株式会社いなげや 様

地域のお客さまニーズに応えた、
競争力あるお店づくりの追求
経験と感覚に依存していた店舗運営の“秘訣”の
共通プラットフォーム化を実現

顧客接点の高度化

3つの軸で店舗を見える化し、店舗運営業務を変革する
新しいマーケティング手法を開発。共同利用型で他の小売業にも開放

事例のポイント

お客様(いなげや様)の課題

  • 全店ベースのデータ分析のみでは、地域や店舗ごとの特性が見えない
  • 店舗側にデータ分析の専門家はおらず、加工・分析する時間もない
  • 店舗運営における改善・工夫は各店長の経験と感覚に依存

課題解決の成果

  • お客さまの嗜好や売れ行きなど、店舗ごとの特徴を見える化
  • 優秀な店長の思考がモデル化され、見るべきデータを直感的に把握
  • より良いお店づくりのための打ち手の効果が検証でき、精度が向上

導入ソリューション

スマくま・ショップリーダー

株式会社いなげや
執行役員 情報システム本部 本部長

藤野 敏広

株式会社いなげや
大泉学園店 店長

丸山 実

「店舗ごとに特徴ある売り場づくりを全店が高いレベルで運営していくためには、
データに基づき各店舗を見える化する仕組みが必要だと考えました。」

執行役員 情報システム本部 本部長

藤野 敏広

背景・課題

地域やその店舗のお客さまニーズに応える。そのためにマーケティングの在り方を見直す

 一都三県に約140店舗の食品スーパーマーケットを展開している、いなげや。「ヘルシーリビング&ソーシャルマーケットの実現」という経営目標を掲げ、お客さまの暮らしに根ざすインフラになることを目指し、魅力的な店舗づくりに力を入れている。その1つとして取り組んだのが自社のマーケティングを見直すことだった。

 「これまでは本部側が全店べースのデータを定期的に分析し、各エリアや店舗に共有していましたが、分析結果をどの店舗でも一律に見るだけでよいのか、という思いが以前からありました。“地域に密着する”という会社としての戦略があるなか、お店づくりの基礎部分は標準化するとしても、感覚的に3割程度は地域のお客さまニーズの特性に合わせる部分があって然るべきと考えました。その3割部分をどうすべきかを判断するために、店舗ごとのデータ分析が必要だったのです。」と、同社の執行役員・情報システム本部・本部長の藤野敏広氏は語る。

 分析の対象となるのはPOS(Point of Sales)が中心となるが、POSデータ自体はお客さまがレジで買い物をした際のログ(記録)に過ぎない。個々の店舗運営に活かすには、店舗側での加工・分析作業を要する。一方、店舗オペレーションは複雑化が進み、バックヤードにじっくり籠る時間などない。それでも店舗ごとのデータ分析を進めていくべきとの強い思いがあった。「ドラッグストアでもお弁当を売っているような時代であり、異業種を含め競争は激しくなる一方です。これまでのやり方ではお客さまに選んでいただけないとの危機感がありました。」(藤野氏)

 日々忙しい店舗運営業務のなかで、データ分析も実施するのは簡単なことではないが、課題はそれだけではなかった。

 「店舗側の人員は分析のスペシャリストではありません。データと実際の売り場を紐づけられるかなど、個人のスキルで大きく左右されてしまうのはチェーンストアとしてあってはならないことでした。もう一つは、成果を出している経験豊富な店長の、店舗運営におけるアイポイントや課題解決手法を次世代にどう承継させていくのか、という課題もありました。“背中を見て覚える”ようなこれまでのやり方では一年かけても習得できるとは限りません。しかし、ITを駆使することで、経験に裏打ちされた感覚やノウハウを可視化し、かつ誰でも一定のデータ分析ができるプロセスを作り上げられるとしたら、完璧とはいかなくても全店舗が70点以上は取れるのではないか、まずはそこから模索しようと思ったのが取り組みの背景です。」(藤野氏)

解決策と効果

店舗運営にマーケティングを組み込むという発想から、新たな手法を開発

 藤野氏がまず考えたのは、確立されたマーケティング手法やツールを導入するアプローチはしない、ということだった。「IT部門やベンダーは“導入すること”が目的になりがちですが、店長たちにマーケティング手法を学ばせたかったわけではありません。」つまり、既存サービスにはなかったマーケティングの仕組みを一からつくり上げるというチャレンジングな試みを考えていた。この取り組みのパートナーとなったのがSCSKだ。SCSKを選んだ理由を藤野氏はこう語る。「取引が長く、当社の情報システムを熟知していることは一因になりますが、何よりもSCSKが私と同じ思いで、新しい仕組みを一からつくる提案をしてくれたことが決定要素となりました」。

 そうしてSCSKと共同で開発したのが「スマくま・ショップリーダー」だ。店舗向けの分析支援をクラウドサービスで提供する。最大の特徴は、日々の店舗運営のなかでも現実的に実行可能で、かつ最も効果が期待できる分析内容とすることを念頭に、分析軸を「売り場」「商品」「顧客」の3つに絞りきったことだ。そこに至るまでにかなりの検討を要したが、3軸それぞれをどういう形で可視化すればデータを直感的に把握できるかも徹底的に追求。「結局は使われなければ意味がありません。優秀な店長にテストしてもらい“これなら忙しいなかでも使う価値がある”と言われるまで妥協せず改善を繰り返しました。」(藤野氏)

現場の店長から見た、店舗運営の変化

 自分の店舗の特徴が掴めるようになったことは非常に大きいと感じています。たとえば、催事で一緒に売れやすいものを隣に置く際には、経験や定説でその商品を決めていたのですが、併買分析をすると、当店では違う商品がより売れていたことに気づきました。個店ごとのデータを、見るべき軸でパッと見て確認できるので、自分の店舗で取り組んでいることの効果がきちんと検証できます。

 また、各売り場担当と日々の売行きやお客さまの動きについて感覚でしか会話できなかったのが、データで、かつ視覚的に分かることで、的確なコミュニケーションができ、より良いお店づくりにつながっています。

大泉学園店と店長の丸山 実氏

今後の展望

いなげや発のマーケティングの仕組みを他社に開放。
広く小売業の価値を高めるプラットフォームへの進化を期待

同社は、スマくまショップリーダーを全店舗に向けて展開を進めていく。

 「一斉に明日から使ってくださいと一方的にお願いしても、定着せずに使ってもらえなくなります。まずは一部の店舗で先行して使ってもらい、成功体験を積み上げながら、“こんな使い方も有効だ”という機能も拡充しつつ、導入店舗を増やそうと考えています。」(藤野氏)

 使う店舗が増えるほど、効果的な活用方法が蓄積され、より良いお店づくりのための共通プラットフォームとして進化していく。全店舗が当たり前に使っている頃には、同社の売り上げにも大きく貢献していることだろう。

 実は、このスマくま・ショップリーダーは、いなげや内に限定して使うものではなく、SCSKが外販も進めようとしている。

 「同業の競合他社や異業種の企業にもスマくま・ショップリーダーをどんどん使ってもらって構わないと思っています。小売業が知りたいのは、お客さまの購買活動そのもの。お客さまを正確に捉えることで、より効果的な施策を立てることができますが、各社が差別化を図るのはデータから知り得たものをどう活かすかという部分。お客さまが1つの小売企業で購買活動を完結することはほぼないはずです。自社で囲い込みたい気持ちはありますが、それでは購買データは限定され、お客さまを本当に理解することにはならない。ですからプラットフォームは解放すべきだと思ったのです。」(藤野氏)

 スマくま・ショップリーダーには、すでにいなげやの知見が反映されているが、今後は他社の知見も追加されていくことになるだろう。それによって、小売業におけるお店づくりの在り方を広く進化させる可能性を秘めている。

SCSK担当者からの声

いなげや様からは、自社課題に留まらず、他の小売業の課題解決にも貢献する“新サービスの共創”という有難い機会を頂きました。サービスを開発する側の技術中心の論理を極力排除し、現場の店長の方々とも妥協なく議論を重ねた結果、「これは使える」と言って頂けるサービスを生み出すことができました。

本サービスをご利用されている店舗で業務のやり方が良い方向へ変化していくことを目の当たりにし、いなげや様のみならず他の小売業様にも、一人でも多くこのプラットフォームの価値を感じて頂きたいと思っております。

流通・メディアシステム事業部門
事業推進グループ 事業戦略部 副部長

菅野 有機


お客様プロフィール

いなげや

株式会社いなげや

所在地:東京都立川市栄町六丁目1番地の1
U R L: http://www.inageya.co.jp/

一都三県にスーパーマーケットとドラッグストアを展開。1900年の創業当時から「顧客第一主義」の姿勢を貫き、そのDNAは現在にも活かされている。「ヘルシーリビング&ソーシャルマーケットの実現」という経営目標を掲げており、地域のお役立ち業としてお客さまの健康で豊かな食生活の実現を目指している。

2018年12月