What is your DREAM??

挑戦し続ける現場社員へのインタビュー

セキュリティという舞台から、
技術者の幸せをかたちに。

世界規模で開催されるセキュリティ競技「CTF(Capture The Flag)」に10年以上挑み続け、2年連続優勝。今や社外のメディアからも引っ張りだこな存在でありながら、SCSKセキュリティの最高技術責任者でもある。セキュリティ分野のトップランナーとしてさらなる飛躍を目指す今、どのような想いを抱き、未来を描いているのか?

亀田 勇歩 

セキュリティ技術への飽くなき探求

セキュリティ技術への飽くなき探求 セキュリティ技術への飽くなき探求

亀田がセキュリティ技術に深く関わるようになったきっかけは、純粋な知的好奇心と技術的な面白さだったという。もともとアプリケーション開発やサーバーやネットワーク構築にも携わってきたが、目の前にあるセキュリティの課題をどう乗り越えるか、ひとつひとつ考え抜いて対策を導き出す。正解がひとつではない中で、限られた情報からリスクを見極め、最適な手を打つ。そのプロセスにこそ、セキュリティ分野ならではの奥深さと、問題を解き明かす楽しさを見出した。

この探求心を具現化したのが、セキュリティの知識や技術を競う競技であるCTF(Capture The Flag)への継続的な挑戦だ。世界で活躍するチームに参加したという経緯はあるものの、2011年から挑戦を続け、2012年と2013年には世界最高峰のラスベガス大会に参加し、最高6位という結果を経験した。

その後も世界各国の大会に出場し、週に3回以上は各地で開催されている勉強会に参加。10年以上の挑戦を経て、ついに2023年と2024年には念願の優勝を達成。

「2015年からは同じ競技に出続け、必ず順位を一つでも上げることを目標にしました。まさに『継続は力なり』ですね。仕事と両立しながらではありましたが、『楽しい』『好きだ』という気持ちが原動力になっていたと思います」。

磨き上げてきた専門性と
社会のニーズが一致

磨き上げてきた専門性と社会のニーズが一致 磨き上げてきた専門性と社会のニーズが一致

亀田が磨いてきたセキュリティ技術の中でも特徴的なのは、“OSINT(Open Source Intelligence)”だ。この技術は、近年需要が高まるASM(Attack Surface Management:攻撃対象領域の管理)、つまり、インターネット上に露出する攻撃面を棚卸し・監視する取り組みにおいて欠かせない技術となっている。

OSINTとは

OSINT(Open Source Intelligence)は一般公開されている情報をもとに調査・分析を行う技術のこと。OSINTの技術を活用し、ウェブサイト、ニュース記事、公開データベース、DNS情報などに散在するさまざまな情報を収集・分析することで、より信頼性の高い情報としてリスクの特定や迅速な意思決定が可能となる。

・外部から見える資産を特定し、脆弱性や誤設定を発見できる
・攻撃者が探す情報を防御側が先回りして把握できる

という特性から、近年注目が高まっている技術のひとつ。

「外部に晒された情報を可視化し管理するニーズが高まる今、ASMは経済産業省も重要視しているサービスです。CTFへの参加の中で磨き上げた“OSINT”という得意分野が、社会から非常に求められるようになりました。会社の競争力、そして社会への貢献という点で、大きな武器になっていることを実感しています」。

趣味から始まった挑戦は、いまASMやOSINTなどの新潮流と結びつき、事業価値に直結し始めている。

夢は、技術者が幸せに働ける
環境をつくること

夢は、技術者が幸せに働ける環境をつくること 夢は、技術者が幸せに働ける環境をつくること

2023年8月に設立されたSCSKセキュリティ株式会社で、亀田はCTO(Chief Technology Officer:最高技術責任者)として幅広い役割を担う。そこには、技術戦略の立案と推進・サービス企画開発などの実務をはじめ、社会への発信、社内の環境整備など、幅広い領域が含まれている。

「『技術者が幸せに働ける環境』をつくるのが昔からの夢。私自身、培ってきた技術力を適切な場所で活かしながら、やりがいを持って仕事をしたい、とずっと思い続けてきました。『ここにいたい』と思える会社で、自分の力が社会の役に立っていることを実感できる、そんな組織を作りたいんです」

CTOとして会社の成長を推進する立場となり、亀田の行動力はさらに加速している。その背景には、現場の現実を理解する人材こそが変革を推進できるという信念がある。

CTOとして、セキュリティ会社のあるべき姿を描く

CTOとして、セキュリティ会社のあるべき姿を描く CTOとして、セキュリティ会社のあるべき姿を描く

CTOとしての亀田は、新たな会社の文化そのものを作っている最中だ。

「CTOという肩書きではありますが、特定の領域に縛られるつもりはありません。どんなに小さなことであっても、『会社のためになることならなんでもやろう』と思っています。新しい会社だからこそ、空気や文化を整えることも重要です。X(旧Twitter)の投稿管理といった広報活動までも、CTO X担当として自ら担当しています(笑)」

技術者がモチベーションを保ち、活躍できる環境づくりの一環として「CTF休暇(※)」の制度化も進めている。

(※)休祝日に開催されるCTFに参加する日を勤務扱いとして認めるSCSKセキュリティ内の制度。

「制度があることで、思い切り学びに取り組める。技術者が喜ぶ仕組みを少しずつ整えていきたい」

と意欲を語る。

SCSKセキュリティは、SCSKの複数のセキュリティ関連組織が融合して発足した会社だ。亀田が考える可能性は、SCSKグループが長年積み上げてきた開発、インフラ、ネットワークなどの知見を基盤とし、セキュリティ専門家が集結することで発揮される。

 「他の会社に移っても同じことはできない。SCSKグループの基盤があるからこそ、セキュリティの力を最大化できる。ここだからこそ実現できる夢があります」

そう語るのは、亀田が技術者にとっての理想の環境と同時に、社会にとって必要とされるセキュリティ会社の理想も描いているからだ。

「技術的に尖っているだけでは足りない。お客様への価値提供においても、倫理観と本質的な課題解決力が必要です。お客様の不安を煽ってサービスの導入を選ばせるような『押し売り』でも、依頼されたことだけに応えるのでもない。セキュリティのプロとして、現状の把握や足りない技術の判断、将来を予測した環境変化まで含めて、より上位の最適解を出す。お客様にとって本当に必要なものを伝えるのが私たちの仕事だと考えています」

亀田はこの融合を、「心の支えになるような技術者集団」として発展させたいと語る。SCSKグループ内で培った経験を活かしながら、シナジーを高める未来を描く。

理想とする環境を自ら切り拓く

理想とする環境を自ら切り拓く 理想とする環境を自ら切り拓く

亀田の行動の根底には、中高生時代の学校が掲げていたスローガン「夢は現実となる」がある。

「自分が技術者としてどうありたいか、迷ったときはいつもそこに立ち返っていたように思います。いつしか、他の場所で理想を探すのではなく、自分の力で会社を変えたいと思うようになっていました」

亀田は今、まさに描いた夢が少しずつ実現の兆しを見せつつある。まさに「夢をかけ上がっている最中」だ。積み上げてきた挑戦とその技術、自ら覚悟を持って切り拓いた道は、多くの技術者に刺激を与え、SCSKセキュリティ内でもCTFチームが組織されるなど、技術者層が広がってきている。

「仲間と理想を語り合い、時には喜びも葛藤も共有しあうことでセキュリティ技術の探求を続けてこられました。今後も仲間と一緒に、技術を通じて会社や社会に貢献できる環境を築いていきたい。私たちが『技術者が幸せに働ける組織』を実現することは、私たちがお客様の真のパートナーとして社会に貢献し続けるための基盤になると思います」。

※このインタビュー記事は2025年11月に作成されたものです

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PROFILE

亀田 勇歩 

亀田 勇歩 

SCSKセキュリティ株式会社
CTO