住友商事株式会社 様
ESG・内部統制・リスクなど非財務領域の情報収集を ServiceNow®のIRM/ESGを用いてシステム化し
“グループ連携による新たな価値の創造”を支える基盤を構築
お客様の課題
- グループ各社(約900社以上)の連携による新たな価値創造を支える基盤が必要
- 非財務領域における情報収集・分析がアナログ的で業務負荷が増大
- 環境データの外部開示・規制に関する世界的な潮流への対応
課題解決の成果
- ServiceNowを採用し、グループ経営・ガバナンスをアップデート
- ビジネスアナリストの配置による業務部門とIT部門の連携強化
- データドリブン経営、AI活用の推進に向けたデータ基盤の構築
導入ソリューション
- ServiceNow Integrated Risk Management(IRM)
- ServiceNow Environmental, Social, and Governance Management(ESG)
住友商事株式会社
IT企画推進部
基幹システム統括第二チームリーダー
小川 慎 氏
住友商事株式会社
フィナンシャル企画業務部
非財務情報システム導入チーム長
平松 俊之 氏
「同一プラットフォーム上に多様なシステムを構築できる拡張性の高さが、ServiceNow採用の決め手となりました」
住友商事 IT企画推進部 基幹システム統括第二チームリーダー
小川 慎 氏
背景・課題
連結対象会社507社の連携による新たな価値の創造を目指す住友商事が
非財務領域の情報収集・管理システム構築に着手
住友商事は、64カ国・地域に127の拠点、連結対象会社507社で構成される、日本を代表する総合商社で、2021年に制定したグループマネジメントポリシーで「自律」「対話」「連携」の三原則を掲げ、住友商事グループ各社の連携による新たな価値の創造を目指している。その一環として、事業活動のデータを集約し、グループ内で相互活用が可能な形で有用なデータベースを提供するための基盤整備に着手。財務領域だけでなく非財務領域における情報収集・管理システムの導入プロジェクトを立ち上げた。IT企画推進部 基幹システム統括第二チームリーダーの小川 慎 氏は、その経緯を次のように説明する。
「全社共通の基幹システムを中核に、連結システムで定型的な財務情報の収集・管理をするための基盤は整備してきたが、ESGや内部統制といった非財務情報に関しては、グループ各社からExcelやメールで情報を収集している状況で、精度やスピード・収集したデータの活用といった部分で課題がありました」(小川氏)
IT企画推進部とともに本プロジェクトに参画したフィナンシャル企画業務部 非財務情報システム導入チーム長の平松 俊之 氏は、本プロジェクトが始動した要因として、ESGデータ開示要請への対応をはじめ、企業や社会を取りまく状況の変化を挙げる。
「グループ経営における非財務情報の重要性が年々増しており、さらにESG領域では、サステナビリティ情報開示における制度対応が求められるようになりました。第三者保証への対応の観点からも、堅牢なデータ収集プロセスの構築は不可欠でした」(平松氏)
解決へ向けた取り組み
ESGデータ開示要請への対応から グループ全体の内部統制強化まで
複数の目的を定めて取り組みを開始
平松氏は本プロジェクトの目的を「グループ経営」「グル-プガバナンス」「経営情報活用」「業務効率化」「システム運用」の5つと語る。
「自律・対話・連携という三原則の実現を支える基盤としての役割をはじめ、グループ経営・ガバナンスのモニタリング、グループ内外で共有すべき非財務情報の収集・分析における機動性向上、Excelやメール依存の手動業務の改善、類似システム乱立回避といった課題を解消できるシステムを目指しました」(平松氏)
同社は、これら5つの目的を踏まえてシステム、及びパートナーの選定に着手。複数候補を比較検討し、ServiceNow社が提供するクラウドソリューション「ServiceNow IRM/ESG」を採用した。パ-トナーには、同社の基幹システム・業務システム構築に携わり、ServiceNowの導入実績も豊富なSCSKが選定された。
「同一プラットフォーム上に多様なシステムを構築できる拡張性の高さが、ServiceNow採用の決め手です。SaaS型のソリューションで、グローバルのレギュレーション変化や新たな制度に合わせて迅速にアップデートされ、さらに頑強なワークフローや権限制御の仕組みなど、内部統制に耐えうる堅牢性を持った基盤であることも重視しました。また、当社のシステム・ビジネス双方を熟知し、ServiceNowに関する知見を持つSCSKをパートナーに選定することで、BPR、すなわち業務プロセスの見直しも含めたシステム構築を実現しています」(小川氏)
- ※システム構築イメージ
得られた効果と今後の展望
ServiceNowの導入実績が豊富で住友商事のビジネス・システムを熟知した
SCSKの支援がプロジェクト成功を後押し
本プロジェクトは、さまざまな部署やグループ会社が利用するシステムの構築という側面から、各業務のオーナー部署とIT企画推進部の橋渡しを、業務統括部署であるフィナンシャル企画業務部が行うチーム体制で進められた。特徴的なのは、システム組織とユーザー組織にまたがるビジネスアナリストの役割を、フィナンシャル企画業務部とSCSKの担当者が担ったことだ。
「これだけ大規模なシステムの導入プロジェクトでは、社内だけで専任のビジネスアナリストを配置するのは難しく、ServiceNowの知識と当社業務の知識を持ったSCSKのビジネスアナリストにも参画いただきました」(平松氏)
数百のグループ会社で利用するシステムということで、セキュリティや権限制御、マスターの扱いなどベースの部分に時間をかけながら、 SaaSの特性を活かしたアジャイル開発で推進。 2024年5月にJ-SOX評価手続きのワークフロー化、2025年1月にESG関連情報の収集・集計・分析をシステム化し、その後もグループ全体に情報を発信するためのポータルをリリースするなど、段階的なシステム構築・改善を進めている。
「グローバルな大規模システムのアジャイル開発は当社にとって初めての取り組みであり、短いサイクルで業務側の要望を聞き、システムに反映させるプロセスを進めるうえで、SCSKの支援は欠かせないものでした。業務・システム両面でSCSKに支援いただいた点がプロジェクトを円滑に進められた要因と感じています」(小川氏)
現在、新しい業務領域を継続して取り込んでいる最中ではあるが、すでにデータ収集の効率化やセキュリティ・ガバナンスの強化といった導入効果が現れている。平松氏はデータドリブン経営に向けた基盤整備にもつながっていると手応えを語り、小川氏もAI活用に向けた基盤が整備できたとし、今後もSCSKとともに ServiceNowのプラットフォーム上にシステムを構築・連携していきたいと展望を口にする。
「今後もシステム面だけでなくビジネス面でも SCSKと協力し、AIの強みも取り入れながら、 ServiceNowの活用範囲をさらに広げていきたいと考えています」(小川氏)
SCSK担当者からの声

住友商事グループのシステムインテグレーターとして、長年にわたり住友商事様のシステム導入・運用を支援させていただいております。この経験は、ビジネスアナリストとして本プロジェクトに参画し、成功に貢献した主要な要因の一つであると考えております。
今回の取り組みは、弊社にとっても新たな挑戦となりましたが、小川様、平松様をはじめとする住友商事様のご協力のもと、貴重な知見を得ることができました。引き続き住友商事様のシステム戦略の実現に貢献していくとともに、今後は、この経験を活かし他の企業様の課題解決のご支援にも活かしていきたいと思っています。
SCシステム事業本部 ビジネスソリューション第三部 ソリューション推進第一課長
齊藤 浩二
お客様プロフィール
住友商事株式会社様
所在地: 東京都千代田区大手町二丁目3番2号

全世界に展開するグローバルネットワークとさまざまな産業分野における顧客・パートナーとの信頼関係をベースに、多様な商品・サービスの販売、輸出入および三国間取引、さらには国内外における事業投資など、総合力を生かした多角的な事業活動を展開しています。
2025年11月初版
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