抵抗溶接・機械接合に特化したシミュレーション SORPAS

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技術情報コラム

SORPAS技術情報コラム第三回

溶接条件の最適化 ~ウェルドローブの自動作成・最適化ソフト連携~ 前編

SORPAS技術情報コラム第三回

昨今、自動車業界では、EV化や車体軽量化に伴い、新たな溶接条件の探索や異種材接合の検討等、溶接技術における、さらなる性能向上に向けた取り組みが求められています。

以前は、溶接条件の探索や異種材接合の検討には実機検証の実施が主流でしたが、近年は、溶接の事前検証における工数やコストの削減のためにデジタル化が進んでおり、シミュレーションを活用したナゲット径の事前予測、ウェルドカーブの作成、良好な溶接条件の範囲の決定、実用的な解析時間での電流・加圧力・通電時間の自動最適化が活用されるようになっています。

今回は、最適な溶接条件を効率的に導くことができる、「SORPAS」の活用方法をご紹介します。

1. 溶接条件の探索機能 ウェルドカーブとウェルドローブ

SORPAS2Dには、2種類の溶接条件の探索機能が搭載されています。1つ目はウェルドカーブ、2つ目はウェルドローブです。
ウェルドカーブは、電流値とナゲット径を条件として設定することで、良好なナゲット径が得られる電流値の算出が可能です。
ウェルドローブは、電流値と通電時間、または電流値と加圧力を変数として、良好なナゲット径が得られる条件を算出します。
それでは、ウェルドカーブ機能の詳細をご紹介します。本事例は2枚組の鋼板の最適化を実施し、50分程度で計算が完了しています。

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ウェルドカーブは「電流値の探索範囲」および「ナゲット径の許容範囲(上限値/下限値)とナゲット高さの下限値」を指定することで作成可能です。今回の事例では、電流値の探索範囲とナゲット径の許容範囲は以下の通り設定しております。

図1は、上記設定によって導き出されたウェルドカーブです。このウェルドカーブから、以下の結果を読み取ることができます。

なお、「スパッタが2連続で発生した場合、その後の電流値を上げた計算は実行しない」という設定も可能であるため、計算時間を節約することが可能です。

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図1

続いてウェルドローブについてご紹介します。
ウェルドローブは電流値以外に、通電時間もしくは、加圧力を変数として追加して計算することが可能です。
今回の事例では電流値の探索範囲とナゲット径の許容範囲に加え、通電時間を変数として追加しています。

上記の条件で計算を実行した結果を図2に示します。良好な条件は緑色で表示され、6kAと7kAで良好なナゲットが生成されていることがわかります。また、6kAと7kAであれば、通電時間を6~10cycleで変化させても、良好なナゲットが生成されることが示されています。

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図2

2. 溶接条件の最適化 Weld Planning機能

Weld Planningは、最適な溶接条件を自動的に求める機能です。板や電極の形状に関わる部分や、下限となるナゲット径など、事前に必要となる条件を設定します。また、加圧力と通電時間は、SORPAS上で自動出力させることも、条件を指定することも可能です。電流値は常にSORPAS上で最適化されるため、ユーザー側で指定する必要はありません。
その結果、以下の項目を自動で算出します。

WeldPlanning機能を利用した事例をご紹介します。
「ナゲット径4mm以上、ナゲット高さ6%以上、スプラッシュ無し」を制約条件とし、二枚組の鋼板のスポット溶接の解析を実施しました。また、加圧力と通電時間は指定しておりません。
図3~5がWeldPlanningの計算結果です。今回の最適化の結果から、ナゲット径は5.013mmとなりました。図4のように最適な電流値と加圧力の時系列のデータも確認可能です。さらに、図5のように、最適な電流値、加圧力、通電時間とパルス数の閲覧が可能であり、基準を満たす電流値の範囲も確認ができます。今回最適化した通電時間(8cycle)では6kA~7.71kAまでは基準を満たす電流範囲であることが算出されました。

今回の技術コラムでは、SORPAS単体で利用できる最適化機能についてご紹介しました。
次回の技術コラム(後編)では、SORPAS2DとpSevenの連携についてご紹介します。

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図3

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図4

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図5

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