プレスリリース
(2012年)
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2012.07.31(火)
SCSK株式会社

エネルギー管理システムの開発完了、実用化に向けた実証開始
~気象情報をもとに蓄電池を効果的に自動で充放電し、ピークカットを実現~

SCSK株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役社長:中井戸 信英、以下 SCSK)は、社会システムデザイン株式会社(本社:東京都港区、代表取締役社長:宮田 秀明、東京大学名誉教授、以下 社会システムデザイン、および宮田名誉教授)と共同で、気象予報をもとに太陽光発電および大型蓄電池を効果的に活用するエネルギー管理システム(以下 EMS[Energy Management System])を開発し、実用化に向けた実証実験を、東京都多摩市にある当社多摩センターオフィスにおいて、2012年7月から開始することをお知らせします。

1.背景

近年、環境に配慮したエネルギーの有効活用が求められている中、太陽光などを用いた自然エネルギー発電には大きな期待が寄せられています。自然エネルギー発電は、気象環境の影響を受けるため、電力供給が不安定になるという実用面の課題がありましたが、電力の繰り返し充電が可能な大型蓄電池と併用することで、電力供給の安定化を図ることができます。SCSKでは、自然エネルギー電力が安定的に利用される社会を目指して、気象予報をもとに、太陽光発電と大型リチウムイオン蓄電池(以下、蓄電池)を効果的に活用するEMSの研究開発に取り組み、このたび開発を完了しました。

2.概要

EMSの開発にあたっては、宮田名誉教授が開発したシミュレーション技術※1を組み入れ、高品質なソフトウェアを設計する手法※2をもとにSCSKが開発を行いました。実証実験では、このEMSの実用化に向け、導入効果の実証を行います。

EMSは、株式会社ウェザーニューズ(本社:東京都港区、代表取締役社長:草開 千仁)より提供される気象予報をもとに、多摩センターオフィスに設置した太陽光パネルの発電量と、多摩センターオフィス内の消費電力量を予測します。予測データをもとに、多摩センターオフィスに設置した蓄電池に充電可能な太陽光発電量と、太陽光発電の不足分を補うために電力会社より受電して蓄電する電力量を算出し、蓄電池の自動充電を行います。多摩センターオフィスの電力消費がピークとなる時間帯では、蓄電池を自動的に放電して、電力会社から購入する電力を抑制し、エネルギーの効率的な使用を図ります。

SCSKでは、今回の実証実験を通して、太陽光パネルと大型蓄電池、およびEMSを連動させた一連のシステムを開発し、公共施設やオフィスビル、工場などに向けて2012年度中の販売を目指します。また宮田名誉教授とともに取り組んでいる環境未来都市(気仙広域)※3でのプロジェクトをはじめ、東北地区復興に向けた活動において、本システムの技術を用いた貢献を進めていきます。

《実証実験の特長》

  1. (1)

    翌日の太陽光発電量、消費電力量を予測し、蓄電池の充放電計画を作成

    • 翌日の気象予報と過去の気象履歴、および過去のオフィス消費電力量を分析し、翌日以降の太陽光発電量と消費電力量を予測
    • 予測をもとに、大型蓄電池の充放電制御を行う計画を作成
  2. (2)

    充放電計画をもとに蓄電池を自動制御

    • 充放電計画をもとに、蓄電池の自動充電を実行
    • オフィス消費電力がピークとなる時間帯では、蓄電池を自動放電しピークカットを実現(下図参照)
    • 蓄電池の制御状態をリアルタイムで監視
    • 予測と実績の状況に差分がある場合は、30分単位で充放電計画を修正
    実証実験の特長
  3. (3)

    複数メーカー製のリチウムイオン蓄電池の組み合わせに対応

    • 将来の蓄電池増設に対応するために、特定メーカーに依存しない柔軟な電池制御機能を実装
    • 厳密な仕様定義により、電池制御機能の安全性・信頼性を向上

      《実証実験のイメージ》

      実証実験のイメージ

      ※「①翌日の気象予報」、「②気象履歴データ」は株式会社ウェザーニューズ提供

      《導入による期待効果》

      • 電力需要のピークカット、ピークシフトによる契約電力の削減、電力料金の削減
      • CO2排出量の削減
      • 災害などで外部電力が停止した際にも、一定量の電力の自給自足が可能

      《サービスの販売について》

      • 機器導入効果の調査、機器調達・導入、EMS提供まで、価格や安全性を考慮しながら多様なニーズに対応して販売
      • 公共施設(学校、市町村役場、公民館、など)、オフィスビル、マンション、中規模工場などをターゲットとして、2012年度中に販売開始予定
      • 提供開始から3年間で、30億円の規模を想定

      《多摩センターオフィス設置の太陽光パネル》

      (2012年度秋に施設の見学開始を予定)

※1

宮田名誉教授の開発したシミュレーション技術とは

「電力需要と自然エネルギー発電の変動を、蓄電池による電力貯蔵とITによるマネジメントでスマートに繋ぐ」というコンセプトに基づき、宮田名誉教授が研究する蓄電池と自然エネルギー発電機の効果的な設計、運用を行う技術。SCSKは、気象予報を追加した機能部分の設計を実施。

※2

高品質なソフトウェアを設計する手法とは

曖昧さや矛盾を排除し、厳密な仕様の定義・検証をする形式手法と呼ばれるソフトウェア開発手法の1つ「VDM」を活用。ソフトウェア開発の早い段階で高い品質の確保が可能。

※3

環境未来都市(気仙広域)とは

国の新成長戦略に基づき、未来に向けた先進的まちづくりのモデルとして選定された地域・都市の一つ。岩手県気仙広域2市1町(大船渡市、陸前高田市、住田町)において、地産地消型エネルギー社会、超高齢社会に対応したまちづくり、産業振興と社会基盤の進歩などをテーマとする未来都市の実現に向けたプロジェクトが進行中。

以上

本件に関するお問い合わせ先

SCSK株式会社
産業システム事業部 産業システム営業本部 環境・エネルギープロジェクト 加藤/古谷
TEL : 03-6438-3700

【報道関係お問い合わせ先】

SCSK株式会社
広報部 広報課 秦
TEL : 03-5166-1150

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