CustomerLakeとは?Databricksが描くAgentic CDPとInfinity Campaignsの未来
(※注意事項:本記事は、2026年6月時点で公開されている発表内容をもとに作成しています。製品名、機能、提供状況は変更される可能性がありますのでご注意ください。)
「CDPは導入しているが、施策ごとにデータ抽出や連携作業が発生している」
「顧客データ、AIモデル、マーケティング施策が別々の仕組みになっている」
Data + AI Summit 2026で発表されたCustomerLakeは、こうした課題に対してDatabricksが提示した新しいアプローチです。CustomerLakeは、Databricks上にネイティブに構築されたAgentic CDP(Customer Data Platform)であり、顧客データ、AIモデル、エージェント、ID解決、オーディエンス作成、アクティベーションを一体で扱う構想として紹介されました。
特に注目したいキーワードが「Infinity Campaigns」です。従来のように一回ごとのキャンペーンを作って終わるのではなく、顧客の状態変化をAIエージェントが捉え、次のアクションを継続的に改善し続けるマーケティングの考え方です。
この記事では、CustomerLakeの発表内容をもとに、何が新しいのか、企業のデータ活用やマーケティング基盤にどのような影響があるのかを、SCSKの視点でわかりやすく解説します。
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Index
1. CustomerLakeとは
CustomerLakeは、DatabricksがData + AI Summit 2026で発表したマーケティング領域向けの新しいAgentic CDPです。
CDPとはCustomer Data Platformの略で、顧客データを統合し、顧客理解やセグメント作成、施策配信に活用するためのプラットフォームです。従来のCDPは、CRM、EC、Webログ、アプリ、広告、MAなどからデータを集め、名寄せし、施策ツールへ連携する役割を担ってきました。
CustomerLakeが特徴的なのは、CDPを別の箱として作るのではなく、Databricks Lakehouse上で、顧客データ、AIモデル、エージェント、ID解決、オーディエンス作成、外部ツールへのアクティベーションを扱うという点です。
つまり、CustomerLakeは単なるマーケティングツールではなく、データ基盤とAI基盤を活かして顧客体験を運用するための仕組みと捉えると理解しやすいでしょう。
2. なぜCDPがDatabricks上に来るのか
多くの企業では、顧客データが部門やシステムごとに分散しています。営業部門にはCRM、マーケティング部門にはMAや広告データ、EC部門には購買履歴、サポート部門には問い合わせ履歴があり、それぞれ別々に管理されているケースは少なくありません。
この状態で高度なパーソナライズを実現しようとすると、データを集める、整える、名寄せする、AIモデルで分析する、施策ツールへ渡すという工程が複雑になります。結果として、施策を打つまでに時間がかかり、顧客の最新状態を反映しきれないという課題が生じます。
Databricks上にCDP機能を置く発想は、この分断を解消するアプローチです。顧客データが集まるLakehouseを中心に、データエンジニアリング、機械学習、生成AI、ガバナンス、BI、外部連携を一体的に扱えるため、データ活用から施策実行までの距離を短くできる可能性があります。
特に顧客データは個人情報や購買履歴を含むため、権限管理、監査、データリネージ、利用ルールの整備が重要です。DatabricksのUnity Catalogなどによるガバナンスの考え方と組み合わせることで、マーケティング活用と統制の両立を図りやすくなります。
3. Infinity Campaignsとは
今回の発表で最もキャッチーな概念が「Infinity Campaigns」です。
従来のキャンペーンは、企画、対象者抽出、配信、効果測定、改善というサイクルを人が都度設計するものが中心でした。言い換えると、キャンペーンは一回ごとのプロジェクトに近い存在でした。
一方、Infinity Campaignsは、顧客の状態変化を継続的に捉え、AIエージェントが次のアクションを判断し続ける考え方です。例えば、Web閲覧、購買、問い合わせ、アプリ利用、解約兆候といった顧客シグナルをもとに、「今この顧客に必要な体験は何か」を常に更新していきます。
これは単なる配信自動化ではありません。顧客理解、施策設計、実行、結果学習のループをAIエージェントが支援し続けるという点に意味があります。
マーケティング担当者は、個別の抽出作業や設定作業に追われるのではなく、「どのような顧客体験を実現したいか」「どのKPIを改善したいか」という戦略設計により集中できるようになります。
4. CustomerLakeを構成する主な機能
発表内容では、CustomerLakeの中核としてProfile AgentsとCampaign Agentsが紹介されています。ここでは、それぞれの役割を整理します。
(1)Profile Agents
Profile Agentsは、顧客データを取り込み、統合し、顧客プロファイルとして利用できる状態に整えるためのエージェントです。
顧客データ活用では、同じ顧客が複数のIDやメールアドレス、会員番号、Cookie、デバイスIDとして存在することがあります。これらをどのように結びつけるかがID解決です。
Profile Agentsは、こうしたID解決や顧客360度ビューの構築を支援し、マーケティング施策で使えるプロファイルを作る役割を持ちます。顧客理解の土台をAIエージェントが支えるイメージです。
(2)Campaign Agents
Campaign Agentsは、マーケティング施策の設計、オーディエンス作成、施策実行、改善を支援するエージェントです。
例えば、マーケターが自然言語で「直近30日で購入頻度が落ちている優良顧客に、再購入を促す施策を打ちたい」といった目的を伝えると、エージェントが対象セグメントや施策案の作成を支援する世界観です。
従来は、マーケター、データエンジニア、分析担当者、MA運用担当者が分担していた作業を、CustomerLakeではエージェントが横断的に支援します。これにより、施策立案から実行までのスピード向上が期待できます。
(3)オープンなエコシステムとReverse ETL
CustomerLakeは、Databricksだけで完結する閉じた仕組みではなく、既存のマーケティング・広告・顧客接点ツールとの連携も重要な要素です。
Databricks上で統合・分析した顧客データやセグメントを、MA、広告プラットフォーム、CRM、メール配信、カスタマーサポートなどの外部ツールに連携することで、データ活用を実際の顧客接点につなげます。
このように、データ基盤側から外部の業務アプリケーションへデータを戻す考え方はReverse ETLと呼ばれます。CustomerLakeは、Lakehouseを中心にした顧客データ活用と、既存のmartech/adtechスタックの橋渡しを担う位置づけと考えられます。
5. まとめ:CDPは「顧客データを貯める箱」から「顧客体験を動かす基盤」へ
CustomerLakeの発表は、Databricksがマーケティング領域へ本格的に踏み込んだことを示す重要なトピックです。
これまでCDPは、顧客データを集め、セグメントを作り、施策ツールへ連携するための仕組みとして語られることが多くありました。しかし、AIエージェントの時代には、顧客データを集めるだけでは不十分です。
重要なのは、顧客の状態変化を捉え、AIが次のアクションを支援し、結果を学習しながら改善し続けることです。CustomerLakeが掲げるInfinity Campaignsは、この変化を象徴する考え方だと言えます。
CDPはもう「顧客データを貯める箱」ではありません。AIエージェントが顧客体験を動かし続ける、マーケティングOSへ進化しようとしています。
Databricksを活用している企業、またはこれから顧客データ基盤を整備しようとしている企業にとって、CustomerLakeは今後注目すべきテーマになりそうです。
参考情報
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