今あるIoTデータではじめられる!ビジネスの可能性を広げるデータ分析・活用法とは?

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「IoTを導入したいけれど、どこからはじめれば良いのかわからない」と悩んでいる企業も多いのではないでしょうか?IoTというと、製造現場などでセンサーが収集した詳細かつ大量のデータを活用するイメージが強くあります。そのため、「自社にはそんなデータはないから難しい」と諦めてしまうケースも少なくないようです。
しかし、詳細なデータがなくても、今、取れているデータを分析することで見えてくるものがあります。そこで注目されているのが、データ解析プラットフォーム「Splunk」です。
データのフォーマットの違いを意識せず、あらゆるITシステムが生成するデータを簡単かつスピーディに収集・検索・分析・可視化できることから、セキュリティ機器のログ分析やIoTログの分析にも活用されています。今回は、この「Splunk」のIoT ハッカソンで優勝したSCSKのチームリーダーに、開発ソリューションの内容や、さまざまな業界に適用できるIoTデータの活用法を聞きました。

※「Splunk」とは:https://www.scsk.jp/product/common/splunk/(紹介ページ)


SCSK株式会社
プラットフォームソリューション事業部門
ITエンジニアリング事業本部
ミドルウェア第二部 第三課
織田 直樹

2018「Splunk」ハッカソン
優勝記念のトレーナー・胸のエンブレム

限られたデータの分析から成果を出す、「Splunk」のIoT ハッカソンでSCSKチームが優勝

2018年11月、アジアパシフィックの「Splunk」技術者を集めたイベント「Splunk APAC Partner Technical Symposium」が開催され、IoT ハッカソンが行われました。テーマは、電動アシスト付きレンタサイクルの利用状況データを活用し、なんらかの成果を出すこと。海外チームを含む10チーム以上が参加し、SCSKチームは見事、優勝しました。

「今回のハッカソンでは、用意されたデータをもとに、数日間でなんらかの成果を出すことが目標でした。アメリカの都市で実際にサービスを展開している電動アシスト付きレンタサイクルの実データが提供されましたが、ユーザーが自転車をレンタルしたステーションの場所と時間、返却した場所と時間程度。GPSなどの詳細なデータはありませんでした」(織田)。

主催者側からは、レンタル場所の最適化やキャパシティプランニングなどの例が示されましたが、SCSKチームは「そのまま作るのでは意味がない」と違ったアプローチを取りました。
そして完成したのが、(1)故障箇所の予測(2)1年後の故障予測(3)機械学習を利用した天気との相関関係の3つで、数少ないデータからでも一定の成果を導くことに成功したのです。

利用状況のデータから、故障時期の近いパーツや故障予測を出すことに成功

今回のプロジェクトでは、レンタサイクルのバッテリー・タイヤ・ブレーキに絞り、故障箇所や交換時期の予測を実現しました。

「参考にしたのは、自転車やタイヤメーカーが公開している一般的な故障までの走行距離データです。ハッカソンで提供されたデータは利用開始と終了時間のみで、厳密な走行距離はありませんでした。私たちチームでは、信号などで止まることを考慮し、走行時間を利用時間の8割に設定。想定される走行距離を算出しました」(織田)。

メーカーが公開している故障までの走行距離と、レンタサイクルの走行距離の相関関係を導き出すことで、自転車1台ずつに付いているパーツの交換時期の予測が可能になりました。その結果から、交換時期が近いパーツを赤く表示させるダッシュボードを作成。また、ユーザーが置いていった自転車の場所をMap上に表示させ、レンタル業者の自転車回収業務を支援する管理画面も作成しました。

●故障箇所の予測と自転車の現在地Map

※画像引用元-Wikipedia(https://sv.wikipedia.org/wiki/Fil:Bicycle-Silhouette.svg)


「故障予測とは別に、たとえば利用者から故障の連絡があった場合などは、直接故障中のステータスに変更することもできます。こうしたデータを積み重ね、設定値を調整すれば予測の精度も向上するでしょう」(織田)。

さらに、1年分の走行距離データから1日の平均走行距離を算出し、1年後の故障状況予測も実現しました。

●1年後の故障予測


「私たちは、『Splunk』に標準で搭載されているPredict関数を利用し、この画面には1年後までの摩耗状況予測を表示させました。どの時点で、どのパーツが閾値を下回るかをグラフ化することで、パーツの修理・交換計画立案などに役立ちます」(織田)。

機械学習による分析も「Splunk」のみで完結、トライアンドエラーも容易

最後に、外部で公開されている天候のデータをAPI連携で取得し、1日あたりの貸出台数との相関関係を機械学習で分析しました。天候と利用状況に相関関係があるのでは?という仮説から分析を開始しましたが、ユーザーの多くはビジネスライダーが多いからか、最初は天候との相関はあまり見られませんでした。そこで、曜日を週末に限定したところ、天候との相関関係を確認することができました。

●機械学習を利用した天気との相関分析


「最初は相関関係がないという結果であっても、『Splunk』は画面上で簡単に試行錯誤を繰り返すことができるため、そのデータに相関関係はあるのか?その数値は正しいかのか?など、価値ある情報を導き出すことができます。これは大きなメリットです」(織田)。

似たような分析を、通常のBI製品に機械学習を取り入れて行う方法もあります。しかし、別途AIツールの導入が必要な上に、機械学習のためにさまざまなデータを収集・加工する必要な作業が発生します。一方、「Splunk」は機械学習の機能を備えており、収集した複数データをそのまま機械学習で分析することが可能。容易に高度な分析を実現します。

「一般的に、『Splunk』は運用担当者が使うものと思われていますが、ハッカソン終了後、私たちはエンドユーザー向けの新サービスも企画しました。たとえば、自転車のGPSデータなどと組み合わせれば、ユーザーの現在地にあわせてお薦めのショップ情報などユーザーのスマートフォンにプッシュ通知することも可能です」(織田)。

売上増加、顧客満足度向上などさまざまな分野・業界での活用が広がる

IoTの導入、活用にあたり、さまざまなデータが大量に揃っていれば理想的です。しかし現実は、「機器の稼働開始時と終了時のセンサーデータしかない」「温度のデータしか取っていない」といったことが多いでしょう。しかし、今回のハッカソンを通して、限られたデータからでもある程度の成果が得られることがわかりました。
また、IoTの活用は製造業だけでなく、小売や飲食業など、さまざまな業界へも広がっています。たとえばPOSレジの情報と在庫情報、さらには入店情報や天候のデータを組み合わせ、「Splunk」の機械学習で分析することも可能です。
スーパーの経験豊富なベテラン社員ならば、店内の混雑状況や売れ具合、天気などを見て、商品の陳列や補充などを自ら判断、対応できますが、新人にはできません。

「こうしたベテラン社員の経験やノウハウも、『Splunk』であれば数値化できます。こういう状態になると異常が起きる、在庫が不足するといった判断を下している現場の経験や勘を数値化し、ダッシュボードにどう対応すべきかを示すことができます。それにより、新人がノウハウを学べ、ベテラン同様の適切な判断と対応が可能になります」(織田)。

IoTというと品質改善や故障予知といった分野での活用が多く見られます。しかし、売上増加や顧客満足度向上にも大きな効果を期待できます。そして、こういった分析をすべて1ヵ所で実現でき、コストを抑えて短期間でできることが「Splunk」の大きな強みです。もちろん、データ分析においても、後からデータを追加したり、新たなデータとの相関関係を分析したりといったことも簡単。まずは、今、手元にあるデータからでもIoTデータの活用を「Splunk」ではじめてみませんか。


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