近年、企業の持続的な成長を実現するための経営テーマとして、「非財務情報」の戦略的活用が急速に重要性を増しています。
これは、リーマンショックを経て「企業の短期的な利益重視」が見直されたことに加え、世界的なパンデミックによるサプライチェーンの大混乱など、社会課題が顕在化した結果、企業価値を測る尺度が従来の財務情報だけでは不十分であると認識されたためです。
投資家や顧客、従業員などのすべてのステークホルダーが、企業の長期的な安定性と成長性を判断する上で、非財務情報を不可欠な要素として捉えるようになっています。
本コラムでは、この非財務情報とは何かを改めて解説するとともに 、特に日本の株式市場、そして中核産業である製造業が抱えるPBR(株価純資産倍率)1倍割れという深刻な課題に焦点を当て、非財務情報がいかにその解決のカギとなるかを考察します。
そして、非財務情報の活用を推進するための実態を調査したアンケートレポートをご紹介します。
レポートでわかること
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企業のサステナビリティ経営への意識は極めて高く、特に「人的資本経営」の重要性が将来的に増す見込みである
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非財務情報の戦略的活用の必要性をほとんどの企業が認識しているが、専門部署の設置はまだ半数強にとどまっている
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ESG/サステナビリティ領域のシステム導入ニーズは高く、90%の企業が検討を進めている一方、システムには「データの分析・可視化」と「業務負担軽減」が強く求められている
このような方におすすめ
- 非財務情報の収集・管理業務に課題を感じている方
- サステナビリティ経営や非財務情報開示の推進責任者・担当者の方
- ESG/サステナビリティ領域でのシステム導入を具体的に検討している方
非財務情報とは? 財務情報だけでは測れない企業価値
非財務情報とは、企業の持つ様々な情報のうち、売上高や利益といった財務情報以外のものです 。具体的には、E(環境)、S(社会)、G(ガバナンス)の3つの要素、いわゆるESGに関する取り組み状況を示すものであり 、以下のようなデータが含まれます。
・環境(E):二酸化炭素排出量 、消費電力量 など。
・社会(S):女性管理職比率 、男女間賃金格差、有休取得率、社会貢献活動参加者数 など。
・ガバナンス(G):企業の意思決定や経営の透明性に関わる情報。
収集・開示している項目は企業によって異なっており 、法令遵守を超えた戦略的な活用が求められています。
非財務情報の活用・開示は、投資家からの評価(ESGレーティング)向上 、法令遵守 、サプライチェーン全体での持続可能なビジネスへの取り組み 、そして従業員のロイヤルティ向上 など、企業の持続的成長に欠かせない要素となっています。
財務情報が企業の経済的価値を伝えるのに対し、非財務情報は、パーパス(存在意義)やマテリアリティ、さらにはそれらを実現するための非財務資本や企業活動について、より多面的にステークホルダーに伝えられるメリットがあります。
製造業に突きつけられた課題:PBR(株価純資産倍率)1倍割れ
非財務情報の活用が急務である状況は、日本の主要企業の株価にも現れています。売上高1,000億円以上のプライム市場上場企業のうち、実に51%がPBR(株価純資産倍率)1倍割れの状態にあります。
この傾向は、特に日本の経済を支える製造業においてより深刻です。プライム市場上場製造業の57%がPBR1倍割れの状態にあり、中でも輸送機械(95%)や素材・素材加工品(77%)といったセクターでPBR1倍割れが特に顕著です。
財務と非財務の統合管理の重要性
この課題の解決は、単に非財務情報(ESG情報など)の開示・活用のみで完結するものではなく、財務情報との両輪で考える必要があります。
これまで、資本効率を示すROE(自己資本利益率)への注目が高かったことから、企業の資本効率改善が図られてきました。しかし、PBRは「株価÷ 1株あたり純資産」であり、ROEだけではなく、株価収益率(PER)にも着目し、企業価値向上への取り組みを強化すべきです。
当社の調査でも、非財務情報の活用は競争優位性の確保や企業価値向上に「つながっていると思う」顧客が95%にのぼり、その統合管理・戦略的活用の必要性を96%の顧客が感じています。
非財務情報(E, S, G)の開示義務化は、時価総額3兆円以上のプライム市場上場企業から段階的に導入され、今後はプライム市場全体に拡大していく見込みです。非財務情報を統合管理し、持続可能な経営戦略・事業戦略を立案すること(サステナビリティ経営)が、企業価値を向上させるための重要な要素となっています。
PER(株価収益率)への着目
PERを向上させるには、収益性の改善と将来の成長期待の醸成が不可欠です。
この成長期待を醸成する上で、非財務情報が大きな役割を果たします。具体的には、非財務情報システムに求める要件として「収集したデータの分析・可視化」が最も多く(62%)挙げられています。また、非財務情報の関連業務にかかる業務負担軽減も重要視されており(53%) 、非財務情報を効率的に収集・活用し、持続可能な経営戦略及び事業戦略の立案に結びつける(26%)ことが、市場からの評価を高めることにつながります。
PBR1倍割れという課題を乗り越えるためには、財務指標の改善に加え、非財務情報を経営戦略に組み込み、市場からの将来の成長期待(PER)を高めるための戦略的な情報発信と、それを支えるデータ基盤の構築が急務です。
SCSKが実施したサステナビリティ領域システム導入状況調査レポート
こうした背景を踏まえ、SCSK株式会社はメルマガ会員を対象に「サステナビリティ領域システム導入状況調査アンケート」を実施し、206件の有効回答を得ました 。本レポートは、企業の皆様のサステナビリティ戦略立案や、非財務情報活用のためのシステム導入検討にお役立ていただける内容となっております。
調査で明らかになった企業の意識と動向
注力テーマ:「サステナビリティ経営」を注力テーマに掲げる企業が最も高く、全体の49%に達しています。
将来の重要テーマ:将来貴社にとって重要になると思うテーマとして、「人的資本経営」を挙げる回答者が38%と最多で、重要性が高まる見込みです(現行27%から増加)。
非財務情報の価値:実に回答者の95%が、非財務情報が競争優位性確保や企業価値向上につながっていると考えています(「そう思う」47%、「どちらかと言えばそう思う」48%の合計)。
システム導入の検討状況:今後この領域のシステムニーズは非常に高いと推測され、何らかの検討を進めている企業は90%に達しています(「導入済」「開発中」「検討中」の合計)。
導入検討における課題とシステムへの要件
システム導入を検討する上での課題としては、「特にない」が最多の33%である一方で 、「予算」(29%)や「経営層の理解」(23%)といった経営資源に関する課題が上位を占めています。
また、システムに求める要件としては、以下の2点が特に高い割合となりました:
・収集したデータの分析・可視化(62%)
・非財務情報の関連業務にかかる業務負担軽減(53%)
これは、多くの企業が非財務情報について、単に開示要件を満たすだけでなく、業務の効率化と、データに基づいた経営戦略の高度化に役立てたいと考えていることを示唆しています。
レポートダウンロードのご案内
本レポートでは、企業の皆様のサステナビリティ領域における経営方針、システム導入の具体的な検討状況、導入済みの製品・ベンダー名、そしてシステムに求める詳細な要件などを、より詳細なグラフと分析結果でご紹介しています。
貴社のサステナビリティ戦略立案や、非財務情報活用のためのシステム導入検討にお役立てください。
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