第6回 他のツールとの比較 (3/3)

技術特集

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3)Pandora FMSとの比較
概要

OSSで公開されている監視運用ソフトウェアです。

他のツールと比較すると比較的新しいソフトウェアであるため、GUIのデザインが新しいツールらしいデザインになっています。


オープンソース版とは別にEnterprise版が用意されていて、Enterprise版であれば、イベントの相関を調べたり、自動更新を行ったりなどの機能が用意されているようです。

VMware、RHEV、Oracle、WebLogic、JBoss、WebSphere、EC2などのプラグインや、動的なネットワークマップ、Webシナリオでの監視もEnterprise版のみでの提供になります。


ここでは、オープンソース版のみを比較することとします。


主な機能

  • リソース監視/ログ監視/視覚化/障害通知

監視機能以外にファイル配布などの機能も用意されています。


対応プラットフォーム

  • 監視用サーバ
  • Linux、Windows Serve
  • Windows Serverは5.1からサポート
  • 監視対象
  • Windows、Linux、AIX、HP-UX、Solaris、BSD系、Mac OS、SNMP対応機器

WMIを利用した監視も可能です。


システム要件

  • Perl 5.8
  • MySQL
  • net-snmp

WMIを利用する場合はWMIクライアントバイナリが必要。

サーバ1台に対して監視対象は2000台程度までが推奨されています。

マニュアルには4000台以上の場合の記載がありますが、サーバのスペックとして、メモリ12GB、3GHzのクワッドコアCPU、15000回転以上のHDD、そしてMySQLサーバを別のサーバに配置して十分なチューニングを行うことが必要とされています。


インストール方法

RHEL、Debian、Ubuntu、SLESなどのメジャーなディストリビューションやWindows用に関してはパッケージやインストーラが用意されているので、それを利用して簡単にインストールすることができます。


CentOS 6にインストールしようとしたところ、マニュアルの記載のままではインストールできず、別途EPELから「perl-Encode-Locale-1.03-5.el6.noarch.rpm」というパッケージを取得してインストールしておくことが必要でした。

公開されている日本語マニュアルは、最新の情報に更新されておらず不備がある場合があるようですのでご注意ください。


操作設定方法

監視の設定や情報の参照は、Webブラウザを利用して行うことができます。


日本語対応

Webインターフェースの各種メニューなどは、言語の設定を切り替えることで、ほとんどすべて日本語化することができます。


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ライセンス

  • GPLv2

特徴

より新しいWebアプリケーション的なデザインであるため見栄えがよくなっています。


監視用のプラグインとして、Nagiosのプラグインも利用できるようになっているため、Nagiosで監視できていたものは同様に値を取得して監視対象とすることができるようになっています。


Web APIが用意されているため、Webブラウザを利用したGUIでの操作や設定だけではなく、他のプログラムと連動させるようなことも実現することができると思われます。


Zabbixとの違い

Zabbixと比較すると、監視対象の監視間隔を細かく調整することができなかったり、リソースのグラフを参照するにも柔軟な表示範囲を指定できないため、細かな時間単位での変化や長期間での傾向の把握が難しくなっています。


Pandora FMSは、拡張性を考慮して、複数のサーバでクラスタリングすることもできるよう設計されており、冗長構成を構築しやすくなっているようです。
Zabbixで可用性を高めるためには、旧来のクラスタリングなどの手法を用いたり二重化するなど構成を検討して構築しなければならないため、冗長化された環境を構築するにはそれらの技術を利用して構築するための知識が必要です。


特にZabbixの場合は、監視データを保存するために利用するデータベースへの負荷が高いため、大規模な環境を監視するためには、データベースのチューニングが必要です。
負荷状況によっては、zabbix_server.confで指定する、各役割ごとのプロセス数を調整したり、データベース用サーバとZabbixサーバ、またWebインターフェースを稼働させるWebサーバも別のサーバ上で稼働させる対応も検討することが必要となるでしょう。


Zabbixサーバのチューニングに関しては、標準のテンプレートで用意されている、Zabbixサーバの負荷状況やキューの状態などを確認してチューニングを行うようにしてください。


参考URL