DX推進の一環として、
Box AIを活用した問い合わせ対応システムを構築
いつでもどこでも問い合わせが可能な環境が実現
株式会社エスシーシー
経営革新本部 兼
プロアクティブ本部
取締役 執行役員
本部長
株式会社エスシーシー
管理本部 兼
リスク統括部
執行役員
副本部長/部長
株式会社エスシーシー
経営戦略室 兼
ストラテジーセンター
執行役員
室長/センター長
株式会社エスシーシー
管理本部 リスク統括部
コンプライアンスセンター
副センター長
株式会社エスシーシー
プロアクティブ本部
技術戦略室
テクノロジーセンター 兼
AI CoE
センター長
株式会社エスシーシー
プロアクティブ本部
技術戦略室
テクノロジーセンター 兼
AI CoE
株式会社エスシーシー
管理本部 総務人事部
総務課 兼
健康促進センター
課長/センター長
株式会社エスシーシー
管理本部 総務人事部 総務課
今回はDX推進への取り組みの一環として、SCSKの支援のもと、BoxやBox AIを活用し
新たなシステムを構築しましたが、同社の果たした役割は大きなものがありました。
経営革新本部 兼 プロアクティブ本部 取締役 執行役員 本部長
田中 清人 氏
「人類が等しく豊かに、穏やかに生活できる情報社会を共有できること」を願って設立されたeDCグループ。その中核を担うエスシーシー(以下、SCC)は創業以来、システム開発やIT教育の領域を基盤とし、「産学研協同」による研究開発と事業開発を進めてきた。現在は、システムインテグレーションのほか、ソリューションサービス、コラボレーションビジネス、エデュケーションビジネスなどを展開しており、グローバル規模のIT企業と共同でシングルサインオンソフトウェアを開発するなど、その技術力は高く評価されている。
2023年4月、同社は競争優位性の確立とビジネスの変革を進めるため、中期DX戦略を策定。DXの推進に向けて積極的に取り組むことになった。経営革新本部 本部長の田中清人氏は、その基本方針について「全社を挙げてDX推進を進めることでイノベーションを起こし、これまでにない創造価値を社会に提供するとともに、仕事のやり方も変えていくということです」と説明する。
その成果のひとつといえるのが、「プロジェクトマネジメント支援AIシステム」だ。これは、同社が長年にわたり蓄積してきたプロジェクト情報を集合知としてデータベース化し、これをもとに各プロジェクトの開発状況やメンバーの勤務状況をAIで分析・評価するというもの。今日では、このシステムは同社のプロジェクトマネージャーにとって欠かせない存在となっており、開発業務のあり方を大きく変えつつあるという。同社でDX戦略を統括する経営戦略室 室長の水野亮氏は「こうした成功例に加え、近年は生成AIの技術革新も劇的に進んでいることから、業務においてAIのさらなる活用を目指すことになりました」と語る。
かくして新たにスタートしたプロジェクトが、社内からの問い合わせに生成AIが対応するシステム「SCCコンシェルジュ」の構築であった。プロジェクトの流れについて、テクノロジーセンター センター長の久保悟史氏は「当初は情報システム部門への問い合わせを生成AIに対応させる方向で考えていたのですが、管理本部や経営戦略室に相談したところ、まずは全社的に需要の多い総務系の問い合わせに対応させ、徐々に適用範囲を広げていくことになりました」と説明する。
2024年6月、システムの開発がスタート。当時の体制について今回のプロジェクトの責任者である管理本部 副本部長の西岡武夫氏は「開発を担うテクノロジーセンターと回答情報を提供する総務課から数名のメンバーを集め、まずは検証環境によるスモールスタートで進めることになりました」と振り返る。
SCCコンシェルジュのプロトタイプを開発、検証を進めていたSCCであったが、2024年10月にプロジェクトの行方を左右する大きな動きがあった。それまで検証に利用していた生成AIサービスを、「Box AI」へ切り替えることになったのである。
当時、同社では社内の情報共有のために運用していたIaaS上のファイルサーバーをクラウドストレージへ移行するプロジェクトを進めていた。IaaS上のファイルサーバーではアクセス制御に手間がかかる上、融通も利かなかったため、今後のDX推進の足かせとなることが懸念されていたからである。また、同社では情報セキュリティの観点からメールへのファイル添付を禁止していたが、代替手段として導入したファイル共有ツールの操作性が低く、ユーザーからの評判が悪かったことも、クラウドストレージへの移行を後押しした。
同社がクラウドストレージの検討を進めるうち、有力候補として浮上したのが「Box」であった。コンプライアンスセンター 副センター長の北川忠男氏は「ガバナンスを強化しつつ、DXを推進できる点を評価しました。また、市場シェアが高い上にユーザーも多く、公式ドキュメントが充実していることから、開発を行う上で参考にできることもポイントでした」と語る。
さらにBoxには、Boxが提供する生成AI機能であるBox AIが搭載されている。Box AIは、内部に保存されているドキュメントの内容を分析して要約や抽出、原稿生成などを行うことができる。つまり、それまで利用していた生成AIサービスとの契約が不要になるというメリットがあった。SCCコンシェルジュの開発を担当したテクノロジーセンターの三宅輝星氏は「今回のシステムは社内向けということで予算にも制約があったのですが、Boxと契約すればBox AIの標準機能を追加料金なしで利用回数も制限なく使うことができます。この点はかなり魅力でした」と語る。
これらの点が高く評価され、同社はBoxの導入を決断。SCCコンシェルジュの開発にもBox AIが活用されることになったが、その効果は極めて大きかったという。
「Boxには、保存されているコンテンツから必要な情報を自動的に抽出してHubと呼ばれる簡易ポータル上に一覧表示する『Box Hubs』という機能が備わっています。以前は、利用者からの質問を単純な文字列に置き換えて検索し、取り出したドキュメントの内容をもとに回答を生成していたのですが、この機能を使うことで回答の精度をかなり向上させることができました」(三宅氏)
一方で、総務課は回答文書の作成を行う必要が生まれた。総務課 課長の中村圭一氏は「どんな情報を提供し、どんな回答を生成させるのかというネタづくりを行ったのですが、規約・通達といった文書は発信元や種類、内容に応じてそれぞれ表現方法を変える必要があり、考えるのに労力が掛かりましたが、AIが適切に加工してくれるのでその点は助かりました」と述べている。実務を担当した総務課の堀江幸加氏も「回答の文章はBox AIが自動生成してくれるので推敲などの手間は省けましたが、一方で利用者へどのように伝わるか不安もありました。しかしこれは杞憂で、実際に生成された文章はこちらの意図通りになっていることが多く、属人化していた作業を効率化できることが分かりました」と当時を振り返る。
なお、SCCコンシェルジュのユーザーインターフェースには、社員が利用しているビジネスチャットツールを採用している。Box APIを用いたこの連携により、Box Hubsがスマートフォン未対応であったにもかかわらず、スマートフォンによる問い合わせが可能になり、客先常駐者を含めた全社員がいつでもどこでもSCCコンシェルジュを利用できる環境が実現した。
2025年4月、SCCコンシェルジュが管理本部において先行リリースされ、9月から全社員の利用が可能になった。取材時点では運用を始めて間もないため、導入効果については今後の検証を待つ必要があるが、総務課への問い合わせは導入前に比べて3分の1ほどに減っているという。
「利用内容を分析すると、これまで総務課への問い合わせになかったものが多いですね。些細な疑問や個人的な質問も、AI相手なら聞きやすいのかもしれません。こういった潜在的な声を拾い上げられるのも、導入の大きな効果ではないでしょうか」(堀江氏)

SCCコンシェルジュのプロジェクトは、問い合わせ対応の効率化を進めただけでなく、社内の連携を強めたという点で、SCCにおけるDX推進の可能性を大きく広げたという。
「今回のプロジェクトを通じて、各部門からメンバーが集まったことで、部門ごとにさまざまな視点があることを実感しましたし、社内での連携の重要性をあらためて認識できました。これは参加したメンバーにとって大きな財産になりますし、DX推進の加速にもつながっていくと思います」(北川氏)
SCCでは今後、同社が中核を担うeDCグループ全体にSCCコンシェルジュを展開していくことを検討している。グループには企業だけでなく大学や専門学校も参加していることから、教育の分野にもDX推進の輪は広がっていきそうだ。さらに、将来的にはSCCコンシェルジュの販売による社外展開も視野に入れているという。
最後に、今回の導入におけるSCSKの支援について、プロジェクトに参加したメンバーは総じてその役割を高く評価している。田中氏は「他システムとの連携や開発に際し、SIerとして同じ土俵・目線で話せることは大きなメリットとなりました。これを機に、Box以外でも両社の強みや得意分野を生かすかたちで協業できるのではないかと期待しています」と語ってくれた。

所在地:東京都中野区中野5-62-1 eDCビル
U R L:
https://www.scc-kk.co.jp/
1975 年設立。以来、SIerとして金融、運輸、セキュリティなど、さまざまな分野のシステム開発を行ってきた。長年にわたり培ってきた高い技術力と豊富な経験をもとに、課題解決のためのコンサルティングから設計、開発、運用・保守までワンストップで対応できるのが強み。同社が開発してきた数多くのシステムは、国内外の至るところでビジネスや暮らしを直接的・間接的に支えており、高度情報化社会の実現に貢献している。
2025年12月