VR空間での設計レビューを支援する『バーチャルデザインレビュー』とは?-サイバネットシステム株式会社に聞く(前編)

2017年12月22日、SCSK株式会社がサイバネットシステム株式会社と販売代理店契約を締結したVRソリューション「バーチャルデザインレビュー」。製造業のモノづくり支援におけるVR活用を促進する同製品について、サイバネットシステム株式会社 AR/VRソリューション事業部の荒井葉月氏に話を伺った。

変換することなくCADデータをそのままVR空間内に投影

──サイバネットシステムではどのような事業を行っているのでしょうか?

弊社は、CAE関連の多岐にわたる先端的なソフトウェアソリューションサービス事業を展開しており、電気機器、輸送用機器、機械、精密機器、医療、教育・研究機関などさまざまな業種および適用分野におけるソフトウェア、教育サービス、技術サポート、コンサルティングなどを提供しております。そのなかで、AR/VRを取り扱っているのが私の所属している部門です。

弊社のユーザーは、CAEに最も関わってくる自動車や機械・装置関連の製造業をはじめ、建築系や医療系のお客様もいらっしゃいます。また、VR/AR事業については、製造業だけでなく、観光やイベントで使われるARやVRも取り扱っており、コンシューマ向けのサービスも展開しています。

 

──「バーチャルデザインレビュー」とはどんなVRソリューションでしょう?

3次元CADなどの設計データをHTC社のVRヘッドマウントディスプレイ「HTC Vive」を使用してVR空間で再現。場所の離れた複数メンバーでレビューできるソリューションです。CAD形状をそのままVR空間に投影するという独自の方式により、事前準備の手間がかからないスピーディーなバーチャルレビューを実現します。

 

──「バーチャルデザインレビュー」の特長はなんですか?

最大のポイントはVR空間内でCADデータを見るためにフォーマットを変換する必要がないことです。そのため、VRで見るために専用のフォーマットに変換したり、データサイズを落としたりといった手間をかける必要がありません。普段お使いのCADでモデルを編集している状態をそのままVR空間で見ることができるため、レビューで指摘があった項目を修正しながらリアルタイムでその様子を確認し、その場で参加者同士の合意形成を図れることが最大の特長です。

また、あるCADソフトで自動車の筐体デザインを設計し、もう1つ別のCADソフトで自動車のエンジンなど内部の機能を設計しているような場合、通常ならバラバラに見ることになりますが、「バーチャルデザインレビュー」ならその設計データをVR空間内で合成して見ることができます。たとえば、「Alias」と「3ds Max」のデータがあったとしたら、これまでだとどちらかのソフトにフォーマットを合わせる作業が必要でしたが、「バーチャルデザインレビュー」ではその必要がなくなります。

 

「バーチャルデザインレビュー」の機能紹介動画

──対応しているのはメジャーなCADソフトだけでしょうか?

いえ、OpenGLベースのCADソフトなら対応可能ですので、メジャーなCADソフトはもちろん、すべて含めると60種類以上のCADソフトに対応しています。

 

──それは便利ですね。

その他の特長としては、複数拠点から同じVR空間を共有できるということが挙げられます。国内で離れた拠点間はもちろん、日本の拠点と海外の拠点とでも同一のネットワーク上からアクセスすれば同一のVR空間に入ることができます。音声を録音して付箋として貼り付けることもできますので、自分がしゃべった音声データを別の拠点のメンバーが再生してチェックすることが可能です。

 

──ところで、「バーチャルデザインレビュー」はどのようにして生まれたのでしょう?

自動車関連メーカーのお客様からのニーズが発端です。最初は受託開発で考えていたのですが、それだと汎用性がなくなることで悩んでいました。ちょうど同じころ、さまざまなお客様のお話を伺っていると同じようなニーズや困りごとを持たれていることが判明したのです。それならと、「バーチャルデザインレビュー」の製品化に向けて動き出したのが2016年の春から夏にかけて。ちょうど、HTC社がリリースしたVRヘッドマウントディスプレイ「HTC Vive」が話題となっていたころです。それも後押しとなって、その年の11月に「バーチャルデザインレビュー」をリリースしました。

 

(後編へ続く)