社員座談会(2014年7月)

社員座談会

SCSKでは、働きやすい職場づくりを目指し、全社で「スマートワーク・チャレンジ20(スマチャレ20)」を展開しています。残業削減や有給休暇取得率の向上において、2013年度に高い成果を収めたSCシステム事業本部 基幹システムマネジメント第一部の代表者が集まり、スマートワークに見識の深い元東レ経営研究所 社長の佐々木常夫氏を招いて座談会を開催しました。これまでの歩みを振り返るとともに、現状の課題を認識し、活動の深化を図るため、幅広い視野から意見交換を行いました。

(所属・役職は2014年7月時点)

コミュニケーションを高め、チーム一丸となって働き方改革へ

原中
「スマチャレ20」における業務時間の短縮のため、私たちの部では「意識改革」「会議の効率化」「シフト勤務の活用」「見える化」という4つの施策を推進しました。意識改革で特に注力したのが、まず私たち部課長などリーダーが率先し、残業ありきの従来の姿勢を改めるということです。本当に残業が避けられないときは集中してやり、それ以外は早く帰るというメリハリをつけた働き方を重視しました。一方、会議効率化のために、議論する内容を事前に共有し、各自があらかじめ意見をまとめてから参加することを徹底しました。
広瀬
会議時間はかなり削減が進みましたね。週3回だったテーマ別会議を1回に集約するなど会議数も減らしましたが、いざやってみるとほとんど支障はなく、逆に内容の濃い議論ができるようになりました。
原中
シフト勤務も有効な対策だったと思います。今までは夜間しかできないシステムの運用保守などは残業でカバーしていましたが、そのような場合はあらかじめ出勤時間を遅らせるなど発想を切り替えました。また、各自の業務の進行状況や休暇の取得状況を計画表にまとめて「見える化」し、問題が発生してないかをお互いにチェックし合うことで、年間20日の有給休暇を確実に取得できるようにしました。
佐々木氏
IT企業で残業を22時間にまで減らしたというのは画期的なことです。これは各部署任せにしたり、トップが声高に訴えるだけで進むものではありませんので、「スマチャレ20」のような形で会社として明確な方針を決め、現場に落とし込んでいったというのは非常に的を射たやり方です。
関口
有給休暇取得100%を目指すと最初に聞いたときは、正直本当にできるのかと思いました。しかし、いざ始めてみると「今月はこの日とこの日を休もうと思うのだけど」など自然にコミュニケーションが生まれて調整でき、大きなトラブルもなく対応できるものだと気付きました。ただ、自分が休むことで業務を止めてしまってはいけないので、業務内容をメンバーと共有しておくことが重要なのだと感じています。
松本
コミュニケーションは確かに増えたと思います。限られた時間内で業務が円滑に進むように小さなことでもすぐに連絡・相談しますし、休憩時間などには仕事以外の話題についてもお互いよく話します。
佐々木氏
コミュニケーションと信頼関係は効率的な仕事の両輪となります。今何に取り組んでいるのか、どんな悩みを抱えているのか、どういう気分で働いているのかなど、お互いに分かり合うことは極めて大切です。コミュニケーションに欠け、信頼関係が築かれていない職場ほど効率が悪いものはなく、理解不足や誤解からやらなくていい作業を進めてしまうといったこともしばしば発生します。

業務品質と働きやすさを両立させる職場づくり

松本
座談会 私は育児のため短時間勤務を利用していましたが、業務時間短縮に向けた全社的な動きをとてもありがたく感じています。シフト勤務で自分より早く退社する人がいたり、皆がしっかりと有給休暇をとっている環境のため、「早く帰って申し訳ない」「休んで迷惑をかけている」など、周りに気兼ねすることが少なくなりました。
長尾
私は産前産後休暇・育児休業中に「スマチャレ20」が始まり、どんどん制度が整っていくのを会社から届く資料で知りました。個人事業主の夫は仕事が忙し過ぎてほとんど育児に参加できない状況で、一時は私が退職して家庭のことに専念するかどうかで揺れていました。でも、当社が大きく変わっていくのを見て、これならきっと育児をしながら働き続けられると考え直しました。
佐々木氏
社員が家庭と仕事を両立しやすい環境を整えることで、会社は優秀な人材を失わなくて済みます。反対に、心身の健康を壊して休職するような人が出る職場は企業にとって重大なリスクとなります。その意味で、より良い職場環境づくりは大きな経営上の課題なのです。
松本
2014年1月からは週1回の在宅勤務を開始し、往復2時間の通勤時間を業務時間に充てることでフルタイム勤務ができるようにもなりました。在宅勤務は部でも私が初めてでしたが、電話やメールでの密なコミュニケーションを通して、出社しているのとほとんど変わらない感覚で働けています。ただ、在宅勤務で対応できる業務はまだ限られているので、もっと環境を整えていくことで利用しやすくなるのではと感じます。
原中
お客様へ質の高いサービスを提供できれば、個人の勤務時間やその形態には裁量の幅が大きいというのが私たちの部の特色でもあります。もちろんそのためには社内事情に関わらずどんなときもサービスレベルを維持して「SCSKに任せておけば大丈夫」と思っていただけるような実績を重ねていくことが不可欠です。
長尾
「スマチャレ20」は全社的な取り組みではありますが、ワーク・ライフ・バランスへの考え方など、部署によって浸透度に差があるように感じています。私はかなり恵まれている環境にいると思いますが、在宅勤務を積極的に認めるかどうかなどを含めて、部署ごとの温度差はまだまだあるのではないでしょうか。
佐々木氏
そのような社内での意識の差をいかになくすかは一つの課題でしょう。「うちはお客様相手の仕事なので調整が難しい」という声が他の企業などでも上がることがありますが、それは正しくありません。重要なのはお客様からの要求を先読みして備えること。どういうタイミングで何を求められるのか、前もって情報をキャッチして対策を講じておけば、有給休暇取得や残業削減はどのような職場でも進められるはずです。

生まれた時間が、社員と企業のさらなる発展を促す

広瀬
座談会 当社の経営理念「夢ある未来を、共に創る」は、非常に良い言葉だと感じています。夢ある未来を目指すためには、まず自分を磨いていかなければなりません。私自身、50代を迎えた今も向上心を持って勉強を続けること、そして健康には十分に気を配ることを大事にしています。また課長として、業務が属人的になり過ぎないようドキュメント化してノウハウを共有していくことも、これからの課題だと考えています。担当者の不在時にも周りが確実にフォローできるような体制づくりは今後ますます重要になります。
関口
業務の効率化により生活にゆとりができた今、肝心なのはそこで生まれた自由な時間の使い方だと思っています。私の場合は、早く帰った日には情報処理技術者試験の勉強に励み、資格取得を目指しています。また、有給休暇は海外旅行などに充てるのですが、普段と違う環境に身を置くことで新たな発想を得ることも多く、今後もそういったことを大切にしていきたいです。
長尾
私は人生を豊かにするために、家族との時間をもっと大事にしたいというのが一番の願いです。自分の職場でのワーク・ライフ・バランスはかなり進んできたので、今度は長時間労働が当たり前になっている夫の仕事に対しても、当社のような改革が進むよう働きかけていければと思っています。
佐々木氏
目標を高く持ち、すべての人に自分の人生を愛してほしいと願います。働き方を見直す機運は少しずつ社会でも広がってきており、SCSK のような好事例が広く共有されることでその動きは加速されるでしょう。社内での取り組み強化はもちろん、それをもっと積極的に世の中へ発信されていくことを期待します。
佐々木 常夫 氏
佐々木 常夫 氏

Profile

1969年東京大学経済学部卒業。東レ株式会社入社後、病弱な長男と、妻の世話をしながら、破綻会社の再建やさまざまな事業改革に取り組み、その実績が認められ、東レ同期トップで取締役就任。その後、株式会社東レ経営研究所社長を歴任。経営のあり方、ワーク・ライフ・バランス、ダイバーシティ、リーダーシップなどの講演や、著書多数。