セミナーレポート

VMware共催セミナー
ちょっと待って、そのクラウド活用方法で大丈夫?
〜基幹系システムから情報系システムまで最適クラウド活用方法教えます。〜

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企業のクラウド利用の割合が毎年増加している。平成27年には、全体の4割を超える企業でクラウドを活用する状況となった。しかし、クラウドサービス提供会社によってさまざまなサービスが存在し、複雑極まりない。自社ではどのようなシステムや環境がクラウドに適しているのか、どのようなクラウドサービスを利用すればメリットが出るのか――。さらに、移行リスクの問題やクラウド利用後の運用・管理など、多くのユーザが不安や課題を抱えている。
本セミナーでは、ヴイエムウェア社からのVMwareの最新アップデート情報を皮切りに、クラウド検討時、移行時、クラウド導入後の運用の各ステップに置ける考慮点や勘所について紹介した。

[図] クラウド運用の各ステップ

クラウド検討時
クラウド利用メリットとは

コストダウンのポイントはズバリ!
「従量課金」「ソフトウェアライセンス」「バックアップ」

白川正人氏

クラウド利用のメリットについてのレクチャーを担当するのは白川正人氏(SCSK株式会社ITマネジメント事業部門)で、まずクラウドサービスの利用動向と現況を語り、昨年になってクラウド受注がインフラ案件の過半数を超えたと報告した。また、「クラウドサービスの導入については、『初期コストが安価』という点に関心が寄せられている」と解説。「クラウドは使った分だけ課金される。基幹に近いシステムについては通常稼働とピークの差が大きいので、従量制のクラウドに適している」と続ける。たとえば平日の日中12時間だけ動かす場合では、稼働率は約36%であり、経費を64%節減できる計算になる。

冗長構成は、DR側のソフトウエアライセンス購入が不要なクラウドを選ぶことがコストダウンのポイントとなる。加えて、テープストレージはバックアップに時間がかかり、テープの入れ替えなどの作業も欠かせない。バックアップ作業から解放されることで、IT部門の工数削減が実現すると白川氏は説明する。

コストダウンの3つのポイントの実効性を高めるために
重要なことは、キャパシティ管理

しかし白川氏は、「クラウド型運用を考慮したうえでのキャパシティ管理が行われていないことも多く、現状調査をきちんと実施することが必要」という。さらに、ハードウエア周りのアウトソーシングにより、IT部門の工数は大きく減り、人件費の削減につながる。そこで創出できた時間を何に生かすのかが問題であり、労力をサービスなどに振り向けられれば、新たなビジネス展開につながっていくと力説した。

[図] コストダウンのポイント

クラウドはセキュリティが不安
その心配は本当に正しいのか?

セキュリティもクラウド利用によってコストを圧縮できる。白川氏によると、「たとえばAWSは世界でも最高の設備であり、最高の人員をそろえている。クラウドプロバイダーはセキュリティも最高の技術水準で対応できるので、アウトソーシングのほうが安全であるはず」と解説する。セキュリティについては、仮に1億円の現金を持っていた場合、銀行に預けるか、自宅のタンスに仕舞うかという問題に似ているという。銀行のほうが安全なのは当たり前で、その理屈は、データをどこに置くかという意味で、クラウドも同様と強調した。

クラウド移行時
仮想環境からクラウド環境への安全な移行手法とは

代表的なクラウド移行方法

小林氏

基幹システムを停止することなく移行することへのニーズが増えている。従来型のアプリケーションをクラウド環境に持ち込んで利用型にシフトする、クラウドイネーブルドな利用形態が一般的になった。SCSKのクラウドサービスUSiZEのサービスマネージャである小林氏は、「仮想環境への移行は実に多くの手法があり、的確な手法を見極めることがポイント」と解説し、5つの代表的な移行手法を挙げた。大きく分類すれば、移行手法はネットワークに接続する方法とローカル変換を行ってHDDで搬送する物理的な手法があり、さらに動的に移行するか、システムを停止して実施する方法に分けられる。

①OVFエクスポート/インポート: OVF変換をして取り込みを行う。特別なツールは不要だが、システムの停止が必要。
②ホットマイグレーション:移行対象のサーバを電源ONのままで、仮想マシンデータの抽出ができる。変換負荷が大きく高速ネットワークが必要。
③コールドマイグレーション(CD Boot):移行対象のサーバをブートし、仮想マシン形式に変換しコピーする。停止が必要だが、エージェントレスに適している。
④コールドマイグレーションV2V:移行元・移行先共にVMwareが前提。システムの停止は必要だが移行時間が短い。
⑤Arcserve UPD方式・FalconStore CDP方式:エージェントレスでも同期を取り続けることができ、切り替え時のダウンタイムも短い。

移行リスクの洗い出しにはアセスメントが有効

小林氏は、「特にネットワークか、HDDによる物理搬送かを考慮することが必要。ローカル変換による搬送の場合は、HDDを動かすので、経験上5%ほどの事故率があるように感じる」と語り、WAN経由での移行が増加していることに言及した。システム間連携も重要で、「協調して動く頻度の高い複数のサーバは同じタイミングで移行したい」と語る。
続いて、「現状調査から移行手法、スケジュール立案まで一切をカバーするアセスメント手法のテンプレートを用意。移行リスクの洗い出を行ってリスク軽減の提案を実施している」など、SCSKの設計構築移行フェーズを解説した。このようなアセスメントにより、現状のオンプレミスのオーバースペック分も明らかになる。最後に挙げた導入事例によると、アセスメント手法を用いて移行を行った企業では、IT部門の大幅な工数削減を達成。管理対象マシンは200サーバから120サーバまで減らすなど、運用コスト1億円(1年間)の削減を実現した。

[図] アセスメントのご紹介

クラウド導入後
クラウド利用における運用及び管理方法とは

オンプレミスとクラウド
運用管理の違いを明らかにする

浅見氏

浅見氏は、SCSK株式会社でITサービスマネジメントや運用管理を担当する。「運用管理は、定期稼動確認や依頼作業、サーバがダウンした際の復旧などの作業だけではなく、それら作業やITサービスをマネジメントプロセスで管理することが重要。さらに、マネジメントプロセスによって可視化して課題を見つけ、継続的に改善すること」と浅見氏。次に、IT部門をクラウド利用者とサービス提供者の立場に分け、それぞれの管理のポイントが紹介された。

クラウドサービス利用者としての運用管理

インシデント管理:クラウドでは復旧を提供者側が行うが、IT部門はサービスの利用者へのアナウンスやユーザが業務を再開できるようITサービスの復旧を行う必要があり、クラウド提供者の情報開示方法を把握し、インシデント管理と連携させる。
キャパシティ管理:必要なキャパシティを計画的に調達し、オーバーフローを抑止する。クラウドではきめ細かなリソース調達を行い、従量課金によるコストメリットを生かす。モニタリング強化による急激な変化への対応を行い、ライセンス対策、システム改修や手順を整備し迅速性を生かす。
サプライヤ管理:クラウドのレポートや可視化ポータル、自らのインシデント記録などで、品質を定量的に把握しておき、仕様通りかどうかを評価する。ユーザのSLAに、クラウドがどう影響しているかを把握するための仕組み作りを行う。

ユーザ部門の満足度を上げるためには、
サービス提供者としてマネジメントが重要

次に浅見氏は、「クラウドにより削減された作業工数を、ユーザへのサービス管理を高めることにつなげる。その際、注目したいのが『サービスレベル管理』と『事業関係管理』だ」と説明する。
前者は、IT部門と事業部門(営業・製造・管理部門などユーザ部門)が、サービスレベルの調整と合意を行い、共通認識を持つことだ。SLAを守るためにも、互いに意見をすり合わせて作っていくことが重要と指摘した。
後者はユーザ部門の要求やビジネス環境の変化に対応するため、組織間の良好な関係の構築を作ることだ。定期的な会議を設けるなど、ユーザ部門とのコミュニケーションを高めてITサービスの定住的な確認を行う。
浅見氏は、「新規ビジネスを起こすために新たなITサービスの必要性など、ニーズを知る努力が必要。互いのビジネス環境の理解を深め、IT部門がユーザ部門の期待に応えていくような関係を築ける」と推奨する。IT部門はシステムを作って維持するだけではなく、プロバイダーとしての意識を持つことが必要と力説し、浅見氏は講演を結んだ。

[図] サービス提供者としてのマネジメント