病院の内外で診療情報に安全にアクセス
患者さんへの迅速な対応、医師の働き方改革を実現


株式会社麻生 飯塚病院 様
基本データ(2025年2月現在)
- 病床数:1,040床(一般970床、精神70床)
- 医師:373名
- 看護師:1,042名
- 医療技術者:579名
- 事務・その他:412名
活用のポイント
- 院外から安全に診療情報を確認でき、遠隔から適切かつ迅速な判断が可能に
- 在宅・当直医間、多職種間で患者軸での緊密なコミュニケーションが可能に
- 休日深夜に救命救急センターなどから呼び出される件数が約3割減
背景・課題
院外にいる先輩医師から的確なアドバイスを受けたい

情報システム室
城野 政博 氏
株式会社麻生 飯塚病院様(以下、飯塚病院様)は福岡県飯塚市に位置する地域中核病院です。病床数1,040床、従業員数約2,500人という規模を誇り、診療科の数は44にのぼります。
同院の特徴の一つとして挙げられるのが、TQM(総合的品質管理)活動に力を入れていることです。病院全体のシステムやプロセスの継続的な改善に取り組み、患者さんに安全で質の高い医療を提供するよう努めています。
日々改善に取り組むなか課題の一つとなっていたのが、勤務時間外の医師とのコミュニケーションです。情報システム室の城野政博氏は次のように話します。
「当院の救命救急センターでは、若手の医師が先輩医師にアドバイスを求める機会が多々あります。しかし、深夜や休日の時間帯などに、質問したい先輩医師が自宅や院外にいる場合には、効果的なアドバイスを受けられません。そうした場合に活用できる、病院公認の公的なコミュニケーションツールはないだろうかと、経営層からも相談されていました」
そこで利用を考えたのが、従来からコミュニケーション手段として全医師が携帯する病院貸与のiPhoneでした。医師が院外にいても、患者さんのカルテ情報や画像データ、検査データなどの診療情報をiPhoneで共有することで、時間や場所にとらわれず相談できる環境を作れないかという声があがってきたのです。
選定理由
院外で診療情報を共有できるセキュリティ面で万全なチャットツール
情報システム部では、診療情報という機密性の高い情報を安全に扱えることを重視してツールの選定を開始。その中で出会ったのが「Dr2GO」です。採用する決め手となった理由について城野氏は次のように話します。
「大きなポイントは3つあります。1つ目は、オンプレミスで利用できること。コミュニケーションツールというと一般的にクラウドを利用しますが、オンプレミスの院内サーバーにアクセスしてセキュアに利用できます。2つ目のポイントもセキュリティに関することで、VPN接続ができて患者情報を匿名化できることです。そして3つ目は患者さん軸でコミュニケーションが取れるところです。患者軸で情報共有できるツールが少ないなか、Dr2GOは患者さんごとのチャットルームを自動的に開設でき、緊密な相談が院の内外にかかわらずすぐにできます」
こうしてDr2GOを導入後は、高いセキュリティのもとで院外からでもiPhone上で安全に診療情報を共有できるようになりました。当初、総合診療科の十数名の医師が利用を開始。現在では23の診療科、約200名の医師や一部の職員がDr2GOを活用しています。城野氏は「利用者が拡大していったのは、医師の口コミで徐々に広がっていった結果」だと言います。つまり強制ではなく、医師たちが本当にメリットを感じたからこそ、利用者が拡大していったわけです。
導入効果 ①
大きな時間のロスを防ぎ、素早い対応と医師の働き方改革を実現

医師
清田 雅智 氏
総合診療科の清田雅智医師は、院外から診療情報を確認できる点が大きなインパクトになったと話します。在宅医と当直医の連携がスムーズになり、働き方改革にもつながっていると感じているようです。
「当院では、個人情報保護の観点から紙カルテの時代から院外で診療情報を見ることを禁止していました。そのため、在宅中などに当直医から相談されると、病院まで行って確認する必要があったのです。病院から呼ばれるたびに足を運んでいると大きな時間のロスが発生します。これがデジタルでつながることによって、より素早い判断ができ、時間を節約できます。非常に効率的になったと感じています」(清田医師)
導入効果 ②
多職種間での情報共有が進み、電話によるストレスも軽減

情報システム室
村上 徹 氏
同院では、Dr2GOを医師が院外で診療情報を参照するだけでなく、一部の医療従事者を含めた多職種間でチャットを使った情報共有にも利用しています。例えばリハビリの動画を撮影して専門医に判断を仰ぐ際や、転院の調整・退院の準備といった場面です。チャットは文字として残るため、電話のような聞き取りにくさや聞き間違いが起こりません。
情報システム室の村上徹氏は次のように話します。
「担当医師だけでなく、さまざまな関係者が緊密なコミュニケーションを行えるようになりました。Dr2GOを使った他職種間でのチャットによる情報共有で、電話連絡によるストレスが軽減したと現場の声をよく耳にします。また、チャットで詳細情報を伝えることで、正確な情報を迅速に共有できるようになったことは大きな効果です」
導入効果 ③
セキュリティ性能の高いツールで患者さんに寄り添った医療を
Dr2GOによって院内外で診療情報を共有できるようになったことは、医療の質向上と働き方改革につながっています。
城野氏は、「外科では、休日や深夜に救命救急センターなどから院外の医師を呼びだす件数が約3割減少した月もあった」と振り返ります。それだけ患者さんへの迅速な対応が可能になり、また医師の負担も軽減できたというわけです。
「病院での業務にDr2GOが素早く浸透していったのは、機能面で優れているのももちろんですが、セキュリティ面が高く評価されているからです。セキュリティの不安がないからこそ、院外で安心して診療情報を見ながらコミュニケーションが行えます」(城野氏)
利用者の声(感想・評価)
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医師(患者チャットを利用)
電話による作業の中断がなくなり、ストレスが減った。
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医師(患者チャットを利用)
自宅でも PC を開かず、iPhone で完結するようになり楽になった。
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医師(患者チャットを利用)
リハビリの状況を動画で確認できるためリハビリステーションまで見に行く必要がなくなった。(移動時間の削減)
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メディカルソーシャルワーカー(患者チャットを利用)
医師を含めたMSW、薬剤師、リハビリ技師で転院調整のチャットを作成してやり取りを行っているが、それぞれ好きなタイミングで連絡ができると好評。
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メディカルソーシャルワーカー(患者チャットを利用)
医師との退院支援の情報共有をチャットで行っている。
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リハビリ技師(患者チャットを利用)
リハビリ状況を録画して、Dr2GO に載せ、医師も確認できるようにしている。
今後の展望
医師以外の利用者も増やし、「Dr2GO」を“改善”に役立てる
現在Dr2GOは、医師を中心に一部の医療従事者が転院調整などで利用していますが、今後はさらに利用範囲を拡大したい考えです。看護師をはじめ現場からもDr2GOを使いたいという声が上がってきているからです。
「より多くの現場にiPhoneを配布し、コミュニケーションをさらに活性化したいと考えています。Dr2GOはチャットの内容をサーバーに一元管理できるのもポイントで、これにより分析も可能になるでしょう。TQM活動を重視する当院には“改善”の文化がありますので、改善や働き方改革にDr2GOを役立てていきたいと思っています」(城野氏)
お客様情報株式会社麻生 飯塚病院 様
飯塚病院様は、福岡県飯塚市にある1000床を超える大規模な民間病院です。1918年の設立以来、地域医療の中核を担い、「まごころ医療、まごころサービス」をモットーに、高度で質の高い医療を提供しています。地域医療への貢献では、救命救急センターや災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院など、地域の医療ニーズに応える重要な役割を担っています。また地域周産期母子医療センターとして、周産期医療にも力を入れています。なお安定した経営基盤による運営を行っており、株式会社麻生情報システムなどのグループ会社と連携し、医療情報システムの共同開発や業務改善にも取り組んでいます。
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