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ヘルプデスクに蓄積するナレッジの活用

分野:ITSM

テーマ:ナレッジ/チャットボット


当社が行った調査によれば1000名以上の企業でヘルプデスクの問合わせ対応を管理する仕組みを持っていないと答えた回答は、何と全体の56%もありました。


ヘルプデスクのメンバーがExcelやグループウェアに問い合わせ内容を登録し管理していると答えた企業も多数ありましたが、 これでは、ナレッジはヘルプデスクにしかたまらない状況が続くだけでなく、ヘルプデスク内でも情報共有がうまくいきません。 ユーザが困った時、いかに必要な情報にアクセスできるか、情報をどう貯めて活用するかということが、今回のコラムのテーマです。
前回に続き4回シリーズでヘルプデスクにおけるナレッジ管理のポイントをご紹介します。今回は第2回目です。

第2弾2回目:ナレッジをライフサイクルで管理する

今回はナレッジをライフサイクルで管理していきましょうというお話です。


ナレッジはただ蓄積すれば良いわけではありません。不要なナレッジは非公開にし、必要なナレッジのみがユーザによって検索されるようにしなければなりません。
そのために必要な取り組みが「ライフサイクル」としての管理なのです。


ナレッジをより有効に使っていただくために管理は以下の4つです。
ナレッジを創出して非公開とするところまでを一連のプロセスとして捉えることが重要です。

管理1:ナレッジ化する情報の候補を洗い出す

ナレッジは、誰か特定の担当がまとめて作るものではありません。メンバー全員で知恵を出し合って形成していくものです。 ユーザが読んで「役に立つもの」を作らなければならないので、様々な視点や意見を取り入れて、「候補」をたくさん出していくことが重要です。


ヘルプデスクチームは週次で打ち合わせを持つことも多いと思います。是非前週の状況を振り返り、問題の多かったシステムは何だったか、どんな問合せが多かったかを振り返ってください。 こんなナレッジがあれば問合せをしなくて済んだ、予めマニュアルの記載を変えれば迷わないなど、色々な意見が出てくると思います。それをナレッジの候補として、貯めておくということです。 もちろん、メンバーが自発的に「候補」を追加するのも歓迎です。
しかし、個人依存にせずチームで議論して候補を検討するという機会を是非作ってほしいのです。多くの候補からより良いナレッジをユーザに届けられるように、 体制や定期的な機会をマネージャは提供するべきと考えます。


前週のシステム毎の問合せレポート

管理2:ナレッジ化を承認する

洗い出されたナレッジは、マネージャが必ず精査しなければなりません。繰り返しになりますが、ナレッジは必要な情報のみ検索されなければなりません。 不要な情報が多ければ多いほど、ユーザの利便性は下がっていくのです。


次のような観点でナレッジを精査してください。


① 本当にユーザに周知する必要がある情報か
 -今後も活用される情報か?
 -ユーザが求めている情報か?

② 内容が適切か
 -記載されている内容はユーザに有益か?
 -記述されている表現は正確か?
 -表現は平易でわかりやすいか?

③ 他のナレッジと重複しないか

④ 検索されやすいキーワードが選択されているか


自由にメンバーがナレッジを投稿できる方が良いという意見もあると思いますが、ナレッジ活用はヘルプデスク効率化の王道です。組織的にコントロールされるべきものと考えられます。 候補を承認してユーザに公開する仕組みは是非とも取り入れてください。

承認画面

管理3:ナレッジに賞味期限を付ける

ナレッジは生モノです。システムで問題が解決されたり、ユーザに周知されている情報はナレッジとしての価値はありません。こうした情報がゴミとなってユーザの検索性を下げていくのです。
ナレッジ化には必ず公開期限を検討するプロセスが必要です。ナレッジをリリースして公開が終了するまでの期間が情報として価値のある賞味期限というわけです。 予め公開期限を設定し、期限を過ぎると公開されなくなるような仕組みがあれば効率的に運用できるでしょう。 公開期限は、リリースしたばかりのシステムに関する情報であれば、長くて次バージョンへの更新まで、短ければカットオーバー後数週間です。
蓄積されたナレッジ量はどんどん膨大になっていきます。あとから整理はできません!情報の公開と期限はセットで必ず検討してください。


また参照数が多いナレッジは、なぜ活用されているかを考え、他のナレッジ化の手本として利用することもできます。 ユーザへの公開とヘルプデスクでの検索可否は別です。ナレッジの公開終了とナレッジの削除は異なる対応です。ヘルプデスクでは検索できるように公開終了と削除の運用を使い分けてください。

期限の設定

管理4:ナレッジの利用状況のモニタリング

最後はナレッジの利用状況をモニタリングし、不要なナレッジの公開を終了したり、周知方法を検討するきっかけにするプロセスです。
これを実施しなければ、ナレッジを作りっぱなしになり、有効にユーザへ情報を届けることができないでしょう。 具体的には、長期間参照されていない情報については、公開終了を検討するか、周知が必要な情報については、キーワードを再検討したりポータルトップに掲載するなどの対応を行います。


また参照数が多いナレッジは、なぜ活用されているかを考え、他のナレッジ化の手本として利用することもできます。

活用頻度

ヘルプデスクの効率化の重要成功要因の一つにユーザによるナレッジ活用の頻度が挙げられます。利便性を下げずに問合せ数を下げる方法は、 ヘルプデスクからはナレッジの公開よりも有効な手段はありません。ナレッジの利用状況を分析し、戦略的に情報を公開することはヘルプデスク運営において最も重要な施策です。
是非ナレッジをライフサイクルと捉え、効果的な管理方法を導入してみてください。


以上が「ナレッジをライフサイクルで管理する」になります。
次回第2弾3回目は【FAQをつくるポイント】です。乞うご期待ください !


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