抵抗溶接・機械接合に特化したシミュレーション SORPAS

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技術情報コラム

1. 溶接と工業利用

金属などを接合する技術として長い歴史を持つ溶接は、近年その技術の発展に伴い、自動車、航空機、船舶、建築、橋梁、プラントなど大型のものから、ICやバッテリーなど微細なものまで、工業生産のあらゆる分野で利用されています。接合される材料も、軟鋼、ステンレス鋼、鋳鋼、銅、アルミニウム、ニッケル、マグネシウム、プラスチック、セラミックスなど、鉄や金属以外の工業材料にも幅広く浸透し、製造工程になくてはならない技術の一つとなりました。

自動車製造においても、軽量化やコスト削減・期間短縮を推進するため、溶接技術は日々改良され発展しています。では、昨今の自動車産業において、溶接や接合技術にはどのようなトレンドがあるのでしょうか。自動車部品では、電気自動車への移行や燃費の向上といったニーズに対応するため、従来の鋼板だけではなく、組織制御型ハイテン材やアルミニウム合金、繊維強化樹脂などの新素材への置き換えが始まっています。また溶接方法も、従来のスポット溶接、プロジェクション溶接などの抵抗溶接に限らず、リベットを用いた機械接合、接着剤を考慮した接合なども利用が拡大しつつあります。自動車組み立てにおいては、抵抗溶接と機械接合が全体の約7割を占めていますが、ここでも軽量化のための異種材接合が進み、材料の低コスト化や高強度化が追求されています。

この溶接工程を最適化し、進化する溶接技術をより効果利用するための手段のひとつが、シミュレーションの導入です。実機試験では、被溶接材の準備や試験を実施するための設備の準備、また実験後の評価を行う為の測定器の準備等、様々な用意が必要ですし、良い条件出しを行う為に何度もテストをしていると、溶接材の材料費が膨らみ実験の度に多大なコストと材料の無駄が出てしまいます。そこで、従来からの実験にシミュレーションを追加したフローにすることで、PC上でモデル準備や設定、検証/評価が可能となり、手戻りを最小限にすることが可能です。そうすることで、従来必要となっていた材料費や設備費等のコストは大幅に削減されることになるでしょう。

2. 溶接のシミュレーション

2-1 SORPASの二次元溶接解析機能

では、溶接技術におけるシミュレーションにはどのような機能があり、どう活用できるのでしょうか。抵抗溶接/機械接合プロセスをシミュレーションするデンマークSWANTEC Software and Engineering ApS製のSORPASを用いて、このコラムではまず二次元の抵抗溶接シミュレーションについてご紹介しましょう。実際は三次元のものを二次元の軸対称モデルや奥行方向のモデルを対象として解析を行うことで、計算負荷を減らし短時間で簡易的にシミュレーションすることが可能です。これにより、溶接条件によるナゲット径の違いの評価や最適化などを行っていきます。

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抵抗溶接シミュレーションの機能を使うことで、電極により加圧、溶接、保持を行い、解放した際の冷却中の様子までを解析できます。実際の計算には以下のような数値解析モデルを用いています。

  • ■ 接触解析モデル
  • ■ 応力-ひずみ解析モデル
  • ■ 伝熱解析モデル
  • ■ 電気解析モデル
  • ■ 冶金モデル

2-2 スポット溶接事例

では、二次元のスポット溶接の解析事例で流れをご紹介します。このモデルは実機で検証したステンレス鋼板(2mm)と一般鋼板(2mm)の2枚組みの事例になります。シミュレーション結果のコンターは、温度分布を示しており、中央の紫の部分が出来たナゲットです。こちらのモデルであればかなり小規模な解析となるので、たった数分程度で結果を得ることが可能です。

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また、上図では2枚組の板材を事例でしたが、こちらは各種3枚組の鋼材と組み合わせの違いによるナゲット径の違いについて確認したもので、左側が実機での検証、右側がシミュレーション結果です。

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さらに、溶接プロセスの最適化を検討するために、ウェルドカーブの出力やウェルドローブの自動作成を行います。Fig.1はウェルドカーブと呼ばれ、縦軸にナゲット径-横軸に電流値を取り、予め指定した理想のナゲット径の範囲に対応する電流値を探索する機能です。この例ではナゲット径の範囲を4mm~5.8mmで指定した際の電流の良好条件を表示しています。緑で表示されている、7,8,9,10kAが良好な電流値として確認できます。Fig.2は、ウェルドローブを示しており、電流に加えて溶接時間または加圧力のパラメーターを振り、良好な溶接条件の探索を行っています。また、電流値だけでなく、加圧力または溶接時間の最適化を行うことなども有効です。

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Fig.1 ウェルドカーブ(溶接電流vsナゲット径)

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Fig.2 ウェルドローブ(電流/溶接時間/加圧力)

SORPAS技術情報コラム第一回では、溶接技術の今とシミュレーションということで、初めての方が理解しやすい内容に絞ってご紹介しました。SORPASの詳細については、オンデマンド動画配信サイトにて、以下のセミナーなどをご覧いただけますので、ぜひご登録のうえご視聴ください。

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