JAF(一般社団法人 日本自動車連盟) 様

Web&紙面コンテンツ制作業務をデジタル化して働き方改革
Webサイトの統合リニューアルによりユーザービリティを改善

顧客接点の高度化

顧客目線であるべき姿を描き600人が1チームとして機能する
『One JAF』の仕組みと体制を構築

事例のポイント

お客様(JAF様)の課題

  • 各本部、支部の縦割り運営でサイトが乱立し、ユーザビリティが著しく悪化
  • デジタルマーケティングのリテラシー不足と推進人材の不足
  •  600人体制で行うWebと紙面コンテンツ制作業務の生産性の低さ

課題解決の成果

  • 顧客目線で整理された統一感のあるサイトを実現
  • 毎月1,300万部発行している会員向け広報媒体「JAF PLUS」の
    入稿業務の効率化
  • DX推進の土台となるデジタルマーケティング基盤を整備

導入ソリューション

  • Webサイトコンサルティング
  • デザイン制作
  • CMS/DAM:Sitecore
  • インフラ:USiZEパブリッククラウドモデル(AWS)+ パブリッククラウド運用サービス

JAF(一般社団法人 日本自動車連盟)
広報部 Web改善プロジェクトチーム
マネージャー

根木 美香子

縦割りで運営してきたサイトにそれぞれオーナーがいる状況でしたから
彼らとあるべき姿を共有し、あるべき方向に一緒に進んでいけるパートナーを選定しました。

広報部 Web改善プロジェクトチーム マネージャー

根木 美香子

背景・課題

縦割りのサイト運営にマネージャー層を中心に危機感、「あるべき姿」の議論を重ねる

 JAFといえば、電話1本で24時間365日駆けつけてくれるロードサービスのイメージが強いが、「健全なくるま社会の発展に貢献する」という基本理念のもと、交通安全と環境保全のための事業活動にも積極的だ。大規模災害発生時のロードサービス特別支援隊の派遣、災害に強い地域づくりへの協力、交通マナーなどの実態調査、子どもたちに交通ルールを伝える活動、社会的課題を解決するための要望・提言活動など、その活動領域は多岐にわたる。

 JAFでは1本部、8地方本部、52支部のWebコンテンツ制作を、グループ企業であるJAFメディアワークスが支えている。しかし、本部・支部ごとにさまざまなサービスが存在すること、拠点が全国各地にあることで、コーポレートサイトのコンテンツ制作も縦割り化が進んでいた。各本部・支部がその都度必要なコンテンツを制作、更新してきたWebサイトはいつしか70サイトにも増え、統一感を欠くだけでなく、もはや全体をすばやく見渡せる状態になかったという。関係者が大目に見ても情報が探しにくく、使いにくいサイトになっていたのである。また、制作そのものを外部に委託していたため、情報発信のスピードが遅いことも課題だった。

 デジタル社会、ネット社会の進展にともない、Webサイトの役割がますます重要性を増すなかで、危機感を募らせていたのはマネージャー層である。「はじめはコーポレートサイトが顧客目線で使いにくい、わかりにくいのでは、という課題感からスタートしたのですが、課題の洗い出しを行ううちに、これだけの規模のものを整理していくには、まずは一からマーケティングを学ぶべきではないかという話になりました」とJAF 広報部 Web改善プロジェクトチーム マネージャーの根木美香子氏は語る。

 そこで同社は、各本部・支部のマネージャー層による組織横断的チームを編成。普段はほとんどつながりのないメンバーが組織の枠を越えて毎週のように集まり、丸一日をかけてミーティングを行うという、貴重なコミュニケーションの場が設けられた。プロジェクトが始まる前の段階で、「顧客のためにJAFはどうあるべきか」「Webサイトはどうあるべきか」について議論を重ねる機会を得たことは、あるべき方向に進むための土台づくりに大きく貢献したと言える。ここでの議論から、統合管理ができる仕組みと体制の構築が急務として、リニューアルプロジェクト発足の運びとなった。マネージャー層と戦略を練った上で、プロジェクト憲章を明文化し、社内に浸透させるために広報部が中心となって啓蒙活動、広報活動を行った。

解決策

コンテンツ更新に携わる全国の600人が効率的かつ正確に、運用できる仕組みを提案


 「我々が重視したのは、いかにプロジェクトが進めやすい環境を用意できるか、その中でJAFとしてやりたいことをどう実現できるかという点です。したがって、CMS製品そのものを評価するというよりも、我々の事業をどれだけ深く理解してくれているかが選定のポイントになりました」と根木氏。SCSKの提案を採用した理由は、まさにここにある。CMS製品ありきではなく、JAFの事業に寄与するWebサイトのあり方、やるべきことを顧客目線からドラスティックに提案したことで、プロジェクトの成功へのJAFの期待値が高まったのだ。

「我々が重視したのは、いかにプロジェクトが進めやすい環境を用意できるか、その中でJAFとしてやりたいことをどう実現できるかという点です。したがって、CMS製品そのものを評価するというよりも、我々の事業をどれだけ深く理解してくれているかが選定のポイントになりました」と根木氏。SCSKの提案を採用した理由は、まさにここにある。CMS製品ありきではなく、JAFの事業に寄与するWebサイトのあり方、そのためにやるべきことを顧客目線でドラスティックに提案したことで、プロジェクトの成功へのJAFの期待値が高まったのだ。SCSK 流通・メディアシステム事業部門 流通・メディア第五事業本部Web・CRMサービス部 部長の青木優人も、「単なるサイトリニューアルではなく、業務改革、働き方改革といった要素が色濃いプロジェクトです。『One JAF』を旗印に掲げ、全国のガバナンスを効かせながらJAFとして一つの方向を向く体制を作ろうという意気込みをひしひしと感じていました。ただ断捨離されて美しいサイトが完成すればよい、というものではない点が、他のプロジェクトとの大きな違いです」と述べる。だからこそ、マネージャー層が組織横断的に集まり、JAFとして大事にしているもの、優先すべきものを整理する期間が重要だったことは間違いない。

また、更新に携わる600名の働き方を変えることが、どんなに大変かは容易に想像できる。JAFに「大変だが不可能ではない」と確信させた理由もまた、SCSKが顧客目線で提案したことにあり、コンテンツとして何を出すかより、コンテンツ更新に携わる約600名がどうすれば効率的にかつ正確に運用できるかを考え、非常に論理的かつ緻密に業務フローを設計した点である。これは、実際に運用が回るかどうかを大きく左右する重要な視点であった。

JAF コーポレートサイト

効果および今後の展望

顧客目線でサイト構造を見直したことで、『One JAF』と呼ぶにふさわしい統一感のあるサイトに

 リニューアルサイトは2019年10月1日にオープンしたが、現在もなお、広報部が全国の現場を飛び回りながら定着化支援を実施中だ。定量的効果の検証はまだ少し先になるものの、顧客目線でサイト構造を見直したことでデザインが統一され、見た目にも「One JAF」を感じさせるコーポレートサイトが完成。内外から見やすくなったと好評だ。「Webに関わる人の数が多いだけに運用が安定するまでの道のりも実に大変ですが、各々がきちんと機能するようになれば、この道のりが糧になり強みになっていくはずです。今は踏ん張り時ですね」と根木氏が語るように、見通しは明るく、ここからが本領発揮と言えよう。

 まだ運用定着化の段階ではあるが、毎月1,300万部発行している会員向け広報媒体「JAF PLUS」のDTP入稿にCMSを活用する活動も進んでいる。全国52支部ごとに掲載情報は異なるが、フォーマットは全国統一した上でCMSをテンプレート化、さらに掲載情報をそのままWebに使えるようにすることで、地域ごとの担当者が校正作業に膨大なリソースを割いている現状を変えるのが狙い。各支部に定着すれば、企画業務により多くの力を注ぐことができる。

 「今後はデジタルマーケティングツールとしての活用も進めていきたいですね。JAFに未加入の方々に会員登録を促すためには、我々が持っているコンテンツをより効果的に見せ、どのようなサービスを利用できるのかをわかりやすく伝えていく必要があると感じています。また、JAFとしてデジタルトランスフォーメーション(DX)を推し進める上で、将来的にデータハブを構築する構想もあり、今回のプロジェクトはその土台づくりにもなっています」(根木氏)

 さらにその先には、会員優待情報サイト「JAFナビ」への横展開も見据えているという。
 プロジェクトメンバーの中には全拠点を巻き込んだ大規模プロジェクトが円滑に進んだ理由を、「まさしく“共創”という言葉がぴったりで、SCSKはJAFを深く理解した上で意思決定がしやすい環境を整えることに注力し、JAFはベンダーの立場を踏まえた上で成果を追求するためにはどうあるべきかを考えられていた。」という。また、経営トップが若手を積極的に参加させて、プロジェクトから学ぶ姿勢を促したことが、全体の意識やモチベーションの底上げにつながり、Webサイトを作るというより、Webサイトを通じて組織を良くしていこうというスタンスがよりプロジェクトを一致団結させた。青木氏も「現場は変わることへの抵抗感や不安感もあったはずですが、最終的なゴールに向かう姿勢は誰もが前向きでした」とつけ加える。

 一人ひとりの優れた歯車がより大きな歯車を回し、やがてとてつもなく大きな力を引き出していく。そんなことに気づかせてくれたプロジェクトは、リニューアルを終え、スタート地点に立ったばかり。生まれ変わったWebサイトがJAFの未来をどう支えていくのか。ここからがますます興味深い。

SCSK担当者からの声

流通・メディアシステム事業部門
流通・メディア第五事業本部
WEB・CRMサービス部
プロジェクトマネージャー

上野 裕司

 当社の経営理念は「夢ある未来を、共に創る」です。そしてJAF様のプロジェクト基本方針は「ONE JAF」。共に言えることは会社や組織を超えて、目的に向かって何かを創り上げること。「JAF様のビジネスでは」「JAF様の顧客なら」これらの基本的なことを自分の中で大事にしつつ、提案時からプロジェクト完了まで、プロジェクトとしてやるべきことを関係者の方々にお伝えしてきたつもりです。このような点を評価していただいたことは非常にありがたいことです。作るだけではなく、今後本当の意味で効果を出していくために、これをスタートとして、さらなる価値向上に協力させてもらえたらと思います。ちなみに「ONE JAF」は流行語大賞に「ONE TEAM」が選出される前から掲げていたJAF様オリジナルです(笑)。



プロジェクトメンバー

<手前列 左側から>
流通・メディア第五事業本部 WEB・CRMサービス部
部長 青木 優人
流通・メディア第三事業本部 営業第一部 第二課
課長 濵 宣史
原 尚亨

<奥列 左側から>
流通・メディア第五事業本部 WEB・CRMサービス部 第一課  
堀越 隼人
手塚 典男
中山 明
上野 裕司
赤松 智也


お客様プロフィール

一般社団法人 日本自動車連盟

所在地:東京都港区芝大門1-1-30
U R L:
https://jaf.or.jp/

1963年に自動車ユーザー団体として発足して以来、ロードサービスを始めとする安全と安心の支えとなる各種サービスを提供している。主軸となるロードサービス事業においては、年中無休・24時間体制で活動。年間救援件数は228万件以上、約13.8秒に1件の割合。JAF会員数は約1,960万名(2019年12月末時点)。また、健全なくるま社会の発展に貢献するため、交通安全の推進、社会的課題の解決に向けた要望・提言活動、モータースポーツの振興など、幅広い事業活動に取り組んでいる。

2020年3月