国内製造業のグローバルIT標準化に向けた取り組み実態と今後の方針
製品開発のスピードアップや最適な調達予測によるコスト削減など、製造業においてグローバル競争力を向上させるのは、どの企業でも経営課題となっています。解決のためには、サプライチェーンにおけるデジタル化やグローバルITシステムの標準化、データの利活用は欠かせません。
しかし、負の資産になりつつある基幹システムのレガシー化や、地政学的な理由によって拠点同士の連携・標準化が進まないなど、一筋縄では進まない実態も垣間見えます。
そこで、SCSKでは海外に複数拠点を持つグローバル国内製造業に対し、「標準ITシステムの導入から拠点展開、運用保守」について、どのような課題があり、解決に至らない阻害要因は何なのかの実態に関するアンケート調査を、2024年11月に実施しました。
その調査結果を分析し、グローバル国内製造業の標準ITシステムの課題や取り組み実態と、今後の方向性を考察したレポートは以下のボタンからダウンロード可能です。
レポートでわかること
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グローバル標準システムと現地個別システムを利用・併用している企業による、課題の解決状況の違い
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業種により基幹システムがグローバル標準システムで整備されている割合は異なる
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グローバル標準システムの導入における課題
このような方におすすめ
- 製造業のグローバルIT標準化の改革を考えている方
- 海外拠点のITシステムに課題のある方
- グローバル製造業における標準ITシステムの課題や取り組み実態を知りたい方
レポート内容 PickUP
海外拠点のITシステム導入状況
- 全てグローバル標準システムで整備されている企業は42%
- 現地個別システムを利用・併用している割合が57%

業種別の導入状況は?
業種を以下の2つに分類し、海外拠点のITシステム導入状況を分析した。
[組み立て系業種]:
- 自動車・輸送機器関連
- 電子部品・電子デバイス関連
- 電気・精密関連
- 機械関連
[プロセス系業種]:
- 医薬・医療品関連
- 食品・飲料関連
- 化学・素材関連
- 金属・鉄鋼関連
基幹システムが<全てグローバル標準システム>か、<現地個別システムを導入>の割合は大きく差が出ている。
これは、現地ローカル要件の違いや、取り扱う原材料・部素材の違いなどによる背景、ビジネス形態の違いが一因だと推察される。

これらの詳細や、業種によるアンケート結果の違いに対する詳しい考察は、以下のボタンからダウンロード可能です。
レポートダウンロード海外拠点のITシステムの課題と、解決に向けた取り組み状況
「現在抱えている海外拠点のITシステムの課題と、解決に向けた取り組み状況を選択してください。」という問いに対し、[解決済み]と、[取組み中]を足した割合を、“既に課題に取り組んでいる割合”と見ると、 多い課題順に、1位<セキュリティ>、2位<グローバルガバナンス(統制)>、3位<海外ローカル要件(税制・法制など)対応>、4位<運用保守コスト>、5位<海外拠点の現地IT人材>だった。

グローバル標準システムが整備されている企業ほど、ガバナンスの課題は解決済
<グローバルガバナンス(統制)>課題について、海外拠点のITシステムの導入状況によって傾向が変わるのか分析した。[解決済み]の割合では、<現地個別システム(各国バラバラ)を導入している>より、<全てグローバル標準で整備されている>が37ptも高い。
グローバル標準システムの導入状況によってガバナンス課題の取り組み状況は比例していることが明らかだ。
各国バラバラに個別システムを導入している企業ほど、ガバナンスの取り組みが遅れていると言えるだろう。

グローバル標準システムの運用保守における課題と取り組み状況
「海外拠点でのグローバル標準システムの運用保守における課題と、解決に向けた取り組み状況を選択してください。」という問いに対し、[解決済み][取組み中]の割合が多い順は、1位<グローバルガバナンスの維持>、2位<現地要件変更(税制・法制・業務)への対応>、3位<現地語対応/多言語対応>、4位<現地法人のITリソース不足>、5位<現地ベンダーを含むサポート体制/品質>、6位<運用保守コスト>、7位<24時間365日対応>となった。

個別システムほどグローバルガバナンスの維持は難しい
1位の課題 <グローバルガバナンスの維持>について、海外拠点のITシステムの導入状況に見てみよう。[解決済み]の割合では、<現地個別システム(各国バラバラ)を導入している>より、<全てグローバル標準で整備されている>が24pt高い。
<一部はグローバル標準システム、それ以外は現地個別システムを導入している>と答えた、システム併用企業では、52%が<グローバルガバナンスの維持>について、現在[取組み中]となっており、全課題の中で最も高い結果となっている。システム改修や現地の固有システムの再構築時など、統一したマスターなどの維持が困難だと考えられる。

これらの詳細、グローバル標準システムの導入状況によるアンケート結果や詳しい考察は、以下のボタンからダウンロード可能です。
レポートダウンロード課題解決における阻害要因
「課題解決を進めるにあたり阻害要因は何ですか。」の問いに対し、全体の多い順に以下の結果になった。
1位<現地法人リソース、体制不足>(21.6%)
2位<本社リソース、体制不足>(19.7%)
3位<現地法人の予算が限られている>(18.2%)
4位<現状のやり方を変えたくない人が多い>(13.4%)
海外拠点のITシステムの導入状況によって、課題解決の阻害要因に違いが出るのか分析した。1位と2位を比較すると、
<全てグローバル標準で整備されている>企業では3.1ptの差
<一部はグローバル標準システム、それ以外は現地個別システムを導入している>企業では13.1ptの差で<現地リソース、体制不足>の要因が高くなる。
一方、<現地個別システム(各国バラバラ)を導入している>企業では、<本社リソース、体制不足>の方が7.1pt高くなる。
言い換えれば、グローバル標準システムを導入する企業ほど、展開する際の現地リソースや体制が阻害要因となり、
個別システムを導入する企業ほど、現地より本社リソースや体制が阻害要因になるということだ。

グローバルITパートナーに求める要素
「グローバルITパートナーに求める要素は何ですか。」の問いに対し、全体の多い順に以下の結果になった。
1位<グローバル拠点のIT人材スキル>(31.7%)
2位<グローバル拠点の立地や体制>(27.0%)
3位<グローバルサポートの実績>(23.3%)
4位<現地要件の知見>(18.2%)
5位<グローバル拠点のサポート範囲>(15.8%)
要約すると人材、拠点、体制、実績、現地知見、サポート範囲ということになる。
製品方式による要素の違いをみていくと、[組み立て系製造]と[プロセス系製造]で、1位から3位までは大きな差は見られないが、4位以降では、[プロセス系業種]の方が高くなっている。
[プロセス系製造]では、化学品や流体を扱うので、組立加工製造より専門的な知見が求められたり、本社側がグローバルリーダーシップを取る必要がある。
また、検討中や中長期的なテーマの中で、必要なサポート範囲や知見が異なる事が考えられる。

レポート掲載内容
本レポートをダウンロードいただくと、全20ページで下記の情報を御覧いただけます。
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年商と業種別の拠点数の関係
・業種により拠点数の割合は異なる -
海外拠点のITシステム導入状況
・業種により導入状況は異なるのか? -
海外拠点のITシステムの課題と、解決に向けた取り組み状況
・共通課題やグローバルガバナンスの取り組み状況
・グローバル標準システムによる課題の解決
・現地個別システムを導入している企業の傾向 -
グローバル標準システムの展開時の課題と解決に向けた取り組み状況
・最大の理由や、業種による違い
・導入による課題解決状況の違い -
グローバル標準システムの運用保守における課題と取り組み状況
・運用保守で1位の課題は?
・個別システムではグローバルガバナンスの維持は難しいのか -
課題解決における阻害要因
・阻害要因はリソースや体制不足が最多
・体制不足は現地なのか、本社なのか? -
検討中や中長期的なテーマ
・データ連携及びデータの利活用
・部分的なグローバルITシステムの導入による課題 -
グローバルITパートナーに求める要素
・パートナーに求められる要素と業種による違い
アンケート調査実施概要
1 調査の目的 | グローバル製造業における標準ITシステムの課題や取り組み実態を明らかにすることで、 将来のシステム投資を考える企業様の検討の一助となるような示唆を得ること |
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2 調査の対象 | 海外に生産・工場・関連会社を複数持ち、年商2千億円以上の製造業企業にお勤めの、 経営や設計・製造、調達・購買、物流やIT部門に所属する方 |
3 調査方法 | インターネットパネル調査によるアンケートの配布・回収 |
4 調査期間 | 2024年11月1日~2024年11月6日 |
5 回収状況 | 有効回答数 537件 |
SCSKは、製造業への豊富なITソリューション提供の実績と世界各地にある拠点、住友商事グループとしてのグローバルネットワークを活かし、共創ITパートナーとして、お客様のグローバルビジネスの最適化に取り組んでいます。
グローバル展開が必至な時代において、基幹システムの構築・運用保守をはじめ、製造業務の各プロセスをデジタル化し、データを「つなげ」、「流す」ことで業務プロセス全体を可視化。蓄積されたデータを利活用することで、サプライチェーンを強化し、貴社のグローバル競争力の向上を支えます。
本調査レポートをきっかけに、IT領域におけるグローバルビジネス展開に課題をお持ちであれば、是非ともその課題解決に取り組ませてください。SCSKへのお声掛けを、いつでもお待ちしています。