佐鳥電機株式会社 様

半導体サプライチェーンを支えるEDI基盤をクラウドに移行
EDIの「2024年問題」への対応とグローバル化を一挙に実現

働き方改革・生産性向上

SCSKの導入支援でEDI基盤のクラウド化を短期間で実現
導入により運用負担が軽減し、年間240時間の業務負担削減を見込む

事例のポイント

お客様の課題

  • DX推進のため、IT組織業務を開発・運用から企画・構想へシフトさせる必要があった
  • 「EDI2024年問題」対応に向け、自社構築EDIシステムの大規模改修が必須であった
  • 海外取引先との取引拡大のため、EDIシステムのグローバル対応が必要とされた

課題解決の成果

  • EDIシステムの開発・運用業務を委託することで年間約240時間の業務負荷を削減、より戦略性の高い業務に人材をシフトできた
  • 金融機関との送受信を含む「EDI 2024年問題」への対応を短期間で実現した
  • 自社構築EDIシステムでは対応できていなかった、国際EDI標準「ANSI X12」「EDIFACT」に対応できた

導入ソリューション

  • クラウド型EDIシステム連携基盤サービス「スマクラ」

佐鳥電機株式会社
コーポレート本部 経営システム部 部長

杉山 孝男

佐鳥電機株式会社
コーポレート本部 経営システム部 主任

大上 正博

「今回のスマクラ2.0導入プロジェクトを通じて、SIerとしてのSCSKの提案力や技術力、
サポート品質が非常に高いレベルにあることが確認できました」

佐鳥電機 コーポレート本部 経営システム部 部長

杉山 孝男

背景・課題

「SATORI DX」構想実現の第一歩として
「スマクラ2.0」を採用

 佐鳥電機は1947年の設立以来、商社、製造、設計・開発機能を組み合わせ、お客様のビジネスをトータルコーディネートしてきた企業だ。海外拠点のネットワークは中国・香港、台湾、韓国、東南アジア、ドイツ、北米などに広がり、半導体、電子部品をはじめ、PC・制御製品などの電子機器の仕入れ・販売を中核の事業とする。加えて、組み込みソフトウエアの開発、各種システムの設計・試作に至るまで幅広いソリューションを手がけ、オリジナル製品の開発にも力を注いでいる。

 そうした同社では、2021年からの3カ年計画(中期経営計画2023)のもと、持続的な成長に向けて事業ポートフォリオの最適化やグローバルネットワークの拡大などを図ってきた。それと併せて推進してきたのが「(ITによる)営業支援の強化」「社内システムのクラウドシフト」「IT組織の変革」の3つを基本方針とする「SATORI DX」だ。SCSKのEDIサービス「スマクラ2.0」は、その戦略遂行の第一歩として採用された。

 「当社では従来、EDIシステムのようなミッションクリティカルな基幹システムはすべてオンプレミスで運用管理してきました。しかし、2021年からその方針を一変させ、すべての基幹システムについて可能な限り、クラウドシフト推進を決定しました。それによりIT組織におけるインフラ運用管理の負荷を減らし、営業力アップのためのシステム企画・構想など、より戦略性の高い業務に人的リソースを集中的に振り向けることにしたわけです。この戦略がスマクラの採用につながりました」と、佐鳥電機 コーポレート本部 経営システム部 部長の杉山 孝男氏は振り返る。

 杉山氏の話からもわかるとおり、スマクラ2.0を採用する以前、佐鳥電機ではオンプレミスでEDIシステムを運用していた。そのシステムは、2024年1月に終了するISDN回線サービスINSネット『ディジタル通信モード』を使用する古いタイプの仕組みであり、いわゆる「EDI 2024年問題」を抱えていた。その問題の解決が急務であり、「それがEDIシステムをスマクラ2.0で刷新する目的でした」と、佐鳥電機 コーポレート本部 経営システム部 主任の大上 正博氏は説明する。

 加えて同社には「グローバルネットワークの拡大」という経営戦略に沿い、海外との取引拡大に向け、EDIシステムのグローバル化を図るという狙いもあった。

 「グローバルサプライチェーンの中では、EDIを通じた取引が標準であり、国際EDI標準である「ANSI X12」や「EDIFACT」を求めてきます。そうしたニーズに対応することも、EDIシステムを刷新する目的として設定しました」(杉山氏)

解決策と効果

機能、サポート、将来性でスマクラ2.0採用を決定
年240時間程度の業務負担削減を見込む

 こうした目的とクラウドシフトのIT戦略に則り、同社では市場にある数々のクラウド型のEDIサービスを比較検討すべく土俵に乗せた。

 同社では、海外の取引先とのEDI接続を実現するうえで必須となる国際標準の「ANSI X12」「EDIFACT」の接続実績をはじめ、「ebXML3.0方式」や、NTTデータのサービス「AnserDATAPORT」への接続、さらには各種フォーマット変換機能への対応に加えて、サービス全体のコストパフォーマンス、導入後のサポート品質、提案力など、さまざまな項目について各社のEDIサービスを評価した。その評価において総合的に最も優れていたのがスマクラ2.0だったと大上氏は明かす。

 2023年5月にリリースしたスマクラ 2.0は、300社以上の導入実績で培った知見をもとに、企業間取引における通信手順やEDI処理機能を強化するとともに、最新のインフラ基盤による処理性能の向上により信頼性・可用性を強化した。また、業界固有の商慣習に対応した「スマクラ Web-EDI(バーティカルSaaS/業界特化型)」や、SAPなどのERPとの接続をローコスト・短期間で実現するAPI機能「スマクラ Web API」も提供している。

 「スマクラ2.0はすべての機能要件を満たしていたうえに、コストパフォーマンスに優れ、かつ、提案時の私たちの質問や要望に対するSCSKの対応は迅速、かつ的確で明快でした。総合力でスマクラ2.0に匹敵するサービスはありませんでした」(大上氏)

 スマクラ2.0の採用を決めた佐鳥電機ではまず、要件定義後の2022年8月にスタートを切り、4カ月間で環境構築を完了させ、自社構築のEDIシステムをスマクラに切り替えた。

 その経緯について大上氏は「当社では今後、販売管理などの基幹業務に使用しているERPについても刷新(クラウド化)し、スマクラ2.0と連携させていきます。その時、マッピング変換やフォーマット変換といったEDI関連のすべての機能をスマクラ2.0に移行させる予定ですが、それに先立つかたちで、通信基盤のスマクラへの切り替えを進めました」と説明する。同年12月末には、すべての接続先(銀行、得意先、仕入先)とスマクラ2.0を介したEDI接続が可能な状態としたのだ。

 「スマクラ2.0を通じた接続先は30社ほどに上ります。それらすべてとの接続を約3カ月という短期間で終えてしまうSCSKのSIerとしてのプロジェクト推進能力の高さには驚かされました。しかも、新型コロナウイルス感染症の影響から、切り替えのプロジェクトはほぼリモートで打ち合わせが行われたのですが、当社とSCSKの担当者との意思疎通にまったく問題は起きず、接続作業のすべてが滞りなく進行し、手戻りも一切ありませんでした。SCSKのサービスを選んで正解だったと感じています」(大上氏)前述したとおり、佐鳥電機では今後、EDI関連の機能をすべてスマクラ2.0に移行させる。これによって、EDI運用の業務負担が劇的に下がると、大上氏は期待する。

 「現行のシステムでは、EDIの日々の運用に1時間程度をかけています。今後、EDI関連のすべての機能をスマクラ2.0に移行させることでその時間はさらに短縮し、月当たり20時間程度、年換算で240時間以上の業務負担の削減効果を見込んでいます」(大上氏)

図:佐鳥電機におけるスマクラ2.0の活用イメージ(2023年5月取材時点)
図:佐鳥電機におけるスマクラ2.0の活用イメージ(2023年5月取材時点)
※基幹システムの刷新後、「マッピング変換」「フォーマット変換」「振り分け処理」「集配信」などの機能もすべてスマクラに移行させる予定

今後の展望

佐鳥電機のさまざまなITプロジェクトに
システムインテグレーターのSCSKの参画に期待

 スマクラ2.0導入による業務負担の削減は、前述した佐鳥電機のIT戦略の一つ「IT組織の変革」を前進させるうえでも有効だと杉山氏は評価する。そのうえで、SCSKに対する今後の期待について次のように語る。

 「今回のスマクラ2.0のプロジェクトを通じて、システムインテグレーターとしてのSCSKの提案力や技術力、サポート品質が非常に高いレベルにあることが確認できました。今後はEDIに限らず、ERPの刷新など、当社のさまざまなITプロジェクトでSCSKの協力を仰ぎたいと考えています。また、EDIに関しても、製造のグローバルサプライチェーン上に存在する多様なEDIを相互につなぐ、より汎用的で、標準的なプラットフォームを作り上げてくれることをSCSKには望んでいますし、SCSKならばそれが可能だと期待しています」(杉山氏)

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SCSK担当者からの声

佐鳥電機様には、社内取り纏めや取引先様との調整などプロジェクト推進に多大なご尽力いただきました。
お陰様で、コロナ禍のプロジェクトでしたが、リモートを中心にコミュニケーションを密に取ることが出来き、成功を収めることができました。
また、当社としても通信の種類(ebXML3.0やAS2など)、特性に合わせ、柔軟に切替設計・運用設計が出来たかと思います。
運用フェーズにおいても佐鳥電機様のビジネス発展に寄与できるよう支援してまいります。
また、更なる満足を頂けるようなサービスの拡充を図ってまいります。

産業事業グループ 産業ソリューション事業本部
産業ソリューション第四部 第三課

髙橋 渉


お客様プロフィール

佐鳥電機株式会社

所在地:東京都港区芝一丁目14番10号
設立:1947年7月
U R L:
https://www.satori.co.jp/

電子部品・電子機器などの販売を手がけ、製造業ビジネスをトータルコーディネートする佐鳥電機株式会社(以下、佐鳥電機)。同社は半導体・電子部品・電子機器および設備関連機器の取り扱いをはじめとして、各種機器向けの組み込みソフトウエアの開発、各種システムの設計・試作に至るまでの幅広いソリューションを展開し、顧客ニーズに対応している。また、無線技術などを核とした自社製品事業も強化している。

2023年10月初版