株式会社LegalOn Technologies 様

AVDを活用して機密情報にリモートワークでも安全にアクセス
スタッフの増員にも迅速かつ柔軟な対応が可能に

働き方改革・生産性向上

豊富な知見を持つSCSKの支援で他セキュリティ製品ともスムーズに連携
自社のリソースを割くことなく3カ月という短期間でAVDを構築

事例のポイント

お客様の課題

  • 業務拡大を背景にクリーンルーム専用PCを設置するスペースが不足していた
  • クラウドVDIに移行しスタッフの増員に柔軟に対応したかった
  • AVDを自社でセキュアに構築するには時間を要しそうだった

課題解決の成果

  • リモートワークでもセキュアに機密情報にアクセスできるVDI環境を構築できた
  • AVDにすることで、スタッフの増員に柔軟に対応できるようになった
  • SCSKへ構築を依頼することで3カ月という短期間でAVDを構築できた

導入ソリューション

  • 「Azure Virtual Desktop」導入サービス

株式会社LegalOn Technologies
IT&セキュリティ部 コーポレートIT課
コーポレートIT企画係

佐藤 秀顕

「自分たちだけで導入していたら半年は間違いなくかかったと思います。
迅速に導入する必要があったので、SCSKさんに構築を依頼し、導入期間を短縮できてよかったです。」

LegalOn Technologies
IT&セキュリティ部 コーポレートIT課 コーポレートIT企画係

佐藤 秀顕

背景・課題

自社特有のセキュリティ要件にマッチしたかたちでAVDを導入したいが
構築に必要な技術的な情報が少ない

 法律(Legal)と技術(Technology)を組み合わせた「リーガルテック」が注目されるなかLegalOn Technologiesでは、契約書のレビュー品質を高めるAI契約審査プラットフォーム「LegalForce」や、締結後の契約書を管理するAI契約管理システム「LegalForceキャビネ」をSaaSサービスで提供している。

 顧客がアップロードした契約書は非常に機密性が高い。そのため同社では、契約書データを扱うときには通常の業務スペースとは隔離された「クリーンルーム」と呼ばれる業務エリアと隔離された部屋で作業するようにしていた。

 「クリーンルームは、カメラを使った個別の入退室システムで管理されており、ネットワークや機器も通常の業務ネットワークとは分離しています。また、専用のデスクトップPCで作業するなど、データ漏えいには細心の注意を払っていました」と話すのは、LegalOn Technologies IT&セキュリティ部コーポレートIT課コーポレートIT企画係の佐藤秀顕氏だ。

 しかし、業容の拡大とともにクリーンルームの収容人数が限界に近づき、コロナ禍によってリモートワークに対するニーズも高まってきた。そこで同社が検討したのが、どこからでも安全にデータにアクセスできるようになる仮想デスクトップ(VDI)ソリューションだった。VDIの選定にあたっては、マイクロソフトのクラウド型VDIである「Azure Virtual Desktop(AVD)」を選択した。

 AVDを選択した理由について佐藤氏は、すでにAVDが数多くの実績を有していることや、マイクロソフトが提供しているという信頼性を挙げる。また、クラウド型であったことも大きな理由となった。これは、LegalOn Technologiesの社内情報システムが全てクラウドベースで構築されているためで、同社がVDIとしてクラウド型のAVDを選択することは、ある意味必然だったとも言える。

解決策と効果

よりセキュアな環境を短期間で構築
スタッフの拡充にも柔軟に対応可能に

 VDIとしてAVDを選択することはすぐに決まったが、AVDの構築は誰がやればよいのか。社内で構築することも不可能ではなかったが、Azure ADやMicrosoft Intune、他のセキュリティ関係のツールとの調整も必要になる。また、インタネット上で公開されている技術情報が少ないこともあり、同社が求めているようなセキュリティ要件を満たしたうえで構築するのには時間を要しそうだった。そこで、外部パートナーとして相談したのがSCSKだった。

 LegalOn TechnologiesとSCSKとは、これまでもさまざまなシステムの構築で取引の実績があった。

 「SCSKは企業規模も大きく信頼感があります。また、すでにAVDの導入に関しての実績がありノウハウを持っていました。そのため、他のパートナー企業と比較することはなく、SCSKさんに依頼することを決定しました」(佐藤氏)

 AVDには1つの仮想デスクトップのリソースを複数人で共有するマルチセッションタイプがあり、このメリットにより導入する企業も多い。しかし同社では、利用者が仮想デスクトップを占有して利用するシングルセッションを採用することで、接続時のセキュリティを強化するとともに、使用する時間帯のみシステムを利用し、使用頻度の少ない夜間はスケールダウンすることでコスト低減を図ることにした。

 こうして2022年3月からAVDの導入プロジェクトがスタートした。しかし、プロジェクトを進めるなかで紆余曲折もあった。実は同社では、AVD構築と同時期に、クラウドセキュリティをより強化するためのソリューション「Netskope」の導入を検討しており、その検証作業を終え導入が決定したことだ。

 Netskope の機能の一つであるCASB(Cloud Access Security Broker)は、複数のクラウドサービスの利用状況を可視化し、ネットワークの運用・管理を効率化することができる。前述したように、社内にサーバーを置かず全てのシステムをクラウド化し、顧客から預かった機密性の高い情報を扱う同社にとって、Netskopeの導入は当然目指すべき方向だったわけだ。

 ところが当初、AVDとNetskopeとの連携がうまくいかず、スムーズに通信ができないという不具合に見舞われた。SCSKではその原因を突き止め対処することで、数週間で不具合を解消。こうしたことを乗り越えながら、わずか3カ月という期間で導入作業を完了させた。

 「自分たちだけで導入していたら半年は間違いなくかかったと思います。迅速に導入する必要があったので、SCSKさんに構築を依頼し、導入期間を短縮できてよかったです。SCSKとは1週間に1度報告会を実施することで、Netskopeとの連携がうまくいかなかった際にも状況把握ができていたので、全く不安はありませんでした」と佐藤氏は振り返る。

 システム構築の過程で、AVDの利用方法についても大きな変更があった。当初は社内スタッフが利用することを想定していたが、委託先の外注スタッフが利用するように方針を変更したことだ。同社では、業容の拡大に伴って外注スタッフを増やす必要があったが、AVDであれば利用するPCをすぐに増やすことができる。

 「外注スタッフに利用してもらう端末として、AVDはとても適しています。専用のデスクトップマシンを用意するとなると、PCを発注し、届くのを待って環境を整備する必要がありました。それに対しAVDは、物理マシンでの設定が必要ありません。急遽、外注スタッフを増員するといった事態となっても対応できます。これも、AVDやNetskopeなどによってセキュアなアクセス環境が整ったからこそ実現したことです」(佐藤氏)

図:AVDを経由して、リモートワークでも安全に契約書データにアクセス
図:AVDを経由して、リモートワークでも安全に契約書データにアクセス

今後の展望

データの持ち出しができない安全な環境を構築
現在20人以上がAVDを活用

 AVDやNetskopeの導入することで、リモートワーク時の情報保護の仕組みが整った。

 「PCの画面に『透かし』を表示して不正な画面キャプチャやカメラ撮影を防ぐ、アクセスできるURLを制限するなど、どうやってもデータの持ち出しができないようにしています」(佐藤氏)

 導入時、2人が利用していたAVDは、現在20人以上が使うようになっており、今後事業の拡大に伴いこの数はまだまだ増えていきそうだ。

 「現状、安定して稼働しています。突発的に『こんなことができないか』といった相談が出てくることも多いのですが、そんなときでもSCSKに相談すれば答えが出てくるという安心感があります」(佐藤氏)

 AVDを導入しようとしている企業でも、まだまだPoCの段階という企業も少なくないだろう。クラウドオンリーを実践する先進企業であるLegalOn TechnologiesのAVD活用は、リモート環境から機密情報へアクセスしたいと考えている企業にとって、大いに参考になるだろう。

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SCSK担当者からの声

LegalOn Technologies 様のコメントにもある通りNetSkopeとの連携の問題が発生した際には、佐藤様のご協力から短い時間で課題を解決することができました。課題を長期化せずに解決できたのは、SCSKのことを信頼して任せていただいたことも理由の一つです。
当初の利用用途とは異なる使い方とはなりましたが、構築したAVDがLegalOn Technologies 様のビジネスに活用され、貢献できたことを大変うれしく思います。 今後もSCSKならではの提案をさせていだきLegalOn Technologies 様の事業拡大に貢献していきたいと考えています。

コミュニケーションサービス第二部第三課 課長

宮﨑 慎二


お客様プロフィール

株式会社LegalOn Technologies

所在地:東京都江東区豊洲3-2-20 豊洲フロント6階
U R L:
https://legalontech.jp/

2017年4月設立。「法とテクノロジーの力で、安心して前進できる社会を創る。」をパーパスとして、弁護士の法務知見と自然言語処理技術や機械学習などのテクノロジーを組み合わせたソフトウェアを提供。AI契約審査プラットフォーム「LegalForce」とAI契約管理システム「LegalForceキャビネ」の2つのSaaSサービスを軸として事業展開している。2022年12月には社名を「LegalForce」から「LegalOn Technologies」に変更し、米国法人を設立。本格的なグローバル事業展開をスタートさせた。

2023年9月初版