ECM(エンジニアリングチェーンマネジメント)における課題と今後の方針
現在、国内製造業が置かれている環境を見ると、エネルギーコストや原材料の高騰、不安定な世界情勢や急激な為替変動など、リスクは山積みです。厳しい環境の中でも、グローバル競争の対応力を上げていくために、企画や設計、製造、保守保全などの業務プロセスを管理・最適化する手法、ECM(エンジニアリングチェーンマネジメント)領域の改革を、中期経営戦略の一貫として取り組む企業が増えてきました。
また、製品開発のスピードやコスト競争力を上げていくためには、設計・開発、製造、調達、品質管理などの部門間における情報共有は欠かせません。サプライチェーン全体での連携を行うためには、製造現場における課題解決は喫緊のテーマになっています。
そこで、SCSKでは製造現場での課題や取り組み状況を明らかにすべく、設計/製造現場の実態に関するアンケート調査を、2024年10月31日~11月8日に実施しました。
その調査結果を分析し、今後の設計/製造現場やECMに関する運用・保守の課題、取り組みの実態、中長期的なIT投資テーマに関するレポートは以下のボタンからダウンロード可能です。
レポートでわかること
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企業規模(年商)が1000億円以上の企業と、1000億円未満の企業によって、設計/生産現場の課題に傾向が見られる
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経営DX系・企画設計系などの、部門によって課題を阻害する要因について、認識の食い違いが見られる
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国内の製造業がグローバル競争に打ち勝てるかは、このECM(エンジニアリングチェーンマネジメント)領域の投資によって決まる
このような方におすすめ
- ECM(エンジニアリングチェーンマネジメント)領域の改革を考えている方
- 設計・開発、製造、調達、品質管理などの部門間における情報共有に課題のある方
- 企業により抱えている課題に傾向があるか知りたい方
レポート内容 PickUP
企業規模による課題の差
<1000億円以上>の企業と、<1000億円未満>の企業に分けて集計した結果、課題に差が見られた。 ・生産現場でベースとなる管理系の課題は全て<1000億円未満>の企業の方が多い ・<1000億円以上>のグローバル企業では、「デジタル化の遅れ」や「設計・開発効率」の課題が多い これらの課題は、生産・製造拠点数が多い分、解決までには多くの壁があると推測される。国内製造業にとっては、国際競争力をいかに高めるのかが今後の事業成長の要となるため、「デジタル化の遅れ」はどの企業でも必至の課題だ。


国内のみ10拠点以上の企業課題が浮き彫りに
<拠点数>によって課題の傾向があるのか、<国内のみ>(該当者139件、43%)と<国内外>(該当者184件、57%)で分析した。 <国内のみ>の企業は、生産現場でベースとなる管理系の課題が残っており、<国内外>に拠点がある企業はベースの課題は解決しつつ、次の一手にシフトしている。


部署・職種によって異なる課題の温度
経営DX系、企画設計系、生産現場系、情シス系と4つの部門に分けて課題を集計。
・「原価管理」「在庫(製品・部品)管理」など、ベースとなる管理系の課題は、どれも経営DX系の方が多く回答している。
・「設計・開発効率」においては、企画設計系が突出しており、「部門間や社内でのデータ連携」は、平均を超えている。
設計から計画・開発など、他部門へスムーズなデータ連携ができていないのではないかと推測される。
「設計・開発効率」における経営DX系の課題感が低いことから、上流工程における組織の課題感が全社的に伝わっていない可能性も考えられる。
・生産現場系では、「設備の老朽化(IoTを活用できない)」と「作業の標準化」が多く、IoTデータを活用することは、生産効率にも関わるため、現場にとっては重要な課題と考えられる。

課題解決が進まない理由や阻害要因
「現場の取り組み状況を選択してください」という設問に対しの回答から、取り組み状況は道半ばといえる。
課題が進まない一番の理由は「現状を変えたくない人が多い」からとなった。
2位以下の理由では、事業規模に寄り差が見られている。 また、取り組みの進捗に関わらず課題は抱えており、 デジタル化や自動化を進める一方で、標準化や人材育成、コスト管理などの課題に直面していたり、デジタル化の推進、人材の確保、情報管理の改善、コスト管理の強化、経営文化の見直しが急務となっているのが浮き彫りになった。

データ分析やモデリングで生産工程を最適化
【課題を踏まえ、どの領域の改善や社内検討が必要だと思いますか】の設問に対して、全体平均22%を超えた内容は、次の6つだ。
・1位「製造工程分析・最適化」と「データ分析、モデリング」(39%)
・3位「設計情報管理」(34%)
・4位「生産スケジューリング」(27%)
・5位「設備管理」(26%)
・6位「原価シミュレーション」(24%)
1位が2つ並んだことから、データ分析やモデリングによって生産工程を最適化したい、という強い要望が垣間見える。
<1000億円以上>と<1000億円未満>の企業規模で見ていくと、優先したい課題に差が生じ、グローバル企業では基本課題はある程度解決し、最先端のIT技術を使って新しい課題に取り組もうとしている様子が伺える。

レポート掲載内容
本レポートをダウンロードいただくと、全18ページで下記の情報を御覧いただけます。
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年商と製造・生産拠点数の関係
・大手ほど拠点数は多いのか? -
設計/製造現場が抱えている現場課題
・どの企業も抱える共通の課題と企業規模による課題の差や部署・職種によって異なる課題
・現場課題は自部門内で解決できるのか? -
現場課題に対する取り組み状況
・具体的な課題と企業規模による差 -
課題解決が進まない理由や阻害要因
・最大の理由や、企業規模による求められる解決策の違い -
改善領域や社内検討
・データ分析やモデリングで生産工程を最適化の強い要望と、拠点数による取り組み順位の違い
・経営DX系の職種の考える課題
アンケート調査実施概要
1 調査の目的 | 設計/製造現場における課題や取り組み実態を明らかにすることで、 将来のシステム投資を考える企業様の検討の一助となるような示唆を得ること |
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2 調査の対象 | SCSK株式会社のメルマガ会員のうち、国内外に製造拠点を持つ企業の設計や開発部門、 情報システム部門に所属する方 |
3 調査方法 | メールによるアンケートの配布・回収 |
4 調査期間 | 2024年10月31日~2024年11月8日 |
5 回収状況 | 有効回答数 263社 323件 |
SCSKは、製造業における豊富な実績と知的財産をもとに、住友商事グループとしてのグローバルネットワークを活かし、共創ITパートナーとしてお客様と共にサプライチェーン、エンジニアリングチェーンの最適化に取り組んでいます。
また、製品価値の供給マネジメント(SCM)や、製品価値の創造マネジメント(ECM)の各プロセスをデジタル化し、データを「つなげ」、「流す」ことで業務プロセス全体を可視化。蓄積されたデータを利活用することで、貴社のデータドリブン経営を支えます。
本調査レポートをきっかけに、エンジニアリングチェーン(ECM)領域に関する課題をお持ちであれば、是非ともその課題解決に取り組ませてください。SCSKへのお声掛けを、いつでもお待ちしています。