「ProActive C4」誕生秘話
その名に込めた決意と熱意

ProActive C4、誕生秘話 その名に込めた決意と熱意

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2022.01.25

1993年、国産初のERPパッケージとして生まれた「ProActive(プロアクティブ)」。

SCSKを代表するこのプロダクトが16年ぶりに大幅刷新した。

その名は「ProActive C4」。

単なるシステムのアップデートではない。SCSKの新たなビジネスモデルや存在意義をも変革させる、
大胆なリブートである。

なぜこのタイミングで「ProActive C4」は生まれ、どこを目指すのか?
開発メンバーの軌跡から、手繰り寄せる。

製品にもチームにもインストールした4つの“C”。

ProActive C4のコンセプト

ProActive C4のコンセプト

会社の顔ともいえる“フラッグシップ”モデル。

SCSKでいうそれは、間違いなく「ProActive」だろう。

1993年に生まれた国産初のERP(会計・人事・販売管理などを含めた統合型基幹業務システム)パッケージソフト。四半世紀にわたって製造業、外食、マスコミなどから証券取引所まで、幾多のビジネスを支えてきた。ユーザー数は6,300社にも及ぶ。

「もっとも長く愛され続けたからこその“課題”もありました」とProActive事業本部 ビジネス推進部長・五月女雅一は明かす。

「それらの課題から逃げず、すべてを変えてグレードアップさせました。そして16年ぶりの大幅なリニューアルを果たしたのがProActive C4です」(五月女)

C4に託した意味は、Customer(寄り添う)、Connectivity(つながる)、Collaboration(共創する)、Cross-border(広がる)の4つだ。そのすべてがコンセプトと具体的な機能に落とし込まれた。

例えばクラウド化でどこからでも操作可能にした。API活用の実装で他社サービスとの連携を容易にした。HTML5を用いてユーザーに寄り添った使いやすく、なおかつカスタマイズ性の高いUI/ UX(ユーザーインターフェイス/ユーザーエクスペリエンス)に。さらにはBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)のプラットフォームとしての機能、また集約されるデータを元にマネジメントのコンサルティングまでフォローする体制を築く。

すべてCustomerやConnectivityといった言葉を、額面通り、いやそれ以上に満たす、大胆なアップデートをはかった証左だ。

それだけではない。

「4つのCは4年にわたる開発の中で、私たちメンバーが体感して実装させてきたことでもあります。SCSK全体がビジネスモデルすら変えていく。その羅針盤にもつながると確信しています」(五月女)

Customer――
ユーザーに寄り添うための刷新。

ProActive事業本部 ビジネス推進部長 五月女 雅一

ProActive事業本部 ビジネス推進部長 五月女 雅一

そもそもProActiveが抱えていた課題とは何だったのか?

それは昨今のビジネス環境の大きな変化に対応しきれていなかったことに尽きる。

「言い換えると、いまのCustomerに寄り添いづらくなっていました」(五月女)

少子高齢化と労働人口の減少によって、あらゆる業界で業務効率化が大きな命題となった。コロナ禍が後押しされる前から、テレワークに代表される「どこでも仕事ができる」環境作りも当たり前に進んだ。スマホやタブレットといったモバイルデバイスの進化もあり、ビジネスツールのスタンダードになった。グローバル化とあいまって、ビジネスのスピードも早まる一方だ。

「こうした環境変化にともない、ERPに求められるニーズも変わってきました。専門知識を持たない利用者にとっても扱いやすく、どこからでもアクセスしやすいUIも求められるようになりました。ところが……」(五月女)

28年前に生まれたProActiveのDNAはホストコンピューティングシステム。オフィスのサーバールームに鎮座したメインフレームにログインして使用することを前提にしていた。もちろん、直近の「ProActive E2」(2005年リリース)をはじめマイナーチェンジは続けていたが、やはりそのDNAを色濃く残していたのだ。

「例えば、会計システムも人事システムも画面上、上から区切られた項目を順序立てて入力。Enterキーを押しても“決定“ではなく、TABキーを押したときのように次の入力項目に遷移してしまう、といったこともあります。ただ、ホストコンピュータに慣れた人には使いやすく、長く愛用され普及していただけに大幅な刷新のタイミングをはかるのは難しかったです」(五月女)

しかし、今や多くの方が当たり前に手元でサクサクとWebアプリやスマホアプリを使う時代だ。専門性の高い人だけがいう「扱いやすさ」は反対の意味をおびはじめた。質実剛健なUI/UXを持つProActiveは、安定性と安全性は相変わらず評価されながらも「扱いづらい」「玄人好みだ」というネガティブな声が、少しずつ大きくなっていたわけだ。

どうすれば、今のCustomerの声に寄り添えるか――。

2018年春、経営陣は決断した。

「単にUI/UXを刷新する程度のものではなく、アーキテクチャからすべて変えるとき。次世代のProActiveとなる“NEXT ProActive”をつくろう」

大胆な刷新に早くから舵を切った理由は、SCSK自身が抱えていた課題もあったからだ。

「労働集約型からサービス提供型へのビジネスモデルの転換です」(五月女)

お客様の要望にしたがってシステムをつくり、お客様の現場にまで足を踏み込んで常駐するエンジニアが保守などまで担当する。こうしたこれまでのSIerの労働集約型のビジネスモデルが限界を迎えつつあった。

「少子高齢化と労働人口の減少の影響は、もちろんSCSKにも直撃していたわけです」(五月女)

NEXT ProActive=ProActive C4のプロジェクトはこうしてはじまった。そしてフラッグシップだからこそ、各部署に散らばっている“精鋭”と呼ぶにふさわしい人材がアサインされた。

次の”C”、Connectivity(つながる)に話を移そう。

Connectivity――
正義がぶつかりあう日々。

SE+センター SE+推進部 中村 公美

SE+センター SE+推進部 中村 公美

メンバーの中心は、ProActive事業本部だった。しかしフラッグシップの十数年ぶりの刷新だ。全社に散らばるエースたちが続々とアサインされていった。ITアーキテクトの領域でも6名のメンバーが各部署から集った。

もっとも、本プロジェクトを象徴するのは中村公美のアサインだろう。所属部署はSE+センター SE+推進部。UI/UXに特化してプロダクトやサービスを設計するUI/UXスペシャリストである。

普段は社内向けにUXの研修講師を務めたり、各部署でUI/UX のアドバイスをしたりするのが仕事。ProActive C4プロジェクトメンバーのひとりが彼女の研修を受けたことが、仲間に加わったきっかけだ。

「我々がゼロから勉強するより、スペシャリストに同じ船に乗ってもらおうと誘いました。他の仕事はセーブしてもらって(笑)」(五月女)

中村にとっても望むところだった。

システムのユーザビリティに特化した案件が多い中で、C4 プロジェクトはサービスそのものやビジネスモデルそのものにまで踏み込む。「ユーザー体験をより良くしたい」と考えている彼女にとっては、大いにワクワクさせられる案件だったからだ。

「アサイン時に五月女さんから『日本一のUI/UXをつくるつもりであたってほしい』と気合いを入れられました。これは長い航海になるのだろうなと覚悟もできました(笑)」(中村)

船出はスムーズではなかった。

才能あふれる精鋭は、たいていアクの強さをもったプロフェッショナルであるものだ。知見と意見を持つITスペシャリストと、UI/UX スペシャリストの中村。そして事業本部のコアメンバーたちは、企画段階から幾度となくぶつかった。

「喧々諤々の日々でしたよ」と思い出しながら笑うのは、ProActive事業本部 ビジネス推進部の日出英彰だ。2000年の入社時からProActive製品保守にてキャリアをスタート。その後、マイナーチェンジのPLを歴任した「生まれも育ちもProActive」を自認する人材である。

「僕ら事業本部のメンバーにしたら何十年扱ってきたからこそ確信している『ProActiveとはこういうものだ』という正義があります。一方で中村さんからすると『使いやすいUIはこうあるべきだ』という正義があります。もちろんITアーキテクトのスペシャリスト達も。こうした正義がどうしても、ガチガチにぶつかりあうわけです」(日出)

衝突は、例えばこう起きる。

自由度の高いHTML5を使ったフロント部分の変更。ERPだとしても、感覚的に利用者が扱いやすいUIを実装するのが、UI/UXスペシャリストである中村の“正義”だった。だから中村は「画面上のボタンから、割り当てキーの表記を無くして見やすくさせてはどうか」「ショートカットキーを厳選してもよいか」と提案した。

「とんでもない!」

すぐさま日出ら事業本部メンバーが反論した。「1日に数百件の伝票を打つ」ようなERPを普段から使うユーザーは、マウスなんて使いたくない人が多かったからだ。

「できる限りキーボードで処理できるように設計するのが、ProActive側のUIの正義だったわけです。『中村さんこそわかってないよ!』と」(日出)

「画面設定はこうしたい」「それでは使いづらい」

「文字の大きさ、フォントデザインはこうあるべきだ」「そんな大きさでは見えない」――。

幾多のやりとりが畑違いのプロ同士の間で取り交わされた。

順序立てて企画、検証、設計と進めていくウォーターフォール型開発ではなく、走りながら考えるアジャイル型開発に挑戦したことも、喧々諤々の要因だったに違いない。

企画段階でまとまった青写真が、ITアーキテクチャ側にダメ出しされることもザラに。「気持ちはわかるが仕様に制約がある。無理だ」と突き返される。ユーザーサポート部隊から「これではサポートにコストがかかりすぎる」と戻されることもザラだった。

Connectivity(つながる)ことは、むしろ分断を生んだ。

バラバラの正解がぶつかりあうせいで、ゴールもバラバラになっていた。

「要するに、問題はそこでした」と五月女が振り返る。

「明快なひとつのゴールが見えていませんでした。無いならば作ってしまえばいいと」(五月女)

アジャイルのアクセルを一度とめて、五月女はメンバーを集めた。あらためて『ProActiveのあるべき姿はどこにあるか』目指すべきビジョンを策定したのだ。「なかなか前に進まない」。すでに数ヶ月たったプロジェクトの最中でストレスもあっただけに、皆が忌憚ない意見を言い合った。

そして生まれたビジョンが『お客様が求める価値に、寄り添う』――。

そう、C4のコンセプトにもつながるビジョンだった。

「一緒にビジョン策定に取り組んでいましたが、途中、ハッとしたし、恥ずかしくもなりました」と日出はつぶやく。

「『私は』『ProActiveは』と自分たちを主語にしてプロジェクトを考えていました。けれども、主語はお客様、ユーザーであるべきなのだと。それがサービス提供型ビジネスに変わることなのだと腑にも落ちました」(日出)

ひとつの羅針盤ができたことで、個性豊かなメンバーたちは再度、船出することになった。真のCollaboration(共創)がはじまった。

Collaboration――
誰のための共創なのか。

ProActive事業本部 ビジネス推進部 新規事業開発課長 日出 英彰

ProActive事業本部 ビジネス推進部 新規事業開発課長 日出 英彰

すべてはお客様が求める価値のために。

美しくも正しいビジョンが定まったからといって、翌日から足並みがキレイにそろったわけではない。

「やっぱり喧々諤々は続きました(笑)。ただ…」(日出)

結論は違った。

議論になっても、立ち戻るべきゴールがあったからだ。

例えば先にあげたショートカットキー問題。大量のキー割り当てをそのままProActive C4に移行することには反対だった中村の意見に、日出も「待てよ…」と立ち止まるようになったという。

「『玄人はショートカットキーを使うんだ。キーボードで処理したいんだ』と信じていましたが、本当にお客様は使っているのか、とあらためてヒアリングしました。すると、Ctrl+Cなどいくつかのメジャーなコマンドは使うけれど、その他はほとんど使っていない方が多かったのです。ファンクションキーも1つか2つくらいしか割り当てていなかったのです」(日出)

ならばショートカットキーのボリュームを減らすのが「お客様の価値になる」と結論づけた。ショートカットキーの実装が無駄に増えるのは工数を増やすことになり、プログラムの時間も増やす。メンテナンスやバージョンアップの手間もその分増える。そのままお客様への提供スピードとコストに跳ね返るからだ。

逐一、こうしたやりとりを経て、UI/UXは研鑽されていった。

ProActive C4の操作画面を見ていただければわかるが、かつてのProActiveシリーズとは大違いのビジュアル。シンプルに直感的に動作できるようになっている。

「喧々諤々の結果、です(笑)。ビジョンにもとづいて『システム構想』『デザイン基本方針』といったドキュメントをつくり、各現場で指針ができたのも良かった。アーキテクチャの部門やサポートの方々と議論になっても『お客様の価値から考えると…この基本方針にもこうありますよね』と都度、立ち戻れましたからね」(中村)

画面に表示する項目の並び順、サイズ、色、言語、フォントサイズ……。これらをユーザーがパーソナライズして選べるようにしたのもビジョンに基づいたCollaboration(共創)の結果だ。

ERPは人事や経理など、それぞれの担当領域を持つ専門職が使うのが基本。しかし、勤怠管理などは全社的に誰しもが使うシーンも想定される。そうなると、今は学生バイトからシニア世代、国籍や文化の違う方々など、真に多様な人々がそれぞれのニーズをもってProActive C4を触る機会がありえるからだ。

「そこで幅広な部署の方々にヒアリングして、触ってもらってつくりあげていきました。人事担当者ならば、シニア世代ならば、経営者が使うとしたら、外国籍の方ならば……といった感じです。そうしてできる限り、自分が使いやすいようにカスタマイズ、パーソナライズできるように」(五月女)

こうして2年を超える濃密な時間を、企画フェーズに割いてきた。何度も議論して、出し戻して、「お客様はどうか?」と見つめ直してきた。だからこそ設計、構築フェーズは迷い少なく進めた。

「そもそもエースたちが揃っていましたからね。ぶつかりあっていただけで(笑)」(日出)

何度かのプロトタイプと検証を経たのち、2021年11月にProActive C4は正式リリースを果たした。

Cross-border――
ERPを、SIerを超える。

Cross-border――

4つめのC、Cross-border(広がる)で物語を締めたい。

「お客様が求める価値を…」を貫きつつ、各部署を交えながら企画を練り上げて生まれたProActive C4は、まさにCross-borderを地でいくようなサービスが内包された。

API活用によって、他社のクラウド人事労務システムや会計システム、電子請求書サービス、RPAなどと簡便につなげられるのはわかりやすい例だ。SCSK内にすでに類似サービス、プロダクトはあるがフルオープンで、それぞれのお客様のニーズにしたがってセレクト、あるいは提案していく。

「単なるERPではなくプラットフォームですから。どのサービス、システムが適しているかはお客様によってさまざまです。ただ当社のサービスを推すといった低い視座ではいけません。それこそビジョンに反します」(日出)

ProActive C4を通して、人事総務関連に代表される多彩なBPOサービスまでシームレスにつながる仕組みも用意した。

「お客様はつきつめればERPを使いたいわけじゃない。ビジネスを効率よく、売り上げ、利益をあげたいわけです。ProActive C4を介して、そのためのお手伝いをする。さらに集まったデータをもとに戦略的なコンサルティングまで請け負うような形を考えています」(五月女)

まさにERPの枠を超えるのがProActive C4で、SCSKもSIerの枠を完全に超えた存在になっていく時が来たのかもしれない。

その狼煙が、今回のC4のリリースで完全にあがったのだ。

3人はすでに少し先を走り始めている。

「UI/UXもそうですが小さな枠にはめずに、ProActiveもSCSKもどんどん変わっていくのが正解なのだと思います。少なくとも『お客様が…』の主語が変わらなければ、それはできると確信しています」(中村)

「リリースがゴールではなく、スタートだと捉えています。お客様の声を積極的に伺って、ブラッシュアップし続けていきたい。10年、20年と成長し続けていくものをつくる義務が自分たちにはありますからね」(日出)

「『夢ある未来を、共に創る』。それがSCSKの経営理念。お客様の言うことに単にしたがうのではなく、お客様と共により良い未来を創っていくのは僕らのDNAです。だから変わり続けていかなくちゃね」(日出)

フラッグシップにふさわしい、新しく大きな旗が立った。

それはお客様の豊かな未来にしっかりと寄り添って、はためく。

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