株式会社大京 様

「Zabbix」のバージョンアップと運用再設計を経て
大京とグループ会社が利用するシステム基盤の監視を標準化

働き方改革・生産性向上

「Zabbix Enterpriseサポート&サブスクリプション」も契約し、
長期的に安心して利用できる環境を整える

事例のポイント

お客様の課題

  • サポート期間の過ぎたZabbix2.2を利用しており不安があった
  • Zabbixの運用ルールが明確でなく不必要なアラームが多発
  • Oracleデータベースの監視を人の手で実施しており運用負荷が増大

課題解決の成果

  • サポート対象のZabbix最新バージョンへのアップグレード
  • Zabbixの運用ルールを定義し、監視の標準化を実現
  • Oracleデータベースの監視をODBC経由の監視設定により自動化

導入ソリューション

  • Zabbix構築サービス
  • Zabbix Enterpriseサポート&サブスクリプション

株式会社大京
情報システム部
担当部長

小林 治

株式会社大京
情報システム部 IT基盤企画運用課 課長

田本 圭

株式会社大京
情報システム部 IT基盤企画運用課 係長

高田 健志

株式会社大京
情報システム部 IT基盤企画運用課 主任

森島 さくら

「当社の業務やシステム、インフラを深く熟知しているSCSKは、Zabbixの運用改善でも他には代えがたい最適なパートナーでした」

株式会社大京 情報システム部 担当部長

小林 治

背景・課題

大京とグループ会社が利用するシステムの
運用改善に立ちはだかった2つのハードル

 「THE LIONS」ブランドで知られるマンション開発事業や再開発事業を中心に多様な事業を展開している大京。そんな大京において、「従業員とつながるIT」「お客さまとつながるIT」「経営とつながるIT」の3軸からなるIT戦略を展開し、大京およびその配下の子会社7社(穴吹工務店、大京アステージ、大京穴吹不動産、穴吹コミュニティ、オリックス·ファシリティーズ、大京穴吹建設、秀建)のすべての業務システムの企画・開発・運用、およびDX推進を担っているのが情報システム部だ。

 大京 情報システム部 担当部長の小林 治氏は、「なかでもIT基盤企画運用課は、約1万6000人の従業員が利用する社内システムおよびITインフラの安定稼働を支えています」と語る。

 IT基盤企画運用課では、世界中のエンタープライズ環境で広く利用されているオープンソースの統合監視ソフトウェア「Zabbix」を利用して、サーバーやネットワーク機器の可用性やパフォーマンスを監視していた。しかし、運用ルールや監視設定が標準化されていなかったため、属人的な対応に依存していた面があった。

 大京 情報システム部 IT基盤企画運用課 課長の田本 圭氏は、「Zabbix標準で用意された監視テンプレートをカスタマイズして運用していましたが、不要な監視が含まれる一方、必要な監視が漏れている状況でした。特にOracleデータベースの監視については、Zabbixでの設定方法が分からずスクリプトを使って手動で監視していました」と明かす。

 以前から運用改善を検討してきた大京だったが、Zabbixの最適な運用方法に関する知識を持つ者が在籍しておらずなかなか前に進まない。加えて、利用しているZabbixのバージョンが古く、開発元であるZabbix社のサポートを受けられない状態になっていたことが問題となっていた。

 「Zabbixを導入した当時のエンジニアはすでに社内に在籍しておらず、設計書などのドキュメントも残っていません。そこでZabbixの運用を抜本的に見直すためには、まず最新版Zabbixへのバージョンアップアップから行う必要があり、内製で取り組むには二重のハードルに阻まれていました」(田本氏)

 とはいえ、いつまでも問題を先送りにはできない。「DXの推進に伴い、今後さらに監視対象が増えることが想定されるため、今このタイミングで見直しに踏み切らなければ、状況はより深刻になりかねないと判断しました」(小林氏)

解決策と効果

監視対象ごとに乱立していた監視テンプレートを
4つの標準テンプレートに集約して運用改善を実現

 こうした経緯から2023年2月にZabbixのバージョンアップならびに運用改善に着手した大京が相談を持ち掛けたのが、大京社内に“分室”を設けてシステム運用全般のサポートにあたっていたSCSKだ。SCSKは国内で数社しかないZabbix社のプレミアムパートナーであり、専用のチームを組織して導入、サポートなどに豊富な実績をもつ。

 「当社の社内システムの多くをSCSKのプライベートクラウド『USiZE』上で運用していることもあり、SCSKは長年にわたり私たちIT基盤企画運用課と一体となったサポートを提供してくれています。私たちがまだ気づいていない問題点を先回りして、トラブルの芽を摘むべく解決に動くなど、当社の業務やシステム、インフラを深く熟知する心強い存在です。Zabbixに関しても豊富なノウハウを有しているSCSKは、Zabbixの運用改善においても他には代えがたいパートナーでした」(小林氏)

 こうして大京の情報システム部 IT基盤企画運用課と大京社内に常駐するSCSK分室チーム、さらにSCSK社内のZabbixチームの3者が緊密なタッグを組み、シームレスに情報共有しながらZabbixの運用改善にあたる体制が整った。

 これにより、1つ目のハードルであったZabbixのバージョンアップは難なくクリアすることができた。「最新バージョンのZabbixへの切り替えを2023年4月に行いましたが、移行による影響はまったく生じていません」(田本氏)

 もっとも2つ目のハードルである運用改善はなかなか一筋縄ではいかない。大京 情報システム部 IT基盤企画運用課の高田 健志氏は、「現行の運用状況の問題点を洗い出すため、運用担当者へのヒアリングを通じたオペレーションの把握や実機確認を繰り返しながらのリバースエンジニアリングに近しい作業となりました」と振り返る。

 この課題解決を主導したのもSCSKだ。「Zabbixの導入・運用に関して多くのユーザー企業での豊富な実績を有しているSCSKは、そのノウハウを生かしながら、現状の監視運用の問題点の洗い出しと運用の再設計を行ってくれました」(高田氏)

 具体的には、既存の監視テンプレートを1つひとつ見直し、より柔軟性が高く汎用的な運用が可能な標準テンプレートを作成。これにより監視対象ごとに乱立していた監視テンプレートがわずか4つの標準テンプレートに集約された。「監視設定が容易になっただけでなく、監視テンプレートのメンテンナンスそのものも簡素化されるというメリットをもたらしています」(高田氏)

 さらに大京 情報システム部 IT基盤企画運用課の森島 さくら氏は、このように続ける。

 「これまで人の手で行っていたOracleデータベースの監視をZabbixからODBC経由で監視するように実装したことで、表領域の推移をZabbixのグラフ上で確認できるようになり、運用工数を削減することができました。加えてメンテナンスの設定は、ホストグループやタグを利用したグルーピングを利用することで、設定を簡素化することができました。これにより、例えば監視を抑止したい場合もホストグループやタグを利用した設定変更が可能となるなど、柔軟な運用が実現されています」

 このほかにもSCSKは、対象システムごとの監視内容にあわせたZabbixのチューニングを実施。「Zabbix Enterpriseサポート」も契約することで、「今後に向けて長期的に安心してZabbixを利用できる環境を整えることができました」と田本氏は強調する。

Zabbix構築サービスの標準的な流れ
Zabbix構築サービスの標準的な流れ

今後の展望

Zabbixから得られるさまざまな情報や指標を
より多くの意思決定の場面で役立てたい

 Zabbixを利用したシステム監視が大幅に簡素化されて作業負荷が軽減され、同時に柔軟性が大きく向上したことを受け、大京のIT基盤企画運用課は、その利用範囲を広げていくことも検討中だ。

 一方、Zabbixから得られるさまざまな情報や指標を単にシステム監視のみに利用するのではなく、より多くの意思決定の場面に役立てるべく、公開範囲を拡大していきたいという構想もある。

 「例えば、各システムの利用状況やリソースの消費状況などのKPIを抽出し、経営層向けのダッシュボードに可視化して提供すれば、今後のIT投資の判断材料にもしていただけると考えています」(高田氏)

 これを受けて小林氏も「Zabbixのバージョンアップ後もSCSKは一元的なサポート窓口を提供するなど、とても頼りになるパートナーとなっています。今後の取り組みについても、ぜひ私たちに力になってもらえるよう期待しています」と語り、引き続き緊密なタッグを組みながら、次のステップの課題解決にあたっていく意向を示している。

集合写真

SCSK担当者からの声

今回のプロジェクトでは、Zabbixの単純なバージョンアップだけでなく、当社のZabbixのノウハウを生かした運用の効率化を実現できたと考えており、これらの効率化がお客様のシステム運用の安定につながっていると考えています。SCSKは、大京様の安定したシステム運用の実現を目指し、引き続き尽力してまいります。

(写真左から)
基盤ソリューション事業本部 テクノロジーサービス部 第四課

曽我 幸寿、中野 祐輔

基盤ソリューション事業本部 基盤ソリューション第二部 第一課

中島 博之


お客様プロフィール

株式会社大京様

所在地:東京都渋谷区千駄ヶ谷4-24-13 千駄ヶ谷第21大京ビル
U R L:
https://www.daikyo.co.jp/

1960年株式会社大京商事として創立。「THE LIONS」ブランドをはじめ長く快適に暮らせる住まいを創出する「住宅事業」、地域の活力を再生し新たな可能性をつくる「再開発事業」、総合力を結集しマンションの資産価値を高める「建替え事業」、市場ニーズに応じた未来志向の「ホテル事業」を展開している。グループ会社の力を結集し、あらゆるライフステージに応える住まいとサービスを提供し、「住文化」の創造に取り組んでいる。

※グループ各社の詳細は、以下のURLをご参照ください。
https://www.daikyo.co.jp/group/index.html

2025年4月初版