プレスリリース
(2014年)
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2014.07.01(火)
SCSK株式会社

日本自動車研究所向けに
PCクラスタシステムとWindowsワークステーションを連携させた
大規模高速最適化システムを構築

SCSK株式会社(本社:東京都江東区、代表取締役会長兼CEO:中井戸 信英、以下SCSK)は、一般財団法人日本自動車研究所(所在地:茨城県つくば市、代表理事 研究所長 永井 正夫、以下JARI)向けに、シミュレーションにおける大規模な計算モデルを高速に最適化※1できるシステムを構築し、2014年7月から本格稼働を開始することをお知らせします。

構築したシステムは、SCSKが2014年3月にJARIへ提供したシミュレーション用PCクラスタ「科学技術計算用システム」新規ウィンドウに、Windowsワークステーションと汎用最適化ソフトウェア「HyperStudy(ハイパースタディー)※2」を、SCSK独自のノウハウを用いて連携させることで、大規模計算モデルへの自動最適化と高速化を実現しました。

JARIが本システムを活用することで、大規模モデルを用いた自動車衝突シミュレーションの能力向上が期待されます。

  • ※1 最適化 : 目標の計算結果となるまで、条件を変えた計算とその前後処理を繰り返し行う作業。
  • ※2 HyperStudy : アルテアエンジニアリング株式会社から提供される、複合領域設計性能スタディ・最適化ソフトウェア。
    http://www.altairhyperworks.jp/新規ウィンドウ
1.背景

JARIは中立的かつ公益的な立場から、世界をリードする先進的な研究に挑み、自動車安全技術の革新を通じて日本の産業界へ大きく貢献することを使命とする研究機関です。研究グループのひとつである衝突安全グループでは、国内外の研究機関との連携により得られた人体の衝撃耐性に関連するデータを元に、人体を模擬したコンピュータモデルを開発し、乗員および歩行者の傷害メカニズムの解明、傷害指標の開発と評価などに取り組んでいます。

近年の科学技術計算は、PCクラスタを用いた高速計算が一般的となり、解析結果を早く手軽に得られる環境となっています。その一方で解析関連業務(以下、プリポスト※3作業)は、人間による手作業が多いため、高速化や工数低減を図りづらい工程であり、業務の効率化が進んでいない実情があります。プリポスト作業のひとつである最適化は、ポスト処理、パラメータの推定と設定、ジョブ実行など、一連の工程を目標値に近づくまで作業者が繰り返し実行します。最適化を自動化したシステムはいくつか存在しますが、ソルバー(計算ソフトウェア)や実行環境に制限があるのが一般的です。

自動車衝突に関連するCAE※4を、多種ソルバーを用いて少人数で行っているJARIでは、スタッフそれぞれがより効率的にシミュレーションを行うために、汎用的かつ高効率のCAEシステム導入を検討していました。このようなニーズに対し、SCSKはソルバーや実行環境に依存することなく、大規模で高速に自動最適化を実現できるシステムを構築しました。

  • ※3 プリポスト : 科学技術計算を実行する際、モデルや計算条件を設定する前処理(プリ)と、計算後のデータをダウンロードし、結果を解析する後処理(ポスト)のこと。
  • ※4 CAE (Computer Aided Engineering) : コンピュータを活用した、工業製品の設計、試作、評価、製造工程の検討や検証手法。またはその考え方。
2.構築したシステムについて

このたび構築した大規模高速最適化システムは、「HyperStudy」によるプリポストと最適化の実行管理をワークステーション上で行い、PCクラスタ側で大規模高速計算を実行します。これらを連携させることによって、最適化の一連工程を自動化しています。その結果、最適化を高速化するだけでなく、これまでは実行が困難であった大規模計算モデルの自動最適化も実現しています。また「HyperStudy」はソルバーに依存しないため汎用性があり、多種ソルバーを活用される環境においても効率的に最適化を行えます。

本システムの導入によって、大規模CAEにおける作業プロセスの高速化、高効率化を実現すると共に、計算コストの削減が可能です。また、一般的な設備機器を活用し、特別な設備投資を必要としないため、企業規模を問わず導入しやすいシステムである点も特長の一つです。

3.今後の展開

SCSKはHPCの分野で20年にわたる豊富な実績と、強力なサポート体制を有します。「ベンダーにとらわれない幅広い製品ラインナップ」と「大規模高速計算のためのノウハウ」の提供を通じて、製造業の皆様が「より良い製品を、より早く製品化」するためのお手伝いをしてまいります。

本件に関するお問い合わせ先

【製品・サービスに関するお問い合わせ先】
SCSK株式会社 プラットフォーム事業部門
ITエンジニアリング事業本部 エンタープライズ第一部 清水、五味
TEL:03-5859-3011
E-mail: hpcteam-staff@ml.scsk.jp

【報道関係お問い合わせ先】
SCSK株式会社
広報部 牧野
TEL:03-5166-1150

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