本番稼働中のECシステムに影響を与えずに
「Rubrik」でランサムウェア攻撃への備えを強化
トラスコ中山株式会社
執行役員 デジタル戦略本部
情報システム部 部長(取材当時)
トラスコ中山株式会社
デジタル戦略本部 情報システム部
インフラ・ネットワーク管理課兼データ管理課 課長
「当社のビジネスとシステムを深く知るSCSKが、我々の運用チームとともに新たなセキュリティの仕組みを作り上げてくれたことは、大きな安心感につながっています」
トラスコ中山 執行役員デジタル戦略本部 情報システム部部長(取材当時)
木村 隆之 氏
トラスコ中山は、工場や建設現場など「モノづくり」の現場を支える工場用副資材(プロツール)の卸売商社だ。全国29か所の物流拠点に約62万アイテムの在庫を保有し、「必要な時に、必要なものを、必要なだけ」お届けできる安定した供給体制を構築している。長年、物流センターと在庫への投資を積極的に行っており、商品の高密度収納・高効率出荷を実現している。また、物流や受発注などの基盤を支えているデジタルへの投資も過去から継続して行っている。現在は、1日あたり約20万行に及ぶ注文のうち、自社のECサイトを利用した自動受注が88.9%、在庫の活用率を表す在庫出荷率は93.3%となっている。デジタル技術を活用して業務効率化とサービス品質向上を両立し、お客様の調達業務を支えている。
同社にとって、事業を支えるECシステムの可用性を確保することは重要な経営課題の1つだ。その取り組みの一環として、セキュリティ対策を「防御」「検知」「対応」「復旧」の各層で整えてきた。ただし、以前の対策はランサムウェア攻撃への備えという点では万全とはいえなかった。同社の執行役員でデジタル戦略本部 情報システム部部長(取材当時)の木村 隆之氏はこう明かす。
「昨今のランサムウェア攻撃は巧妙であり、バックアップシステムを制圧し、バックアップデータを無効化してから、本格攻撃を仕掛けてきます。攻撃の兆候をとらえるのが難しいだけでなく、万が一被害を受けた場合には、データ復旧に多大な時間を要し、長期間にわたって業務の停止を余儀なくされるリスクがあります。そこで、ランサムウェア攻撃への対応能力を持ったデータバックアップと復旧の仕組みを導入し、ECシステム、ERP、物流システムといった基幹システムに適用することが不可欠と考えました」
この方針のもと、同社が導入を決めたのが、米国ルーブリック社のデータバックアップ&ランサムウェア対策ソリューション「Rubrik」である。
Rubrikは、データを「変更・削除が不可能な状態」で保存する「不変バックアップ」をはじめ、バックアップシステムを継続的に監視し、異常を早期に検知する機能や、サイバー攻撃などによって影響を受けたデータを速やかに特定して安全な状態のデータから復旧を行う「インスタントリカバリ」などの機能を備える。
「ランサムウェア攻撃を仕掛けてくる犯罪者は、標的システムの下調べをしてから本番攻撃に移ります。Rubrikは、その下調べの段階で普段と違う挙動を検知できます。それによって、例えば5月13日分のバックアップデータに何か仕込まれたとわかれば、それ以前のデータへ即座に戻す判断が下せます。それが、この製品の最大の強みで、我々が高く評価したポイントです」(木村氏)
Rubrik導入のパートナーとして、同社はECシステムの構築・運用を担ってきたSCSKを選んだ。その理由について、デジタル戦略本部 情報システム部インフラ・ネットワーク管理課兼データ管理課 課長の鎌倉 貴行氏は次のように語る。
「Rubrikの適用を計画していたシステムは、日々のビジネス活動を支えるミッションクリティカルな仕組みです。その稼働への影響を最小限に抑えながらRubrikの導入を進めるうえでは、当社のECシステムの構築・運用を通じて長年の実績を持つSCSKに協力を依頼するしかないと判断しました」
SCSKの支援のもと、同社ではECシステムに対するRubrikの導入を約7カ月間で完遂した。2025年5月に導入プロジェクトをスタートさせ、約2カ月間のPoCを経て7月からシステムの設計・構築に着手。同年12月にRubrikの本番運用を開始した。
このプロジェクトにおける最大の難所は、物理サーバーの復旧手順の確立だった。Rubrikは、物理サーバーのベアメタルリストア*を標準ではサポートしていない。そのため、同社はSCSKとともに、従来から使用してきたバックアップシステムとRubrikを連携させてベアメタルリストアを実現する方式を確立した。鎌倉氏は「この作業では、方式の確立を併せて、どのディレクトリのデータをバックアップ時点に戻すべきかを精査しながら、アプリケーションごとの復旧手順を整えました。手間のかかる作業でしたが、SCSKの手厚いサポートで乗り切れました」と振り返る。
Rubrik導入によるバックアップシステムの刷新は、さまざまな効果をもたらしている。例えば、永久増分バックアップの機能により、バックアップ時間を大幅に短縮させた。また、既存のジョブスケジューラとRubrikとの連携により、運用フローを変えることなく、新しいバックアップシステムに移行できた。さらに、2次バックアップ先を磁気テープ(LTOテープ)装置からAWSへと切り替えることもでき、BCP対策も強化された。木村氏はこう続ける。
「AWSへの切り替えで、2次バックアップデータの読み書きのパフォーマンスが大幅に向上し、基盤の堅牢性も高められました。SCSKとのRubrik導入によって、ランサムウェア対策はもとより、BCP対策も強固になり、大きな安心感が得られています」
* ベアメタルリストア:OSやアプリケーション、各種設定、ユーザーデータを含むシステム全体をバックアップし、そこから新しいハードウェアや空のディスクへ丸ごと復旧する方式

同社では今後、Rubrikの適用範囲をオフィス業務で使用している「Microsoft 365」環境(Active Directory)にも拡大していく計画だ。木村氏は次のように述べる。
「セキュリティ対策は、防御・検知・対応・復旧のすべての対策を同時並行で整備するのが王道と考えていましたが、今回のRubrik導入を通じて、バックアップの強化が非常に重要な対策であることを痛感しました。サイバー攻撃の手法が激しく変化し多様化する中では、個々の対策を積み上げて100点に近づけていくことが正解であり、今後もそのアプローチを貫いていきます」
木村氏は、そうした取り組みをともに進めるパートナーとしてSCSKに厚い信頼を寄せている。
「SCSKとの関係は単なるベンダーとユーザーの枠を超えた『一心同体』だと感じています。実際、当社のビジネスとシステムを深く知るSCSKが、我々の運用チームとともに新たなセキュリティの仕組みを作り上げてくれたことは、大きな安心感につながっています。これからもSCSKと一体となって、攻撃の進化にあわせてセキュリティ対策も進化していかなければならないと思っています」

Rubrik導入後のバックアップ方式(アーカイブ)
トラスコ中山様の事業を支えるECサイトにおいて、サイバー攻撃対策と迅速な業務復旧体制の強化は重要テーマでした。Rubrik導入により、ランサムウェア対策と事業継続性を大きく向上。お客様と同じ視点でプロジェクトを推進し、一体感のある体制を築けたことが成果につながったと考えています。
石渡 浩二
お客様および分室運用チームの皆様と連携し、単なる製品導入ではなく、最適なバックアップ/復旧方式の検討から進めました。綿密な検証と調整を重ねることで、本番システムへの影響なく安全に切り替えを完了することができました。今後も安定運用とセキュリティ強化を支援していきます。
古沢 祐一
所在地(東京本社):東京都港区新橋四丁目28番1号 トラスコフィオリートビル
U R L:
https://www.trusco.co.jp/
生産現場で必要とされる作業工具、測定工具、切削工具をはじめ、あらゆる工場用副資材(プロツール)の卸売商社。全国に60か所の営業拠点、29か所の物流拠点を展開し、「プロツールなら何でも揃う。」とお客様に思っていただけるように、約62万アイテムの在庫を保有。売れ筋商品だけでなく、ご注文頻度の低いロングテール商品まで幅広く取り揃えることで、「必要な時に、必要なものを、必要なだけ」迅速にお届けできる体制を構築している。
2026年6月初版