
はじめに
アジャイル開発を導入すれば、開発はもっと速く、もっと柔軟になる….そう期待してスタートしたものの、思うような成果が出ずに悩んでいないでしょうか。
スクラムのイベントは一通りこなしている。ツールも整備した。それでも現場では、
『チームが自律して動いていない』
『コミュニケーションが表面的なまま』
『結局、以前と何が変わったのかわからない』
といった声をよく耳にします。
近年、生成AIや開発支援ツールの進化によって、アジャイル開発を取り巻く環境は大きく広がりました。しかし、ツールや手法だけを導入しても、アジャイルが本来持つ価値は発揮されません。成果を左右するのは、実はもっと基本的な部分——
『チームの在り方』『人と人とのコミュニケーション』『状況を正しく共有するための見える化』です。
本記事では、アジャイル導入を“形骸化”させず、現場で成果につなげるために重要な3つの実践ポイントをご紹介します。
実践ポイント①強いチームづくり
アジャイル開発では、トップダウン型の指示や詳細な手順書だけでは立ち行きません。
状況が変わるたびに指示を待っていては、対応ができないためです。
そこで重要になるのが、自律して動くことができる強いチームです。
強いチームづくりの第一歩として有効な施策のひとつが、インセプションデッキの作成です。従来の「リーダーが作るプロジェクト計画書」とは異なり、チーム全員で会話しながら作っていきます。
プロジェクトの目的や背景を共有し「自分ごと化」することで、業務を遂行する責任をチーム全体で持つ状態に近づけることができます。
実践ポイント②コミュニケーション改善
アジャイルで成果を出すためには、率直に話せるメンバー間の関係性が欠かせません。
その土台を作るために有効な手法のひとつとして、パーソナルマップがあります。
プレゼン形式の自己紹介ではなく、相手のパーソナルマップを見ながら「質問する」ことで会話を広げていく。意外な共通点が見つかり、一気に距離が縮まることもあります。
また、感謝の気持ちを伝え合うような定期的な場づくりも、コミュニケーションを活性化させるうえで効果的です。
ただ、チームのパフォーマンスを継続して向上させるためには、いずれチーム間、組織全体のコミュニケーションを改善させていく必要性に迫られることになります。この点を事前に理解しておくとよいでしょう。
実践ポイント③見える化
「プロジェクトの健全な運営のためには見える化が不可欠」これは、従来型開発でもアジャイル開発でも変わりません。
特にアジャイルでは、
・目的が明確になっていること
・チーム全体の状況が共有されていること
この2点が揃って、初めてメンバーは自律的な判断ができます。
いつでもチーム全員が作業状況を確認できていますか?そうした環境がないのであれば今すぐ用意しましょう。Jira等のマネジメント専門ツールは便利ですが、最初から高度な機能を使う必要はありません。ホワイトボードツールを使って全員の作業を一覧化することでも十分です。むしろマネジメント専門ツールだとフィルター機能の活用等でメンバーは自分の作業しか見なくなってしまうことがあります。フィルタリングできないホワイトボードツールであえてチーム全体の状況を見る習慣を身につけたほうがよい場合があります。
さいごに
「Don’t Do Agile,Be Agile(アジャイルはやるものではない、なるのだ)」という言葉を聞いたことはありますか?アジャイルを“やる”ことはできるかもしれないけれど、“なる”ってどうしたらよいのか…と戸惑う方もいらっしゃるかもしれません。
注目してほしい点は、Agileは動詞ではなく、形容詞である、ということです。アジャイルが動詞ならば“やる”“やらない”の二者択一になってしまいます。一方、アジャイルが形容詞であることは、昨日よりも今日、今日よりも明日、少しでも良いからよりアジャイルに“なる”ことを継続できているか、が問われています。
本記事で紹介した実践ポイントが、みなさんの現場における「Be Agile」への一歩になれば幸いです。












