深層学習AI による解析結果予測ソリューション Neural Concept Shape

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ユーザー事例

数十年蓄積された風洞データを基にしたAI搭載のCFDツール

風工学と微気候解析のグローバルリーダーRWDI社は、同社の構造エンジニア向けアプリにAI技術を組み込むため、Neural Conceptと提携し、AI搭載CFDツールOrbital Stackを開発しました。Orbital Stackは、簡単かつ手頃な価格で、気候情報に基づいた理解しやすい設計を実現します。

  • ※微気候:狭い範囲における地表面の気候

従来型CFDツールの限界

都市向けの新しい建築物を開発する場合、設計者は建築物周囲の環境が構造物に与える影響だけでなく、反対に建築物自体が周囲の環境に与える影響も考慮する必要があります。これには、構造保全性、建物への風の影響、日照時間、歩行者の快適性などの評価も含まれます。しかし、風洞実験や従来型CFDツールによる解析など、建築設計者が風環境をテストするためにこれまで長く利用してきた手法は、時間や費用がかかるばかりか、作業も複雑なため、迅速な反復検討に適さず、小規模なプロジェクトにはコストがかかりすぎるという欠点がありました。

これに対し、AIを搭載したOrbital Stackは、強力な多因子分析を高速で安価に、かつ分かりやすく提供します。そして、気流と太陽光を管理した屋外の快適性設計の最適化に必要な、実用的な洞察と迅速なフィードバックを建築設計者に提供します。計画中の建物が周囲の環境、特に歩行者レベルの風とどのように相互作用するかを設計初期に理解しておくことで、設計後期に発生しうる問題を解決するための時間とコストを節約することができるのです。

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AI-powered CFD app: Instant wind predictions

AIを活用したCFDの仕組み

Neural ConceptとOrbital Stackは、建築設計者にとって理想的なCFDワークフローを、解析結果の質を落とすことなく、迅速かつ手頃な価格で実現しました。このパートナーシップにより、Orbital StackはCFDの活用を標準的なものから業界を変える革新的なものへと発展させることができました。

Orbital Stack社は、設計者のCFD利用を最適化するために、膨大なデータセットを利用する機械学習を用いて、入力(マスキングモデルや気候データなど)と出力(気流の経路やパターンなど)の関係をアルゴリズムに「学習」させました。データセットは、AIの予測精度の検証に使用されるため、その品質は非常に重要な要素です。Orbital Stack社はRWDI Venturesの一員であるため、RWDIの世界最大級の都市気流データセットにアクセスすることができました。

Neural ConceptはOrbital Stackの専門家と密接に協力し、RWDIのデータを活用して、CFDの結果を再現するディープラーニングモデルを開発しました。このモデルは、既存のOrbital Stack社のウェブアプリに統合され、ユーザーにAIによる即時フィードバックを提供しました。

既存データの活用

世界中のどこでもOrbital Stackを使用できるようにするため、ディープラーニングアルゴリズムは、あらゆる都市の現実的な風の様子を予測する必要がありました。そのため、Neural Conceptは、データセットに含まれるユーザーの都市を考慮し、確実で信頼性の高い方法で処理するための堅牢な手法を開発しました。このモデルは、設計者が都市に加えたあらゆる革新的な技術に、可能な限り最短の処理時間で対応する必要があります。都市構造が入力されると、ディープラーニングモデルによって、この分野で利用可能な最新の技術に基づいた予測が数秒以内に行われます。

RWDIの専門知識と数十年にわたる膨大な風洞実験データを活用することで、Orbital StackとNeural Conceptは、建築設計者の可能性の扉を開く、革新的な技術を生み出すことができたのです。

AI搭載アプリで設計者のワークフローをどう改善するか

当初、設計者は設計変更(建物や環境の変化)のたびに生じるCFD解析が完了するまで10時間待たなければなりませんでした。しかし、Neural ConceptのディープラーニングモデルをOrbital Stackに組み込んだところ、この反復作業がわずか2分に短縮されました。さらに、シミュレーションがより身近になり、1回あたりのコストが10分の1になりました。これにより、ユーザーは、設計への環境要件を踏まえながら、複数の反復シミュレーションを実行し、プロジェクトの最適バージョンを選択することができます。

プロジェクトの後期には、AIが発見した予測の検証や規制要件を満たすために、CFDや風洞解析を実施することができます。

ワークフロー全体を通して設計の繰り返しを可能にすることで、性能の最適化と潜在的なリスクをプロセスの早い段階で可視化することができます。したがって、設計サイクルの高速化、オンデマンドで信頼性の高い気流解析、最終設計の性能と持続可能性の向上、設計者の無限の可能性を追求することが可能になります。

Orbital StackのAIモデルの最も優れた点は、このツールを使えば使うほど、予測が向上することです。アルゴリズムは、より多様で完全な都市を「取り込む」ことで、歩行者の快適さの背景にある物理現象を適切に学習します。

Neural Conceptについて

Neural Conceptは、エンジニアリングを強化するためのAIディープラーニングアルゴリズムを開発しています。研究開発サイクルの高速化、製品性能の増強、次世代におけるエンジニアリング課題の解決により、これまでに80社以上の顧客の製品設計方法を革新してきました。同社は2018年、スイスのEPFLにある一流のAI研究室で設立されました。私たちは30人以上のメンバーで構成され、インテリジェンスで産業エンジニアリングの未来を変革するというビジョンに向かい全力を尽くしています。詳しくはこちら

Orbital Stackについて

スマートな都市空間は、経済性、安全性、環境性、生活の質などのニーズを同時に満たすものです。Orbital Stack社は、建築家、設計者、エンジニアが都市に生命を吹き込む高性能な建物を作るためのツールを構築しています。RWDI Venturesの一員であるOrbital Stack社は、地域環境と気候が大規模な構造物にどのような複雑さを与えるか(その逆も然り)を理解するグローバルリーダーであるRWDIの多くの専門分野にわたるチームによって設立されました。詳しくはこちら

RWDIについて

RWDIは、気候工学とコンサルティングのグローバルリーダーです。企業の持続可能性、地球に優しい建築物、気候変動コンサルティング、環境工学の分野で能力を発揮しています。RWDIは、深い技術的専門知識を活用して、顧客の持続可能性に関する意欲的な目標をサポートし、世界中の重要なプロジェクトで設計チームと協力してきました。RWDIは、微気候や歩行者レベルの風力試験、騒音・音響・振動実験、エンクロージャー実験、風力試験などの環境コンサルティングサービスのポートフォリオを通じて、何千ものプロジェクトの実現を支援してきました。その中には、ブルジュ・ハリファ、ロンドン・スパイア、ゴールデンゲートブリッジ、台北101、スイスのヴァルスタワーなどが含まれます。詳しくはこちら

本記事は、Neural Concept社の下記ウェブサイトに公開されている記事「AI-powered CFD Tool Based on Decades of Wind Tunnel Data 」を日本語訳したものです。

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