新しいCRMシステムが稼働したことにより、旧システムの統合、レスポンスの改善という当初の目標を達成することができました。また、モバイル対応によって外出先から商談・活動の閲覧・活動情報の確認が可能になるなど、営業部門の生産性向上と業務効率化を実現しながら業務品質を向上させるという効果が得られています。グループ全体で関連システムとの連携により、情報がより精緻に共有できるようになったことで営業力強化につながったと考えています」(大原氏)

今後の展望

周辺システムとのさらなる連携を推進
SCSKには新たな使い方の提案を期待

 新しいCRMシステムが稼働しておよそ1年半が経過したが、三菱地所ではこの間も引き続きシステム改善の取り組みを進めている。他の営業支援システムやマーケティングオートメーションシステムなど、営業周辺にある各種システムとの接続も順次進めていく考えだ。

 「当社はグループ総合力による事業拡大と収益性の向上を目指し、今後もCRMシステムをさらに拡充していきたいと考えています。今後は必要に応じて、新しいCRMシステムをグループ各社にも横展開していくことも視野に入れています。とはいえ、やりたいことのすべてが実現できるわけではありません。SCSKには、その豊富な実績と専門的な知見をフルに活用してもらい、“できること”“できないこと”を明確に判断しながらベンダーならではの視点で新たな使い方を提案してほしいです」(大原氏)

 三菱地所が運用を開始した新しいCRMシステムは、これからも同社の営業部門の業務を支えていくことだろう。


SCSK担当者からの声

本プロジェクトは、弊社のDynamics導入ノウハウや周辺ソリューションとの連携を含めた技術力をいかんなく発揮できた案件だと考えています。特に最大の課題であったレスポンス問題については、それまでの大規模案件で経験したレスポンス問題へのチューニングのノウハウを結集し、複雑なデータ参照要件を満たし、かつユーザー様が快適に利用できるレスポンスを実現できました。本プロジェクトでは技術面の貢献が中心でしたが、さまざまなお客様向けのDynamics導入経験から得られたCRMノウハウを活かし、三菱地所様のさらなる飛躍に貢献できるような提案を今後も実施していきたいと考えております。


流通・メディア第五事業本部 WEB・CRMサービス部

木村 真


お客様プロフィール

三菱地所

三菱地所株式会社

所在地:東京都千代田区大手町1-1-1 大手町パークビル
U R L: https://www.mec.co.jp/

1937年に設立された国内最大級の大手不動産デベロッパー。「まちづくりを通じた社会への貢献」を掲げ、日本有数のビジネス街である大手町・丸の内・有楽町エリアを中心にオフィスビル・商業施設の開発・運営事業を展開する。グループ全体では、ビルマネジメントや住宅、投資など幅広いビジネスを展開している。

2020年4月